手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

大阪セッション、天一祭

大阪セッション、天一

 

 今週末、9日(土)が大阪道頓堀、ZAZAで大阪マジックセッション。10日は、福祉繊協ホールで、天一祭が開催されます。毎年のことながら、今週末、私の一門は2泊3日の関西の旅に出ます。

 本来なら和気あいあいと楽しい旅にしたいのですが、先ず9日は早朝に東京を立って、10時までに大阪に入ります。それからリハーサルを致します。そして17時が本番です。19時半くらいに終わって、かたずけをして、打ち上げを兼ねた食事会。その後はホテルに戻って就寝。翌朝は早朝に特急サンダーバードで福井に立って、午前中は子ども歴史館で公演。そして繊協ビルに入って、天一祭。そして19時くらいの特急に乗って帰宅。全くのんびりゆっくりする時間がありません。

 せめて一泊、翌日の公演を気にすることなくゆっくり休める日があればいいのですが、大阪も、福井も小さな劇場での公演ですので、予算にゆとりがありません。

 何とか、大阪も福井もマジックショウが定着すればよいが、と思ってもう10年も続けて来ました。途中、コロナで観客数を減らし、苦戦を繰り返しました。それでも毎年公演を続けて来ました。

 苦しい中でも、弟子や仲間たちは、マジックショウの公演を楽しみにしています。思えば、大樹も、大成も、毎年、大阪福井に行って、出演を繰り返しました。そうした中で確実に今の演技ができて行ったのです。

 やはり生の舞台出演は大切なのです。舞台を数多く出続けることが確実に腕を上げます。無論そのことはみんな承知しています。どんなに厳しい状況の公演でも、仲間が集まって、一つの舞台に出演することは楽しいし、気持ちが充実します。

 本当ならば私が何も関与しなくても、若い人たちだけで、自然に公演を打って行けるようなら幸いなのですが、なかなかそうも行かないようです。まだしばらくは私がやらなければならないでしょう。

 

 大阪のZAZAは、元々は中座と言う芝居小屋のあったところで、つい20年くらい前までは、ここに瓦屋根の古風な劇場があったのです。東京、東銀座の歌舞伎座を少し小さくしたような建物で、松竹新喜劇が定期的に公演をしていました。観客席は1000人くらい、二階席があり、舞台は、花道が付いていて、歌舞伎が出来る劇場でした。この中座が、元和元年に、芝居小屋が官許(政府が認めた芝居小屋)となって初めてできた歌舞伎小屋で、その後何度も焼けて建て直されましたが、今の土地に定着してからでも優に300年ここで芝居を演じてきたのです。

 中座は明治時代に、松旭斎天一師も頻繁に出演しています。私は道頓堀に行くたびに中座を見て、「一度でもいいからここで自分の看板で公演をして見たい」。と思っていました。それが、会えなくも不審火で周辺の商店を巻き込むほどの火事になり、中座はあっけなく消滅してしまいました。

 私の夢は、もう果たせなくなりました。然し、跡地に飲食店ビルが出来て、その地下に小さな劇場が二軒出来ました。二つの劇場が出来たがゆえに、劇場の名称がZAZA(座、座)です。私の思いは、古風な瓦屋根の中座を想像しつつ、ZAZAで大阪マジックセッションを公演を続けて、目的のほんの一部ですが、「中座の舞台に立てた」。と思っているわけです。

 

 今回も東西の技量あるマジシャンが集まりました。ボナ植木、JONIO,橋本昌也、黒川智紀、藤山大成、魔法の愛華、高橋朗磨、藤山新太郎、司会はキタノ大地です。

面白い舞台になると思います、どうぞご期待ください。

 17時開場17時30分開演。指定4500円、自由席4000円、当日5000円、4500円。お申し込みは東京イリュージョン。info@tokyoillsion.co.jp  tel 03-5378-2882

 

 天一祭の方は、今回は北陸三県のマジシャンが集まりました。看板はボナ植木。そしてロープマジックのMASAYO、MASAYOは福井県在住の女流マジシャン。ジャパニーズスタイルマジックのLENA、ばね人間ささまん、カードマニュピレーションのTOMMYは石川県。 福井では毎回おなじみの、岡田透、サイキックK 、それに藤山大成、私です。ショウの開始前、13時30分から、ボナ植木のレクチュアーがあります。お楽しみにお越しください。

 天一祭実行委員会 tenitisai@outlook.jp   tel 090-9765-4860

 今の季節の福井は越前蟹、ブリ、のどぐろ、鯖のおいしい季節です。晩には福井でお食事されて、ゆっくりされてはいかがでしょう。

 さて、今年は10回目の開催です。来年は、待望の新幹線が福井までやって来ます。福井東京間は、これまでが、東海道新幹線で、名古屋に行き、そこからこだまで米原まで行き、そして特急で福井まで行きました。これですと待ち時間を合わせて約4時間近くかかりました。それが北陸新幹線が開通すると、東京から直行で2時間51分で福井に付きます。ぐっと近く便利になります。

 どうも、毎回福井を訪問すると、駅前からして既に寂しいのです。まぁ、前日が大阪の道頓堀での公演で、その翌日が福井ですから、どうしても寂しく見えてしまうのはやむを得ないでしょう。が然し、来年は新幹線景気で、きっと賑やかになるでしょう。そこで、天一祭も、福井を盛り上げる意味で、記念公演を企画しようと考えています。どうぞまたふるってご参加くださるようお願いします。

続く