手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

林真理子さんお気の毒

林真理子さんお気の毒

 

 日大の覚醒剤騒動は、事の始まりは、決して複雑な話ではなかったはずです。アメリカンフットボールの部員が、大麻を吸っていると言う匿名の情報が、日大に届いたのは去年の話です。そこでクラブの指導に当たっている役員などが、直接部員に尋ねると、当人はあっさり自白をしました。そのことを日大の役員に伝え、同時に警察に届け出たなら、大した話ではなかったのです。

 ところが、昨日の話では、結局問題を林真理子理事長には伝えておらず、警察に相談したと言う話も、検事を務めていた、澤田副学長の知人の警察官に相談して話を聞いただけのことで警察に届け出てはいなかった。と言うこと。

 更にその話が今年になって、再燃。(同じ学生かどうかは不明)。副学長が学生寮に乗り込み、学生に大麻の吸引を問うと、それを認め、ビニール袋と錠剤を提出。それを、ビニール袋の中身が大麻かどうかが分からないと言う理由で、副学長が11日間保管した。という話。警察に相談すると、「自首を促せ」と言われたと言う。そして、林理事長には相談せず。

 何もかも不自然で、結局、警察に連絡したと言うのは、友人の警察官であったそうで、友人の警察官は「自首を促せ」と言った覚えはないと言う話。直接大麻の担当の警察ではなかったし、結局日大内部でことの処理をしてしまおうと考えていたようです。その間林理事長はいきさつを聞いておらず、いたずらに日が経って、結果、警察による立ち入り調査が入ったことで、ビニール袋や、錠剤を提出。中身が大麻と認められ、昨日の会見に至ったたそうです。

 結局、日大フットボール部は、2018年の悪質タックル強要事件から余り変わっていないことが判明したわけで、新生日大と銘打って、一年前に林真理子さんを理事長として迎えたことは一体何だったのかが分からなくなりました。

 

 どんな有能な人を外部から入れたとしても、その人に情報を伝えなかったり、理事長の言うことを聞かなかったりすれば、結果は同じことの繰り返しです。林真理子さんは、日大出身であることから、義侠心を起こして、日大のために奉仕しようと考えていたのでしょうが、少しも体質の変わらない日大の、わけのわからない話のために、人に頭を下げなければならず、その上、無視されたり、軽く扱われたり、何ともお気の毒というほかはありません。

 こんなことにかかわっている間に、本来の執筆活動をすれば、世間の話題になるような優れた作品も生まれたでしょうに、理事長になったことを後悔しているのではないかと思います。

 林理事長が、何を言っても、役員会の中では誰も話を聞こうとする人はいないのかも知れません。一人大騒ぎをして、誰も話を聞かなければこんな情けないことはないでしょう。分かります分かります。私もかつてある組織に所属していた時がありまして、そこで変わらない体質を嫌というほど見続けて来ました。

 誰が考えても明らかに間違っていることを繰り返していながら、互いがかばい合って、小さな既得権をしっかり握りしめて手放さないのです。そんなことを組織がずっと繰り返しているのです。「それは違法行為だからやめろ」と言っても、私の言うことは書生論としか見られず、本気に取り上げられません。いや、私の話はどうでもいいのです。

 日大の既得権にしがみついて、生きている人たちが少なからずいます。彼らはなんとか理事長を失敗させて、理事長がマスコミの前で自分の無力を語らせ、そして、諦めて組織から去って行ってもらいたいのです。林真理子さんが憤慨して日大から去れば、「それ見たことか、言いたいことだけ言って、何も変わらないじゃないか。だから女は駄目なんだ」。と言って鼻で笑う人たちです。

 

 林真理子さんは私と同い年です。そして同じ日大出身です。然しその活動は私と比べるべくもなく、若いころから直木賞を受賞したり、マスコミに頻繁に顔を出して、文化人として活躍してきました。その人が、もう70歳近くになって、こんな仕事を引き受けるとは考えもしませんでした。

 常識で考えたなら、林さんにとって百害あって一利なしの活動です。日大スポーツ部は伏魔殿です。既得権の集団です。そこに分け入って事の理非を語っても、意味はないのです。今回でも、大麻を吸ったと言う学生が早くに見つかっていながら、なぜ警察に届け出ないのですか。警察も警察で、日大の幹部に遠慮してか、なかなか捜査に踏み切らない。互いに見合って何をしていたのですか。

 そもそも、大麻を吸った学生の親は誰ですか。タレントの倅が大麻を吸えば、倅の取材はそっちのけで、親のタレントは集中砲火を浴びて、連日マスコミに追いかけまくられます。倅が30を過ぎていても、タレントである親の責任を問うくせに、今回の学生はなぜ親の責任を問わないのですか。別にタレントの親が倅に大麻を吸えと言ったわけではないでしょうに。よしんば黙認をしたとしても、30過ぎた倅の責任をいつまで親は見なければならないのですか。

 今回のことで言うなら、学生は親の庇護のもとで学生をしているのですから、半分未成年の様なものです。しっかり親が出て来て謝罪すべきでしょう。それがそうならないのはなぜですか。組織は誰をかばっているのですか。分からないことばかりです。こんな渦中にいたなら林さんも、やればやるほどストレスが溜まり、人から批判されるだけの仕事に嫌気がさして来るはずです。

 日大は大きくなり過ぎたと思います。かつて地球上に恐竜が繫栄した如く、その図体が大きくなりすぎて、自分で身を持て余しているのです。そもそも学校法人でありながら株式会社と言うのが怪しいです。企業は利潤の追求が目的です。学校教育の目的とは利潤の追求でしょうか。矛盾していませんか。

 でも日大の栄光は、今がピークだと思います。これから少子化が進めば、こうしたマンモス大学は運営が難しくなるでしょう。早くに無駄な出費を抑えて、スリム化することをお勧めします。恐竜が、繁栄の後、トカゲや、鳥に変化して、小さく生きて行ったように、身幅に合った生き方に変えないと、今のままでは生存するのが難しくなるでしょう。全ての大学はその時期に来ています。それにしても林真理子さんはお気の毒。

続く