世界一のスポーツ選手
度々このブログで大谷選手のことを書いてきましたが、今年に入ってからの大谷選手の人気は異常な盛り上がりです。そもそも、エンジェルスと言うマイナーなチームに所属しているために、エンジェルスは、試合自体がアメリカのテレビで放映される機会が少なかったのです。
そのため、大谷選手の活躍は、日本のマスコミは逐一報道していますが、アメリカ人の間では一部のファンの中ではよく知られていても、今一つその実力を知らしむるには至らなかったのです。
それが先月のＷＢＣでの活躍を全米のスポーツファンが見るに至って、大谷選手の実力が知られたのです。そのＷＢＣ自体も、アメリカではさほどに話題となる催しではなかったのですが、大谷選手がすごいらしいと言う、噂が広がり、実際見て見るととんでもないスター選手であることを知ったアメリカ人の間で人気が爆発しました。
とにかくこの20年間、サッカー、ラグビー、バスケットボールに人気を奪われて、低迷し続けていたアメリカ野球は、打開策が見いだせないまま集客力を落としてきました。そんな中、大谷選手が現れてからは野球界全体が活気づいてきました。全く一から十まで大谷選手のお陰なのです。
どこへ行ってもエンジェルスとの試合になると、相手チームの野球場も満席になり、大谷と書いたシャツや、帽子が売れまくります。球場の中は、エンジェルスのシャツを着た大人と子供の野球ファンが一杯です。大谷選手に関するグッズは、販売するとすぐに売り切れになります。
こんなことは今までなかったのです。どんなに実力ある選手でも、アジアの選手を応援するアメリカの子供と言うものが現れることは殆どなかったのです。それが今や、一様に野球ファンからも、一般のアメリカ人からも、大谷選手はかっこいいと言われ、コマーシャルでも、野球の試合でも、大谷選手が映っていないと視聴者は機嫌が悪くなるほどに人気が上がっているのです。
もう今や、全米の全てのスポーツ界のプレイヤーの中でトップの人気です。何しろ、恵まれた体格。少女漫画の主人公のようなすがすがしいマスク。寡黙ですが、きっちり受け答えが出来て、言葉をしっかり選び、頭の良さと育ちの良さを感じさせます。どこを取っての一流の人格と、優れた人間性が伺えます。
これなら、誰も文句はつけられません。そんな人である上に、野球選手としては、ピッチャーとしても一流、バッターとしても一流で、二刀流と言う信じられないような戦いを連日繰り広げています。
試合のたびに、ピッチャーで出ると、160㎞の剛速球を投げ、相手を三振に落とし、その裏でバッターとしてヒットを打つ。まるでエンジェルスの試合は、大谷選手のためにあるようなもので、野球は大谷選手を見るためのもので、周囲の選手は大谷の引き立て役になってしまっています。
観客の中には、野球のルールを良く知らないで、大谷見たさで来ている観客も大勢います。彼ら、彼女らは、大スター見たさに、何時間も並んでチケットを買い、大谷グッズを買い求め、プラカードを作ってひたすら応援をしています。
それが結果として、どこの野球場も、大谷選手が出たなら満員になります。「大谷が出ると、観客が20％増える」。と言います。アメリカの野球場は3万人から５万人入りますから、5万人なら、20％は1万人です。それだけの観客が大谷選手目当てで増えると言うことになります。一回1万人観客を増やす野球選手と言うのは大谷選手以外にはありません。
ものすごい人気です。何にしても、大谷選手一人存在することで、アメリカ自体が変わってしまったのです。彼は人種差別の間違いを身を以て示し、それを乗り越えて、日本人の優秀性を見せつけています。
いまだに私でも、アメリカで活動すると、人種差別のいやな思いを経験することがあります。日本人などはそうした差別に合うことが少ないとは思いますが、それでも消えてはいません。その中で、大谷選手の活躍はどれほど日本人の優秀性を訴えていることか、計り知れないものがあります。
皮膚の色で能力を決めることなどナンセンスです。どんな人でも能力は、その人の持って生まれた才能と努力によって作られます。そんなことは言わずもがなですが、それを繰り返し言わなければならないほど人種差別は根強いのです。
ＷＢＣと言う、世界中のプロアマ混合の野球大会で、野球本来の面白さを伝えた、日本の選手の試合は貴重で、余りＷＢＣを評価していなかったアメリカのプロ野球選手も、野球関係者も、今回のテレビやネットの効果を見て、本気になって野球の宣伝媒体としてＷＢＣの効果を知ったようです。
そこで今期の試合が終わると、大谷選手はエンジェルスとの契約が切れます。どこの球団に移籍するのかはまだはっきりしませんが、その移籍料や契約金がいよいよ800億円になると言う噂です。そうなれば文字通り、アメリカ一の野球選手として認められることになります。
但し、大谷選手は、契約金のことにあまり頓着していないようです。元々アメリカで自由に野球をさせてもらえればそれで満足なようで、但し、自分の記録を伸ばすために、今のエンジェルスではチームが弱すぎる上に、マスコミの露出が少ないため、先々を思うと移籍に興味があるらしいのです。無論、ヤンキースや、ドジャースが好条件で入団を求めて来たなら、気持ちは動くでしょう。然し、金額は余りどうでもいいようです。
飽くまで二刀流を認めてくれて、チームが支えてくれるだけの力があるなら、移りたいのです。それには自身も、今季大活躍をして、記録を伸ばせばその望みは実現するでしょう。何にしても簡単にここまで来たわけではありませんから、その努力はこの先も続きます。
見えないところで苦労していながらも、マウンドに立つと涼しい顔をして、ホームランを打つところが大谷選手の魅力なのだと思います。とにかくすごい選手になったものです。ただただ驚くほかはありません。同じ時代に生きて、活躍を目の当たりに見られることを誇りに思います。
但し体に気を付けて下さい。こんな生き方は時限爆弾を抱えて生きることと同じです。不調が感じられたらすぐに休んでください。無理を繰り返せば命にかかわりますから。
続く
