手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

伝える力

昨日(30日)は、早朝にブログを走り書きをして、急ぎ踊りの稽古に行ったため、誤字が出たり、大事なことが半分も伝わらなかったのではないかと思い、再度、詳しくお話しします。 今回のコロナウイルスの騒ぎのように、人を集めてはいけないとか、公演するに…

何もすることがない時

そろそろ一蝶斎もまとめなければいけません。一蝶斎の元原稿は、「手妻のはなし」(新潮社刊)を書くために15年前に集めた資料から書いています。「よく藤山さんは、毎日2000字以上もの原稿が書けますね」。と尋ねられますが、種を明かせば元となる原稿から…

一蝶斎の風景 10

マジック番組 昨晩(28日)何気にテレビを見ていたら、マジシャンが数人出演していました。原大樹さん、田中大貴さん以外は知らない人でしたが、どれも面白かったです。番組の意図として、マジックは進化している、ということをテーマとしているようです。マ…

抜き卵とホストクラブ

抜き卵甘皮卵 昨日(27日)は、弟子の前田と、卵作りの作業をしました。卵作りとは、甘皮卵(あまかわたまご)と抜き卵を作ります。今は、マジックショップなどで、プラスチックの卵や、薄く簡単に膨らむ卵を販売していますが、実際それを使って演じるのと、…

人生の指針

私はこれまで、生きて行くうえで、二者択一を迫られたとき、その答えを自分自身で出せずに苦悩したときに、出かけて行って指針を尋ねる人が3人います。三人は、私の難しい問題に対して、毎回、実にいい答えを出してくださいました。どれほど助けて頂いたか知…

一蝶斎の風景 9

昨日は、人形町玉ひでの舞台で公演をしました。早くもこの公演を楽しみにしているお客様が増えて来て、8月22日(土)も申込者が何人かおります。なかなか日常生活をしていて、お座敷に上がる機会と言うのは限られていますし、玉ひでの親子丼は通常、2時間待…

コロナウイルスよどこへ行く

コロナウイルスよどこに行く 感染者が一日で360人を超えました。この先どうなるかと多くの人は不安を抱いています。然し、問題はありません。非常事態宣言をする前に戻って、非常事態宣言の際に少なくなった感染者の数がそっくり増えたのです。つまり非常事…

一蝶斎の風景 8

一蝶斎を書こうと思いつつ、世間のコロナウイルスに対するバカ騒ぎを見ていると、ついつい「くだらないことはやめろ」。と、言いたくなって、一蝶斎の話が中断してしまいます。コロナに関しては書きたいことがたくさんありますが、それはまた今度にして、今…

感染者の数を数えないで

数十年後に今の時代を眺めたら、「あぁ、あの時が人類の歴史の分岐点だったんだなぁ」。と思うかもしれません。すなわち半年前(2019年)までの人類の営みがピークで、その後、コロナウイルスの騒ぎによって人類は衰退した。となるのかも知れません。全くく…

プロの顔

今日は朝から鼓の稽古。そのあと前田に稽古をつけます。これでほぼ午前中の仕事は終わり。午後は電気屋さんに行ってみようかと考えています。 実は、先週、一階のアトリエのクーラーを新調して、一階はとても快適になりましたが、たちまちのうちに、3階と4階…

一蝶斎の風景 7

昨日は幸いよく眠れました。大阪で指導をした後、少し疲労を感じましたので、いつものように、あちこち挨拶に寄らずに、すぐ東京に帰ったのが良かったようです。 今日は、昼と夜にお稽古に来る方が3人あります。東京のレッスンは毎週火曜日か水曜日に集中さ…

一蝶斎の風景 6

7月19日、大阪のホテルにいます。昼に、名古屋で指導をして、先ほど大阪につきました。明日は大阪の指導です。少し体調がいいので、明日のためのブログを書きます。 天保の改革、西国の旅 天保12年の水野忠邦の改革は度を超えたものでした。江戸の街中の寄席…

コロナコロナと仰いますが

ごめんなさい、昨日は一日ブログを休んでしまいました。 朝6時に起床して、7時15分に自宅を立ち、東京駅に8時過ぎに到着、8時26分の新幹線に乗り、新富士へ、富士ではいつもより3時間早い指導の開始です。予定の通り、10時からご指導が始まりました。 富士は…

一蝶斎の風景 5

今日は神田明神の地下一階の舞台で手妻のショウをいたします。全部客席を作れば150人位入るいい劇場です。但し今は、ウイルスによって席数を制限して、30人程度の入場にしています。こんな規制をされることは残念です。然し、ご興味の方はお越しください。お…

