手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

組織改革します

組織改革します

 

 この数か月。次々に起こった不祥事で、組織はそれぞれ社会に対して、「問題を真摯に受け止めて、組織改革します」。と宣言して、謝罪会見をして見せて、それでいて体質は全く変わらず、隠ぺいばかりを繰り返して、またまた社会から攻め立てられて、どうにもかわし切れないところまで来て、またまた謝罪する。そんなことの繰り返しを見て来ました。

 具体的に言えば、ビッグモータースの自動車保険の不正受給であり、日大ラグビー部の大麻吸引であり、ジャニーズプロモーションの性加害です。

 社会が問題に対して大騒ぎしている中、組織の内側では、逆に大した問題と捉えておらず、真剣に問題に向き合おうとしないで、表向きは殊勝に型通り謝って、裏では何とか隠ぺいして逃げ回ろうとします。表面上は改革をする風に見せて、そのままの体制を維持しようと画策します。

 ところが、結果としてそれでは通用しないことが分かると、慌てて対策を立てますが、次々と後手に回り、どうにも逃げ切れないところまで追い込まれます。

 いろいろなジャンルの色々な組織が同じようなことを繰り返して、世間をお騒がせしているニュース番組を見るにつけ、視聴者は、「幾ら謝っても結局同じことをするんだ」。と半ばあきらめの気持ちでそれを眺め、徐々に事件への興味が覚めて行きます。案外、これが組織が望んでいる解決法で、視聴者を諦めさせることが非難をかわす対策なのかもしれません。

 

 明らかに法律に触れることをして、ずっと過ちを繰り返してきたわけです。そして、今も世間から非難されているにもかかわらずなお、人の見ていないところで過ちは続いているのです。

 結局のところ組織自体がやっていいことといけないことが分かっていないのです。分かっていない証拠に、明らかな不正を繰り返して非難されていながら、まだ不正を続けようとするのです。

 いや、やってはいけないことは分かっているのでしょう。分かっていながらやめられないのでしょう。昔、「分かっちゃいるけどやめられない」。と言う「すーだら節」と言う歌を植木等さん歌っていましたが、分かっていながらやめられないのは、やめられない理由が陰にあるのでしょう。

 ですが、度を越せば犯罪です。犯罪は処罰されます。処罰されると分かると、考えを改めるのか、と思いきや、急に隠ぺいが始まります。

 

 ビッグモータースは社長が出て来て謝罪しましたが、自分は自動車保険を不正受給しろと言った覚えはない。自動車を破壊しろと言った覚えはないと言いました。そして各工場長を脅して車を破壊させるように命じた、社長の息子の副社長は、結局謝罪会見に出て来ません。責任はそれぞれの工場長が勝手にしたことにされました。

 サラリーマンは気の毒です。散々会社に脅され、法に触れるようなことを強要され、それがばれると会社は自分に罪を擦り付けます。誰が見ても理不尽なことは明白です。然し、社長も倅の副社長も逃げ回ります。

 しかも、批判を受けて会社刷新の対策をしっかり立てているのかと思いきや、マスコミに不正請求を暴露した元社員の犯人捜しに奔走しています。

 

 日大は、大麻事件の前の田中理事長の問題から組織がまともに機能していないことを怪しまれています。その上で、なぜか知りませんが大麻を吸引した学生を守ろうとします。せっかく日大の体質を刷新しようとして林真理子さんを理事長に選んだのに、林さんはかやの外に置かれ、全てのことは、副理事長他、旧体制の人たちによって話が進められていったようです。

 なぜ大麻が見つかっても副理事長はすぐに警察に報告しなかったのか、吸引した部員はどうなったのか、他にも吸引した部員がたくさんいたのかどうか。全ては曖昧なまま、謝罪会見を繰り返し、ラグビー部の学生寮では大麻吸引が、謝罪後も繰り返されたそうです。誰が見てもこれでは日大は何も変わらない事は明白です。

 一種の義侠心から理事長を引き受けた林真理子さんは、理事長とは名ばかりで、組織の中では部外者です。誰も林さんの言葉に耳を傾けようとはしないのでしょう。いやむしろそれだから林さんを理事長に選んだのでしょう。林さんにとっては、この一年は全く人生の無駄をしたことになります。いっそ「日大隠ぺい物語」でも執筆されて、著作料で元を取って下さい。

 この先を考えても、林さんが日大の改革を行うのには無理があります。いっそ第三者委員会の皆さんにそっくり日大の役員になってもらって、役員総入れ替えをしたほうがいいのではないかと思います。過去の間違いを黙認してきた人達が、改革は出来ないのです。

 

 根が深いのはジャニーズです。一説によると、ジャニーズ関連企業で、総売り上げが一千億円あるそうです。巨大企業です。そこまで大きな収益のある企業がこの先どう言う方向に進むのか、誰が指導者になるのかは誰もが注目するところです。

 但し、初めに、これまでの問題を、今までの経営陣がちゃんと前に出て来て、全てを清算すべきです。東山紀之さんや、イノッチが出て来て解決できる問題ではありません。人気者を出して、批判をかわそうとする姿勢がそもそも問題を矮小化しています。

 そんなことで世間の批判はかわせないことが分からないといけません。また、カウアン岡本さんらの勇気ある発言について、心無い中傷をする人たちも問題です。実害を受けて人生を狂わせてしまったタレント達がいると言う現実を第一に理解しなければいけません。

 始めは女性社長が出て来て謝罪し、それが全く通用しないと分かって、次には東山さんイノッチが経営陣になって謝りました。ところがそもそもがこの二人が出て来ること自体が不自然です。人気者を出して非難から逃れようとしているとしか思えません。

 やがて、そんな生易しい問題ではないことを知って、会社名を変える。被害保証のための組織を作る。新たなタレントの受け入れ先の事務所を作る。と目まぐるしく体制が変わりました。全ては事の重大さを全く理解していない結果なのです。

 いつでも日本で事件が起こると、ごちゃごちゃと騒いで、責任所在もあいまいなままよくわからないうちに決着をします。これでいいのでしょうか。変な社会ですね。

続く