手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

凄いぞ大谷

凄いぞ大谷

 

 本当は今日は室町時代の文化のお話をしようと思っていたのですが、この一週間、大リーグの大谷選手の活躍が素晴らしく、全く無碍にも出来ないと考え、今日は、大谷選手の話をします。

 22日の大谷選手の活躍は、まさに伝説となるべき試合でした。とにかく、スリーランホームランを二回も打ち、更には二点追加のヒットを打ち、大谷選手だけで8点も点数を稼ぎあげました。最後の最後まで同店で期待を持たせ、観客をくぎ付けにしました。にもかかわらずエンジェルスは負けています。大谷選手がいなければ全くパッとしない球団なのです。

 さらに26日には、16号ホームランを打っています。大谷選手のバッティングは、ホームランを打つとすぐにわかります。大ぶりで、形の良い堂々とした打ち方ですから、打った瞬間に「あっ、ホームランだ」と分かります。同時に、相手選手が残念そうな動作をしますので、撃たれたことは相手にもすぐに分かるのでしょう。

 多くの観客は、大谷を見たくて集まって来ます。試合そのものにはあまり興味がないのでしょうか。静かな球場が、大谷選手が出て来ただけで盛り上がります。毎回「ショーヘイ オーオターニ」とアナウンスが出ると、それだけで観客席は大騒ぎです。ピッチャーと大谷の駆け引きに観客は一喜一憂します。仮に三振で終わっても、大谷が出て来て、バットを振っただけで観客は喜んで見ています。

 それがスリーランホームランとなると、その熱狂は想像を絶します。更に更に九回で再度スリーランホームランを出すに至っては、こんなことは歴史に残る大事件だとばかりに、騒ぎが止まりません。実際、一回の試合で8点もの得点を挙げた日本人選手は、大谷選手が初です。

 この日のホームランが、14号、15号です。このところ、大谷選手を敬遠するピッチャーが多いため、ホームランを打つことも難しく、なかなか記録を伸ばせません。幾ら素質があっても、相手があってすることですから、簡単に球を撃たせてはもらえないのです。大物になればなるほどその地位を維持することは難しくなります。

 然し、いつも大谷選手はさわやかです。悪びれる風もなく、打っても打たなくても、いつも上機嫌でバッターボックスに立ちます。そして、毎度毎度マウンドに立ち、ピッチャーとしても大活躍をします。今やエンジェルスは大谷選手のためのチームになってしまっています。みんなが大谷選手見たさに集まってきます。

 

 さて、この先、契約問題が起こったときに、大谷選手はどうするのか、興味があります。余りに大きくなった大谷選手との再契約に、エンジェルスは支払い切れないだろう。と大方は予想しています。然し、そうは言ってもそれじゃぁ、今のエンジェルスから大谷選手が消えてしまったなら、全くさえないチームになってしまいます。

 誰が考えても、このまま大谷選手を手放すことはチームの損失だと言うことは分かります。ファンから募金を募って、資金を集めるか、何か思い切ったことをしなければ大谷選手をつなぎとめることは出来ないでしょう。この先どうなるかは全く私には予想が付きません。

 当の大谷選手は、全く金銭問題を語ることはありません。住んでいるアパートも小さなものだそうですし、食事も選手の与えられている食事で満足していて、一日一万円も使わないなどと言っています。ほとんど外食をしないそうです。服装も、BOSSの地味な服を着ていますし、車も小さな車に乗っています。夜な夜な酒を飲み歩くなどと言うことをしないのです。どこと言って目立った生活をしていないのです。

 彼は、チームとの契約料のほかに、たくさんのコマーシャル料金をもらっていますし、取材や、テレビ出演もこなしています。取材やテレビは、出るには出ますが、あまり出たがらないようです。とにかく時間があれば体を休め、そして練習がしたいのです。金のために動くと言うことは一切しないようです。

 そうなると収入アップのために球団を変えると言う選択もあまり考えてはいないようです。むしろ、大谷選手にすれば、せっかく自分が取った得点がチームの勝利に生かされていないことの方が不満があるようです。つまりエンジェルスは弱いのです。

 勝ち負けは運ですから致し方ないとしても、弱いと言うことになれてしまって、負け癖がついているのです。もう少し何とかしようと言う、もう少しがないのでしょう。チーム全体に負け癖が蔓延していて、負のスパイラルに陥っているのです。

 大谷選手は、出来ればもう少し働き甲斐のある仲間と一緒に野球がしたいのでしょう。そうであるなら、当然他球団に移る可能性は大きいと思います。大きな球団に入って自由奔放に活躍できれば、大谷選手にとって最高の人生が訪れると思います。

 が然し、今のまま二刀流を繰り返すのは危険です。絶対に体に無理がかかっているはずです。結果として選手の寿命を早めてしまいます。かつてのベーブルースも二刀流で活躍しましたが、途中からバッター専門に切り替えました。当然なことだと思います。ベーブルースの時代とは違い、今はピッチャーは150km以上のスピードを出さなければならず、変化球を駆使しなければいけません。体の負担が大きすぎます。

 既に一度肩の手術を経験している大谷選手が、この先いつまた怪我が起こるかわかりません。無理をすれば必ず体に負担がかかります。なるべく長くこの道で生きて行くためにも、バッターに専念したほうが良いと思います。

 と幾ら私が言ったとしても、彼が、「はいそうですか、それならば」と、手品師の言うことを素直に聞くことはあり得ないでしょう。でも私は一ファンとして言い続けます。同じ時代に生きたものとして、大谷選手の活躍を見られることは幸せですし、その幸せは一日でも長く続いてほしいと思います。そのために無理はしないよう願っています。

続く