手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

どっちもどっち

どっちもどっち

 

 今月7日に、ハマスパレスチナ人の代表組織)が突然イスラエルに越境して来て、イスラエル人を攻撃し、死者300人を出しました。場所は、パレスチナ人の住むガザ地区に近いイスラエルの砂漠地帯で、その日はイスラエル側で音楽フェスティバルを開催していました。

 その会場にハマス迫撃砲や、ミサイルを撃ち込み、多くの参加者を殺害しました。又、逃げ惑うイスラエル人を捕獲して、捕虜にしたそうです。ここ最近イスラエルパレスチナ人の紛争はしばらくなかったため、この日の突然のパレスチナ人の行動に世界の非難が集まりました。

 

 初めに手を出したのはパレスチナ人だから非はパレスチナ人にある。とイスラエルは非難します。ところが、パレスチナ人に言わせれば、今年だけでも何十人ものパレスチナ人がイスラエルに殺害されている。と言います。実際パレスチナ居留区に近い、ヨルダン西側地区でたびたびパレスチナ人が殺害されているそうです。

 そうなら、初めに手を出したのはイスラエルと言うことになり、今回のハマスによる音楽フェスティバル攻撃はその報復と言うことになります。

 どっちに非があるか判然としないまま、イスラエルは、今回の報復として、ガザ地区にミサイルを撃ち込みました。このミサイルが病院のビルを破壊し、500人の患者が亡くなった、とハマスが報告をしています。

 病院を攻撃したことで、イスラエル側は立場が悪くなり、イスラエルの正統性は崩れ、世界各国から非難が上がります。

 ところが、よくよく調べてみると、病院そのもが見当たらず、500人の患者が死亡したと言う話もどこにもないと言う情報が出て来ます。イスラエルがミサイル攻撃をした場所にはビルらしいビルもなく、死者もわずかだったと言うのです。つまり、病院の死者の話はハマス側がデマで作った話だったと言うのです。

 さてそうなると、またまた世界はパレスチナを非難して、逆にイスラエル支持の声が大きくなります。世界中の人々は、問題の本質を見ないで、常に今起こっていることだけを捉えて、いい、悪いを言い合っています。まるで野次馬です。どうにもこの話は際限がないと思いませんか。

 

 世の中にイスラエルと言う国があって、イスラエルが、先住民であるパレスチナ人をガザ地区パレスチナ居留地区に押し込めて、高い塀で囲っている現状が、そもそも異常なのであって、互いの不満や暴発だけを取り上げて、どっちがいい、悪いを言い合っても何も解決しないのではないですか。

 ガザ地区と言うのは、サイズは東京23区ぐらいだそうで、南北に細長い地域で、昔から、北のレバノンやシリアから、南のエジプトに向かう街道に面した商都だったのです。本来なら反映した都市だったのですが、イスラエルが、パレスチナ人をこの狭い地域に押し込め、高い塀で三方を囲い、イスラエル側に出られないようにしました。

 結果として、多くのパレスチナ人が狭い地域にひしめき会って暮らす都市になり、畑も酪農も出来ない地域で、生活物資も手に入らず、南側のエジプトとの国境から支援物資を貰って生活して行くほかはなく、ここに住む住民のほとんどは自活して行けず、支援によって生活をしているのが現状です。

 パレスチナ人は、もう一か所、死海に近いところに広い土地があるのですが、ここはパレスチナ人、アラブ人、イスラエル人が混在して生活していて、住人同士の争いが絶えない地域です。

 

 さてこの先、イスラエルが、ガザ地区に対して、地上戦を仕掛ける等と言う話が出ていますが、何にしてもパレスチナ人は少数民族です。対するイスラエルは資金の潤沢な国家ではありますが、それでも人口は少なく国土も小さいので、長期の戦闘となるとそう長くは戦えません。

 そこで頼みの綱はアメリカの支援になります。パレスチナはイランの支援が頼みです。何にしても自国で戦う力はあまりないのです。そのため、何をするのにも、周囲の国々の支援が全てを決します。両国とも、必死の宣伝合戦をし、ひたすら自国の被害を煽り立てます。

 彼らの戦いを見ていると、本当にこの国を支援をするべきなのかどうか、怪訝に思います。一度、イランもサウジアラビアもエジプトもロシアも呼んで、アメリカも欧州各国も呼んで、この地域の線引きをし直したほうがいいのではないですか。

 

 エルサレムの町は、ユダヤ教にとってもキリスト教にとっても、イスラム教にとっても聖地と言える場所です。どの国が占領しても上手く治まることはありません。そうなら、この地をヴァティカン市国のような特別都市にして、どこの国にも属さない地域にしてはどうですか。(これは実際そのようにやろうとしたのですが、徹底されていません)。

 その西側にパレスチナ人の国を認め、その外側にイスラエルを持ってきてはどうですか。無論どの国も不満はあるでしょうが、どこかで共通項を見つけ出し、互いを認め合い、その上で互いが決して侵略しないと言う取り決めをして地域をまとめ上げなければ、いつまで経ってもテロが収まることはないでしょう。

 そこで、どこかの国が仲裁に入って話をまとめればいいのですが、アメリカにしろ、ロシアにしろ、イランに、エジプト、サウジアラビア、いずれにしても公平な立場では物が言えないのです。そこで仮に日本が紛争解決に乗り出すなら、日本は世界から高い評価を受けるでしょう。

 然し、日本はこれまで、この手の活動を公平な態度でうまくまとめて行ったのを見たことがありません。何だか裏取引をして、うやむやにしてしまいがちです。およそ頼り甲斐のない国です。でも、ひょっとして互いの話を聞いてゆくうちには、どこかに解決の糸口が見つかるかも知れません。駄目とは思っていても、もしやと言うこともあります。少し期待していいのではないでしょうか。でもねぇ、岸田さんですからね。過大な期待は出来ません。

続く