一蝶斎の風景 4

明日はまた,神田明神の公演です。近くの料理屋から取り寄せた鯛めし弁当が好評です。弁当付き5600円。但しお弁当は事前申し込みが必要です。ショウを見るだけでしたら3000円です。12時開場です。 明後日、18日から関西方面に指導に行きます。毎月の指導と、…

一蝶斎の風景 3

昨日は、大樹や前田やザッキーさんと写真撮りをしました。一般的に使う顔写真と舞台写真です。前田もいい着物で紙卵や煙管(きせる)を持って写真を撮りました。まだ前田は手提げ式の引出しを持っていませんが、煙管を咥えて構えた写真を撮りました。やって…

一蝶斎の風景 2

今日(14日)は、私と大樹と前田とザッキーとで舞台写真を撮りに行きます。私は、2年に一度くらい新しい写真を撮っていますが、今回は、玉ひでさんの座敷をお借りして、スタジオとして取ります。こうした日もまた楽しいものです。 そのために、朝から出かけ…

一蝶斎の風景 1

昨日(12日)は一日ブログを休んでしまいました。一昨日(11日)7人の若い人たちを指導しました。その後もしばらく長い話をしまして、その晩は少々疲れました。それでも、若い人に指導することはとても自分自身にいい体験になります。 指導をしながらも、自…

一蝶斎以前 江戸中期の手妻 2

私は柳川一蝶斎の人生に興味があって、10年ほど前に小説を書きました。然し、話は半ばで止まっています。なぜ止まったかと言うと、かなり膨大な内容ですので、こんな小説を誰が買って読んでくれるかと思うと、先が進まなくなってしまったのです。 私は50歳で…

一蝶斎以前 江戸中期の手妻

江戸初期に活躍した三人の手妻使いの中でも、塩屋長次郎は馬を呑むと言う芸で人気を独占します。日本のマジックの歴史の中で、呑馬術(どんばじゅつ)の長次郎と、江戸の末期に現れた紙の蝶を飛ばす一蝶斎はずば抜けて有名で、その演技は世界のどのマジシャ…

一蝶斎以前 江戸初期の手妻

古の伝内、都右近、塩屋長次郎 江戸時代は約260年間あります。大変に長い時代の中で、1600年代中期から3人のマジシャンが活躍するようになります。一人は、古の伝内(いにしえのでんない)、品玉(しなだま)と緒小桶(をごけ)を得意芸としました。緒小…

文字にしない価値

日本の伝統芸能には、一子相伝(いっしそうでん)とか口伝(くでん)と言う考え方がよく出て来ます。今日はここののところをお話ししましょう。手妻にも、口伝や一子相伝の秘密があります。昭和40年代の手妻は今にも消えそうな状況でした。 そんな時に、10代…

ヒカキンさんが心配

YOUTUBEで話題のヒカキンさんはまだ画像で見ただけで、お会いしたことはありません。話題の人であり、大変な努力家であることはわかります。ヒカキンさんのような人が出るとたくさんのYOUTUBEERが現れて、世間に話題を提供するようになります。 ただ、外見だ…

都知事選挙に仲間との食事

都知事選挙 昨日は朝に都知事選挙に出かけ、投票を済ませました。今回の都知事選挙は初めから期待の持てない選挙でした。顔ぶれを見ても、どなたも期待できません。そもそも政策が見えません。東京都をどうにかしてくれる人ではなく、自分がどうにかなりたい…

球磨川被害

球磨川被害 今から40年も前のことになりますが、私は山口県のマリンランドと言う遊園地に40日間出演していたことがあります。その時に、山口県内や福岡県のアマチュアマジシャンが連日大勢、私のショウを見に来てくれました。この施設は、昼と夕方の二回、シ…

秘密の秘密の奥の院

私は十代の後半から、二十代にかけて実に多くのマジシャンからマジックを習いました。単純なアドバイスなら、フレッドカプスやチャニングポロック、ダイバーノン、スライディーニなどなど、数多く名人と接して多くのアドバイスを受けました。 時代はネットの…

芸能 芸術 いとをかし

私は20代のころ随分高木重朗師からマジックを習いました。師は、今ではカードマジックの研究でその名を残していますが、実はステージマジックも大好きで、要は、ジャンルにこだわりがなく、物事を公平に見る目を持っていました。 但し、師からステージ物を習…

芸能 芸術 なんのこと

昨日は、来年2月の仕事の打ち合わせのために埼玉まで行ってきました。埼玉は決して遠くはありません。私の家から車で40分足らずです。水芸や蝶々を含めたフルショウを一日2回披露する企画を引き受けました。大きな仕事です。別にワークショップの仕事が一本…