手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

大谷選手の輝き

大谷選手の輝き

 

 世の中の出来事が、明日の予測が全く立たないことばかりなのに対し、アメリカ野球の大谷翔平選手は。連日撃ちまくり、ホームランを既に25本も飛ばし。守っては、奪三振を奪い続け、大活躍をしています。恐らく、今年、来年、再来年の三年間が大谷選手の人生にとって、最もいい成績を残すのではないでしょうか。

 間違いなく大谷選手は、歴史に残る大選手です。これまでも実力によって、数々の記録を更新し、ベーブルースの歴史を乗り越えています。然し、もうこれからは、ベーブルース以来の、という冠詞は不要でしょう。大谷翔平こそが人と比べることのない前人未到の記録を作って行きます。

 先々週は、一週間で6本のホームランを打っています。一日2本打った日もありますが、単純に言って、毎日1本打ったことになります。試合を見ていると、大谷選手が、こともなげにホームランを打つため、何か簡単なことをしているように見えますが、1本打つのでも簡単ではありません。プロ野球選手で、一か月に1本のホームランが打てない選手はたくさんいます。

 そもそも、打者が、ヒットを打つ時と、ホームランを打つ時では打ち方、力の入れ方全てが違います。内野安打を打つときにはそれほど大きな力を入れる必要はなく、力よりも角度の方が重要です。相手の守備の薄いところを狙って打つのですが、方向が確実に決められるときには、ヒットが連発します。

 然し、ホームランは違います。ホームランは始めからホームランを打つ気で撃たなければ139mなどと言う飛距離を生むことは不可能です。ホームランはホームランであって、飛ばなければフライでしかないのです。

 そのため、選手の中には、ホームランを狙わず。ひたすら、小技でヒットを繰り返して得点を稼ぎ、実績を上げる選手の方がはるかに大勢います。ところが、大谷選手は、バッターボックスに立ったら、一回はホームラン狙いのスィングをします。

 もう初めからホームランを打つ気なのです。ピッチャーにすればこんなに怖い選手はいません。いくら他の選手から三振を奪って、相手チームを押さえて来ても、大谷選手の一撃で人生が狂わされてしまうのですから。

 そのため、どうしてもフォァボールが多くなります。大谷選手は打ちたいと身構えているのですが、ピッチャーによっては、敬遠のフォァボールをやります。これはアメリカの野球ファンからすれば、期待を外されます。わざわざ野球場まで足を運んだのは、目の覚めるようなホームランが見たいからなのです。戦う意思のないピッチャーには失望します。

 実際大谷選手も、フォァボールによって、ホームラン記録は阻まれています。実力が付けば付くほど、記録達成は難しくなるのです。フォァボールは観客にも選手にも野球熱を冷まさせ、問題ありなのですが、野球界は改める気配はありません。そうした中での今季大谷選手の25本のホームランは立派です。MLB選手に選ばれるのは当然です。

 大谷人気は、野球の世界だけではなく、全米の企業が、コマーシャルに使うタレントとして、野球界では断トツのトップです。収入はナンバーワンです。簡単なようですが簡単ではありません。アメリカ人が、白系以外の野球選手をコマーシャルに起用することは珍しいのです。

 疑う前に、日本でも、お雇いの外国人選手が、いくら成績がいいからと言って、コマーシャル界で軒並みコマーシャルに出まくると言うことは考えにくいでしょう。あらゆる選手を押さえてナンバーワンの実績と言うのはものすごいことです。

 

 その大谷選手が、今年、チームを移籍する話が、去年から騒がれています。エンジェルスは大谷選手のやりたいことを自由にやらせてくれる有り難いチームではありますが、チームの実力に難があります。大谷選手がいくらホームランを飛ばしても、総合的な実力は他のチームに追いつかないのです。

 そこで移籍と言う話になります。そんな矢先に、ウォルトディズニー社が、エンジェルスの筆頭株主になって、てこ入れをすると言う話が出て来ています。同じロサンジェルスの企業、ディズニー社からすれば、エンジェルスを所有することはあらゆる面でメリットがあります。単純に言えば、ミッキーマウスだけの人気に頼らずに、大谷選手までも手に入れられるわけですから、願ってもないチャンスです。

 元々、今から70年前はディスニー社がエンジェルスの筆頭株主だったわけですし、ディズニーランドと、エンジェルスの球場が近いところにあるのも、スポンサーが同じだったからです。

 そのディズニー社が、「大谷選手付きならば」、という条件で、エンジェルスに大きな投資をしてもよい、という話を持ち掛けて来ているそうです。そうなればそれは大きな話題になります。ディズニー社社がどれくらい資金を出すかによって、エンジェルスが、選手の質を変えることも可能ですし、それによって大谷選手もチームに残る可能性もあります。この先エンジェルスにとっては大変革が生まれる可能性があります。

 もし、ディズニー社との交渉がうまく行かないとすると、移籍は本格化して、大谷選手の本命は、ドジャースになる可能性があります。ロサンジェルスは元々が日系人の多い地域ですから、そうした地域から離れることなく、すんなり移籍するには、同じロサンジェルスにある、メジャーチームのドジャースへの移籍は最も妥当な判断です。大谷選手も、今の住まいを引っ越すことなく、移籍が出来ますので、いろいろ便利でしょう。

 但し、問題は契約料です。次期の大谷選手の契約料は、全米野球界では最高の契約金になるともっぱらの評判です。ドジャースのオーナーがすんなり契約金を支払うかどうか。仮に、ドジャースがうまく行かなくても、ヤンキースでも、どこでも今の大谷選手なら、手放しでウエルカムです。

 現在、大谷選手はエンジェルスと一年契約で3000万ドルの契約をしています。コマーシャル料は、全部で2000万ドルあり、合計5000万ドル(72億円)が、大谷選手の年収です。来年の移籍にいくらの値段が付くかはこれからの話し合いですが、アメリカ野球界一番の値段になることは予想できます。

 それにしても、大谷選手自身は、少しも金銭に集中していません。収入よりも自由に野球をやらせてくれるチームで活動したいのです。そうした点では案外エンジェルスに残る選択肢もあるのかも知れません。ミッキーと大谷選手のツーショットのシャツが売り出されるのも、そう遠くないことかもしれません。

続く