手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

大谷選手の危機

大谷選手の危機

 

 ついに大谷選手に危惧していたことが起こりました。23日にメッツ戦で、44号ホームランを打った大谷選手が、この日も二刀流で、二回にピッチャーをしていたのですが、急に腕の痛みを感じそのまま降板してしまいました。

 さて、そうなってからはアメリカの野球界も大慌てです。でも、それは当然のことです、連日マウンドに立たせて、なおかつ二刀流を売り物にしているエンジェルスのやり方では、いつか大谷選手は選手の寿命を早めてしまう結果になります。

 大谷選手当人は、頼まれればマウンドに立とうとします。それは野球が好きだから、何としてもマウンドに立ちたいのです。然し、如何に超人とはいえ、やはり大谷選手は人なのです。体を酷使すれば必ずその弊害が出て来ます。無理なことは無理なのです。

 結局のところ、エンジェルスが観客を集めているのは、偏に大谷選手人気です。他に呼びものがなさすぎます。大谷選手が調子がいいから観客が来ているのであって、ひとたび大谷選手に何かあれば、もうお手上げなのです。

 こんな形の野球は危険です。何から何まで大谷頼みの野球では、この先大谷選手が移籍するようなことになった時にどうするのでしょうか。大谷選手も、今のエンジェルスで自分が出なければ観客が湧かないことは分かっているので、無理してでも出なければならないのです。こんな状態で野球を続けていては体がもちません。二刀流の寿命がどんどん縮まってしまいます。

 恐らく、大谷選手の今回の靱帯損傷の問題が出たことで、秋の移籍の契約金は、大幅にダウンする可能性があるでしょう。「やはり二刀流には無理があるんだ」。と、多くの人が気付いたのです。過去に、靱帯損傷で入院をした経験があるわけですから、その悪夢が甦ってきました。如何に大谷選手自身が大丈夫と言っても、やはり不安は残ります。

 でも、この際、そこをはっきりさせて、医師とトレーナーの管理によって、スケジュールを決めたらいいと思います。しばらくは投手として出ることは控えるようです。それはいいことです。

 

 それにしても、従来からの野球の「申告敬遠」(意図的にフォァボールをして、打者を一塁に送ってしまうやり方)は早急にルールを改めない限り、野球人口を減らします。これは野球界の闇です。

およそスポーツで、特定の選手に配慮して、勝負を避けると言う戦法は、成り立ちません。明らかにアンフェアな行為です。

 バッターの立場とすれば、打つために毎日訓練を積んでマウンドに上がっているのですから。バッターが強打者だからと言って、それを拒否しては試合になりません。観客も、大谷選手のホームランが見たくて野球場に足を運んでいるのに、大谷選手が出る度、申告敬遠をしていたのでは失望します。ブーイングが出て当然です。

 ここは野球のルールを改正して、意図的なフォアボールは違反にしたらいいと思います。そうでないとせっかく野球に興味を持った人が増えて来て、野球場に観客が戻ってきているのに、こんな形で大谷選手のホームランが見られないのでは観客の失望がストレスに変わってしまいます。

 チームの勝敗よりも何よりも、野球は、もっともっとホームランが気持ちよく見られる場を作るべきなのです。そしてスポーツとして、野球のテンポを速めるべきなのです。今のままでは駆け引きばかりが目立って、少しもスポーツの面白さが表現されません。

 それが同時に大谷人気に水を差しています。「なぜ申告敬遠のようなことを平気で行うのか。全く観客の求めに答えていないではないか」。と多くの観客は不満に思っています。この際野球のルールを改正してでも、大谷選手を打たせるべきです。そうしないとこの先野球ファンはまたまた減少してしまいます。

 打てる選手には思いっきり撃たせる野球をみんなが求めています。大谷選手の野球生命に限りがある以上、何もせずに一塁に送るなどと言う行為はばかげています。これだけの逸材をもっともっと活用しないで終わらせてしまうのは勿体ないと思います。

 観客も、大谷選手の靱帯が完治するまで辛抱強く、ピッチャーとしての活躍を待ちましょう。中途半端に二刀流を使うと、二度と大谷選手の活躍が見られなくなるでしょう。一日でも長く活躍してもらうように、気長に怪我の様子を見て行く以外ありません。と言うわけで、二刀流はしばらくお休みです。でもそれでも野球は楽しいからいいのです。特に日本人は、誰も文句を言える筋合いではありません。テレビで只で見せてもらっているのですから。

続く