手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

ロシア 中国

ロシア 中国

 

 日本ではWBCの日本アメリカ戦の勝利がいまだ冷めやらず、大きな話題になっていますが、世界では今も、実際の戦争が続いています。

 今週になって、世界の動向が大きく変化するような活動がありました。一つは、中国が、ロシアに行き、プーチンさんと会って会談をしました。もう一つは、それとほぼ同時期に日本の岸田首相が、ウクライナに行き、ゼレンスキーさんと会談をしました。

 プーチンさんが習近平さんに会って話をすると言うのは、明らかに武器援助、経済援助が目的なのでしょう。中国にすれば、ロシアを支援することは明らかに金儲けにつながることですので、積極的に援助したいところです。

 然し、武器援助はそう簡単には出来ません。ロシアの置かれている位置が余りに評判が悪いからです。そもそも、ウクライナに侵攻したことが間違い、そこで無差別に市民を殺戮していることが大不評。そして、この戦いに展望がないことが決定的な問題。そんな戦争に安易に首を突っ込んで武器援助などすれば、世界中から白眼視され、逆に中国が経済面で世界から制裁され、貿易を大幅に減らすことになりかねません。

 そうなると安易な武器供与は出来ません。と言って金儲けはしたい。そこで日常品、生活品や、工業製品の援助はする。八方ふさがりのロシアにとってはそれでも有り難い支援ではあります。

 但し、この中国とロシアのやり取りを見ていると、強国ロシアはどこに行ってしまったのか、と嘆かわしく思います。ひたすら中国の経済にすがって協力を求めるプーチンさんの姿は、ロシアが既に大国ではないことを象徴しています。ロシア一国の力では対ウクライナ戦を維持できないのです。

 こうした現状でウクライナと戦争を続けることに意味があるかどうか。ロシアはますます追い込まれているのではないかと思います。

 一方ゼレンスキーさんと岸田さんの会談は、ウクライナの問題をG7(先進7か国)の議題に上げることが目的なのでしょう。西側先進国が一致団結してウクライナを支援する姿勢を見せれば、ロシアはこの先、これ以上ウクライナに猛攻はかけにくくなり、うっかり大きな戦争をすれば、世界大戦につながる結果になり。破滅の道を歩むことになります。

 打つ手なしのロシアが頼る先は中国のみですが、中国自身もそう易々とは動けません。ロシアが困窮していることは百も承知です。この際なるべく安く石油を買い、それに見合うだけの工業製品や農産物を輸出するのは上策しょう。でも、それ以上の深入りは出来ません。

 そもそも、今の中国は、世界全体の不況の中で、余った在庫を抱えて経済が悪化しています。国内の不動産バブルは深刻で、放っておけば大不況が来ます。一帯一路政策で作った新幹線や、高速道路も利用者が少なく、かけた費用の割には収益が上がっていません。社会主義の計画経済の破綻があちこちで見えています。中国自身、ロシアを助けるどころの話ではないのです。

 

 ウクライナは、4月からNATO軍の戦車やミサイルを大量に仕入れ、戦車とミサイルで東部地区のロシア軍と本格的な戦闘をするでしょう。対するロシアは旧式の軍備と、ロシア軍、それにワグネルの私兵と合わせて大きな戦いをするようですが、どうも話はうまく進んでいないようです。

 どうも今年の初めから、無理無理ワグネルが攻め立てた結果、大きくワグネルの兵を減らしてしまい、兵の補充もままならないらしいのです。かつてはプリゴジンさんが、プーチンさんに吹き込んで、東部地区の制圧を訴えていたのですが、最近は肝心のプリゴジンさん自体どこへ行ってしまったのか、戦いから離れてしまったようです。

 ロシア側の総攻撃が始まる。と言われていながら、いまだロシアとしては身動きできない状況のようです。そうなら、ウクライナ側が、NATO軍の支援を受けて、一気に東部地区を制圧してしまえば良さそうなものですが、そうするための武器や、資金がウクライナとしてもいまひとつ足らないようです。

 いずれにしても、両軍が武器も資金も枯渇してしまって、ウクライナでの大きな戦いはパッタリ止まっています。バフムトと言う都市での膠着状態は今年からずっと続いていますが。特別バフムトと言う地域が重要な拠点なのではありません。

 たまたまロシアもウクライナも次に打つ手がないままバフムトで小競り合いが続いているだけです。この先戦車などが届けば、ウクライナは大きく攻め込まれた地域を奪還して行くでしょう。

 恐らく、年内中には、旧領土を回復させて、新たな国境線を引くことになるのではないかと思います。それに対して、ロシアは負け戦の状況では休戦協定を結ぶことはしないでしょうから、休戦とも停戦とも言えない、あいまいなまま両軍は新たな国境線に対峙して、そのまま戦争は収束してゆくのではないかと思います。

 それは今も朝鮮半島が38度線で止まっているのと同じように、この先、とりあえず落ち着いた国境線がロシアとウクライナをこの先長く両国を分けることになるのではないかと思います。

 恐らく岸田首相がウクライナにやってきた理由の一つは、わずかばかりの資金援助をすることが目的ではなく、休戦以降のウクライナのインフラ整備を頼まれたのではないかと思います。少し気の早い話と思われるかもしれませんが、恐らく、ウクライナは既に戦後の復興策を考えていると思います。

 ゼレンスキーさんも、この先を見越しているのです。破壊された生活、工場、都市などの再建に日本の協力は不可欠なのでしょう。日本は武器の供与は出来ませんが、インフラの整備は得意です。特に震災後の復興事業などでの実績もありますので、国土の再建はお手の物です。

 ウクライナが一日も早く経済復興を果たせるように、日本は積極的に支援して行けるよう、今からプロジェクトを組んでおく必要があるでしょう。

続く