手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

WBC 日本対中国

WBC 日本対中国

 

 昨晩19時から、テレビでWBCの生放送があり、恐らく多くの日本人がご覧になったことでしょう。実際4時間近い放送で、これだけ日本人をくぎ付けにした番組はサッカーワールドカップ以来かも知れません。場所は東京ドーム。試合開始前には既にドームは満員です。5万人くらい入るのでしょうか。大したものです。私の娘も12日の日曜日のドームのチケットを買っていて、見に行くそうです。

 その試合ですが、先ず、試合そのものよりも、WBCそのものが、大谷翔平選手の独り舞台でした。とにかく大谷選手の一挙手一挙足を見ようとするファンのために、大谷選手がベンチから出て来ただけで、5万人の観客がどよめくのです。

 テレビもそのことは承知していて、何かと言うと大谷選手をアップで映します。大谷選手がウォーミングアップをしている。バットを持って歩いている、ベンチで試合を見ている。ただそれだけのことをカメラは追い続けます。一瞬でも大谷選手を画像にしていれば、視聴率が取れるのでしょう。ものすごい人気です。

 大谷選手ばかりに注目が集まり過ぎて、村上選手も、牧選手も、影が薄く見えました。大谷選手は全くその存在が他の選手を圧倒しています。実際体格といいマスクと言い、インスタ映え間違いなしで、どこからどこまでも大スターでした。

 対戦相手の中国は、これまで中国が野球が盛んだと言う話を聞きませんので、最近になって作られたチームなのではないかと思います。リャン・ペイ選手が、戸郷からホームランを勝ち取ったときは、余りの意外さで一瞬東京ドームが静まり返りました。チームには日本で活躍している選手もいていい活躍を見せました。

 

 まず初めに大谷選手はピッチャーとして登場します。そして次々にスリーアウトを決め、あっさり三者を押さえます。4回までピッチャーを務め、難なく敵を制しました。攻守が変わって、日本チームがバッターボックスに立つと、すぐに大谷選手が打者としてボックスに立ちます。これではまるで大谷劇場です。

 日本人は長いことこんな選手の登場を待ち焦がれていたのです。もはや、王、長嶋と言う選手は遥か彼方の人で、今は大谷選手が全ての選手を圧倒して人気を独り占めしています。いや驚きです。

 WBCのメンバーを見ても、これだけの選手が揃うと言うことは、後にも先にも考えられないことで、野球というスポーツを見る限り、日本は今が頂点なのではないかと思います。その中でさらにすべてを圧して存在しているのが大谷選手です。

 試合は、順調に点数を伸ばし、8対1と言うスコアで終わりました。大谷選手はホームランこそ出ませんでしたが、2ベースヒットと、一塁ヒットが出て、いずれも得点につなげています。今日(10日)は日本対韓国戦があります。韓国の野球は実績がありますので、この試合は白熱すると思います。しばらく他のことが手に付きません。

 

バフムト陥落か

 ウクライナ侵攻がその後どうなったのか。冬の間、余りの寒さから、しばらく大きな作戦がなくて、互いが睨み合っていたものが、3月に入って急に戦いが動き出したようです。場所はウクライナ東側、バフムトと言う都市を挟んで、ウクライナとロシアが対峙しています。市街地はウクライナが守っていて、強固な陣地を築いているのですが、この都市をロシアはしゃにむに攻め立てています。

 もともとこの辺りは、ブリゴジン率いるワグネルが攻めていた地域ですが、このところ、大量の兵士を送り込んで、数で圧倒しようと考えているようです。とにかく、兵士の退却を認めず、退却してくる兵士に対して、ロシア軍が機関銃を撃って、殺戮をしていると言う情報まであります。これはかつての第二次大戦の際のスターリングラードの状況とまったく一緒で、いかなる犠牲を払っても徹底して攻め続けると言う戦いをしています。

 ロシアとすれば、ここで何としても勝利を手に入れたいようです。バフムトを手に入れることで東ウクライナを掌握したかのような実績を残せば、この先、国民を納得させる意味でも、新たな兵士の投入の際にも、勝ち戦の支援であれば、士気も随分違ってくるのでしょう。

 しかしロシアに勝利が来るかどうかは疑問です。既にドイツやポーランドから新たな戦車や武器が続々ウクライナに、到着しています。対して、ロシアはそろそろ武器弾薬が底をつきかけていと聞きます、また、兵士の数が激減しています。

 バフムトをロシアがなんとか占領できたとしても、もう戦いはそこまでで、既にロシアの体力はなくなりかけていると思います。無論、ウクライナも同様で、ウクライナの死者もこの一年で20万人くらいになっていると聞きます。元々武器もNATO頼みですし、支援があると言ってもロシアの軍事力と比べたなら明らかに非力です。

 今仮に、ここで休戦をしたとして、果たして、ウクライナが勝利したと言えるのかどうか。同様にロシアが勝利したと言えるかどうか。互いが大量の死傷者を出して、疲弊しただけではないかと思います。

 かつてのスターリングラードの戦いは一方的にドイツ軍に攻め込まれて来たものを、愛国心から戦っていたのですが、今、バフムトの町を攻める理由は何なのか、ロシア人には見当もつかないでしょう。愛国心で戦っているのはウクライナであって、他人の国に攻め込んでいるのはロシアなのですから。

 ここで命を犠牲にして、敵の陣地に攻め込んで行くロシア兵は、全く理不尽な命令で命を落としていることになります。ロシア兵や、ワグネルの傭兵は、「明日総攻撃をする」。と命令をされれば、「明日で自分の命が終わる」。と観念するほかはないのでしょう。

 共に現代に生きていながら、方やハイボールを飲みながら大谷選手の活躍を温かい部屋で観戦している日本人が大勢いるのに、マイナス30度の寒空で、満足な暖房器具もないまま、明日の総攻撃に怯えているロシア兵がいるのとでは大きな違いです。そんな境遇にいるロシア人は気の毒です。

 誰が考えてもこんな戦いはすぐにやめるべきですが、やめる気配はありません。互いに引けないところに来ているのでしょう。むしろ一層激化しています。この先、ウクライナに戦車やミサイルが届けば一層戦争は拡大するでしょう。

 でもそれがウクライナの勝利につながるのかと言えばそうではないようです。一層犠牲が大きくなるだけなのでしょう。もう冬は終わろうとしているのに、出口の見えない戦いは続いています。

続く