手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

プリゴジンどこへ 

プリゴジン どこへ

 

 最近人の名前が出なくなって、何とかいい方法はないかと考えた末、近い言葉で覚えたら名前が出て来るのではないか、と気付きました。ロシアの政商。プリゴジンと言う人の名前が時々出て来なくなります。

 何とか思い出せる方法はないかと考え、プリゴジンナシゴレンは似ていると気付きました。そこで、食べ物、ナシゴレン、と思い出してから、そこからプリゴジンに飛べば何とかなると思い、プリゴジンさんをナシゴレンと一緒に記憶しました。

 先週、私はブログで、「近々、ロシア国内で政変が起こって、プーチンさんは、失脚するのではないか」。と書きましたが、それを裏付けるかのように、3日前に、プリゴジンさんが、自らの兵である、ワグネルを率いて、ウクライナの前線から離れて、モスクワに進軍したと言う情報が流れました。

 今朝はそれを話題にしようと、名前を思い出そうとしますが、名前が出て来ません。「大丈夫、そんな時には食べものを思い出せばいい」。そこでいろいろ想像するのですが、ナシゴレンが出ません。どうもトムヤンクンが良く出て来ます。

 「いや、違う。そんなロシア人はいない]。いろいろ考えますが、少しも名前が出て来ません。やがて、不意に、ナシゴレンが出て来ました。「そうそう、ナシゴレン、その名前に似た、ロシア人」。考えても考えても、余計にわからなくなりました。結局ネットで調べてプリゴジンさんが出て来てめでたしめでたし。

 そのプリゴジンさんが、電撃的に政権奪取の行動に出たのか。と思いきや、どうも、プリゴジンさんは、陸軍内部の分裂に期待し、多くの軍人が同調するのではないかという思惑で行動を起こしたようです。それが思いのほか、軍部が動かないために、進軍が止まってしまいました。ワグネルが起爆剤にはならなかったようです。

 モスクワへの進軍は、途中でどうなったのかわからなくなってしまいました。恐らく、プーチンさんとの話し合いで、未然に解決が付いた様です。一体何がどう解決したのかは謎で、外からは全く一人芝居に終わったように見えます。

 恐らく裏ではいろいろ話し合いがされて、プリゴジンさんは、ひとまずベラルーシに逃れたと言う話が流れています。そうならこれでクーデターは回避されたのかというとそうでもないようで。まだ数多くの反対勢力があって、それを収めるためにプーチンさんは必死に裏で動いているようです。

 

 ただ、プーチンさんの手詰まり感は明らかで、ウクライナから軍を撤退させるか、あるいは、自らが政界から退く以外には解決の糸口は見えないようです。そのことは多くのロシア人も気付いているのですが、伝統的にロシアは強大な権力を持った指導者の前では何も言えないために不満はくすぶり続けています。

 そうであるなら、なぜプリゴジンさんだけが、軍の批判をしたり、プーチンさんを退陣に追い込もうとしたり、進軍を始めたり、言いたいことやりたいこと仕放題ができるのかが不思議です。どうも、プリゴジンさんの行動の背景には、プーチンさんの了解があってしているのではないか、という、了解済の行動が見られます。

 それでも、今回のような、なぜ進軍をしたのかは分かりません。プリゴジンさんが、プーチンさんを完全に見放したのかどうかもわかりません。この三日間の一連の行動は謎です。但し、確実に言えることは、ロシアはこの戦いに疲れて来ています。

 これ以上兵士を徴兵によって集めることは難しくなってきていますし、衛星国の協力も得難くなってきています。中国や、インドは、EUやアメリカの行動を模様眺めしているばかりで、積極的にロシアを支援してはいません。

 うっかりロシアを支援すれば、世界中からにらまれて、貿易制裁を受けかねませんから、うかつな行動はとれないのでしょう。

 

 そうなると、ウクライナからすれば、今ロシア軍を追い出すのは最大のチャンスのように見えます。ところがなかなか思うようには行きません。大規模な反攻をするには、そもそものウクライナ軍の規模が小さすぎるようです。戦闘機が足らなすぎますし、大きな戦闘の指揮をとれる軍人もいません。これまでのゲリラ戦法なら、うまく行っていたものが、大きな軍を動かすとなるといろいろな点で不足が目立ちます。

 ロシア軍のしっかりと装備された陣地を相手にして戦うと、ウクライナ軍は、互角か、または4分6で負けてしまいます。そうなると、背後で支援していた、欧州各国が失望し、武器や資金の支援がためらいがちになります。

 元々装備の不十分だったウクライナ軍にとっては、欧州やアメリカの支援が弱まると、即敗北につながってしまいます。当然のごとく一戦一戦が負けられない戦いなのですが、戦争は、武器の量と、戦う兵士に熟練度が大きく作用しますので、ウクライナ軍にとっては戦争が拡大するにつれ、厳しい戦いを強いられる結果になります。

 それでも確実なことは、ロシア軍は武器弾薬がどんどん減って来ていますし、補給の道も閉ざされています。逆に、ウクライナは続々支援が続いています。このまま戦いを繰り広げて行ったなら、戦局はウクライナに有利になって行くことは見えています。

 ここで、確実な大戦果が上げられれば、和平の道も生まれてくる可能性はあるでしょうが、どうもこの戦いは初めから、ロシアがずるずると侵攻してきたことに対しての防衛戦ですから、大きな戦果というものは上げにくいでしょう。

 それでも、これまでウクライナから奪ったロシアの細長い占領地を、真ん中あたりで分断して、東のドンバス地域と、西のクリミア半島地域との中央部分の動脈を完全に分断してしまったなら、一つの休戦のきっかけにはなるのではないでしょうか。

 あるいはそのクリミア半島を奪還したなら、これは明らかな勝利ですから、終戦の話し合いになるでしょう。但し、そうなったら、その時点で、もうプーチンさんは指導者ではなくなっているでしょう。散々戦争をして、クリミア半島まで取られてしまうのですから、完全な敗北です。

 休戦になるのはいつのことでしょう、年内でしょうか。早く解決がついたらいいのですが、どうもこの先にとんでもない大不況が来そうです。欧州も駄目、アメリカも駄目、中国も駄目、日本も駄目、世界中の機能がストップするような不況が来そうです。そうなればマジシャンの生活などあっという間に吹っ飛んでしまいます。

 飛ばされないように。せめて体に重しでもつけて、頼りになりそうな人の影で、風雨をしのいで寄り添って生きて行けたらよいと思いますが、今度の不況は厳しそうです。

続く