手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

円安は続くのか

円安は続くのか

 

 世間では、円の価値が下がり続けて、このまま行くと1ドル200円になると言う評論家もいます。本当にそうなるのでしょうか。株と言うのは、基本的には少数に利するために値段が変動するものです。みんながみんな、「円は値下がりする」。と思って、「それっ」。とばかりにドル買いをします。大多数が資金をドルに投資すると、株価は急に反転して、少数の投資家に利するように動きます。

 みんながみんな大丈夫だからと言って資金が集まった先に、反対に張っている少数者がその利益を頂くのが株です。「株で大儲けした」。と言う人の話を聞くことは多いのですが、儲ける人がいれば、同時にそれと同じ額だけ損する人がいます。

 本来株は起業家や、会社に資金を提供するためのものですが、それ自体は大した利益が生まれません。利益だと思っているものは、投資した会社の社員が働いて物を売った利益の配当です。利益配当は微々たるもので、株で大儲けすると言うほどのものではないのです。然し、株の投資と言うのは、会社の配当金を当てに投資しているわけではありません。

 株で儲けると言うのは、株の値動きを見て、機敏に投資をして、動きの利ザヤで稼ぐことです。株価が変動したときに、上がると予想して投資をし、巧く値が上がったときに利益が出るわけで、狙った株が下がれば損になります。利ザヤと言うのは、損をして失敗した人の金です。誰かが失敗しなければ株で儲けることは出来ないのです。損をした人は損を隠したがりますから、世の中の話は常に株でもうけた話ばかり出て来ます。

 すなわちギャンブルと同じです。誰かか儲けるには誰かが損をしなければ儲けは出ないのです。1年前円は110円くらいでしたから、この時、円でドルを1万ドルも買っておけば、今、円は150円ですから、ドルは円に対して40円も値上がりしたことになります。すなわち元金110万円で40万円の利息が付いたことと同じになります。

 今の日本で、110万円に対して40万円もの利息が付く銀行利息何てありませんから、ドルに投資した人は随分儲かったことになります。そこで、「こんなに儲かるなら」。とさらに投資を2万ドルに増やしてドルを買ったなら、来年にはどうなるか。

 私は株はやりません。然し、今の状況を見ると、ドルは思いっきり下がるだろうと思います。今のアメリカは余りに周囲から期待され過ぎています。にもかかわらず、アメリカの看板商品である、コンピューターも、EV自動車も、どうも雲行きが良くありません。それでいて、ウクライナや、イスラエルに積極的に軍事支援をしています。

 大した金もないのに、義侠心で他国の戦争を支援していれば、このままでは財政が破綻します。今のアメリカは何一ついい状況はありません。

きっと近いうちにドルは下がります。むしろ、日本円をためておく方が絶対有利でしょう。来年は中国も、韓国も、EUも不景気風が吹きます。みんなEV自動車を当て込んで投資をして大失敗をしています。ロシアは石油を売り惜しんでいますから、石油の値段はどんどん上がります。景気は思いっきり冷え込みます。その付けが来年以降固まってやって来ます。

 一人日本のトヨタ自動車ハイブリッド車を売り続けて大成功をするでしょう。そうなら、今ドルを持っている人は、さっさとドルを売って円に替えておけば、一年後には2割3割は稼ぎを上げるでしょう。今まで過小評価されてきた日本は、来年は再評価されて大きく飛躍すると思います。

 但し、私は予言者ではありませんので、絶対そうなるとは約束できません。なんせマジシャンですから、余り本気にされても困ります。ただ、初めに申し上げたように、株は常に少数の人が大きな利益を上げます。みんなが集中したところからはもう利益は出ないのです。

 

 人が集中している所と言うのは一見、流行って、活気があって、いいように思いますが、そこのピークを読まないと、最盛期のすぐ後には坂道を転げ落ちるような急降下の時代が来ます。上り坂はいいのですが、頂点は要注意です。

 私が見ていて危ないな、と感じるのは、お笑いの世界です。お笑いはもう終わったのではないかと思います。無論お笑いが消えはしません。ただ好い思いはこの先は出来ないと思います。余りにお笑い芸人が増えすぎたように思います。

 日本国内で何万人と言うお笑い芸人は養いきれないのです。ツービートの北野武さんが、40数年前に浅草松竹演芸場に出ていた時に、東京の漫才の数と言うのはせいぜい100人くらいだったでしょう。大阪が200人くらい。落語家が東西併せて500人くらい。つまり漫才、落語、コントを併せても1000人いるかいないか程度の世界だったのです。

 1000人で日本中のお客様を笑わせていた時代は芸人にとって天国でした。今、仮に3万人の芸人がいるとして、倍率は昭和の30倍です。これで生きて行くのは大変です。お笑いを支えていたテレビ局も、最近は覇気がありません。テレビそのものが一時の支持が得られなくなってきているのでしょう。

 こうした世界では、ある日いきなり破綻が起きます。絶対大丈夫と思っている会社が呆気なく倒産します。何でこんなことになるんだ。と多くのタレントは呆然とします。然し考えてみれば当然なのです。余りに人が増えすぎて、見る人よりやる人の方が増えてしまえばその社会は終わるのです。

 疑る前に日本舞踊や、民謡踊りの世界を見て下さい。演じ手よりも、お客様の方が少なくて、ショウのステータスが薄れているではありませんか。

 自分自身が常に少数派の側にいるかどうか。そこを理解しておくことが大切です。誰も彼もがやるものは急激に色褪せて来ます。それでも人気があって人が集まるうちはいいのです。それがある日突然価値が下がって行きます。マジックも例外ではありません。

 だからと言って今やっていることをやめて他のことをしなさい、と言うのではありません。自分がなすべきことは続けた方がいいのです。但し、常に周囲を見ながら、自分が少数側に回ることに注意をしなければいけません。頭のいい人は、同じようなものを演じても、相手に違う印象を与えるような工夫があります。とかく人は、周囲を見て、大多数のすることを真似ようとします。そうした人は絶対に成功は手に入れられません。せっかくの努力も無駄になります。

 今、ドルを買ってはいけません。今金を買ってはいけません。そこに投資するくらいなら私に投資してください。きっと大成功します。あれっ。話が変わってしまいました。うっかり下心が見えてしまいました。

続く