手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

イスラエルとウクライナ

イスラエルウクライナ

 

 ウクライナとロシアの戦いが解決しないまま、イスラエルパレスチナハマス)との紛争が始まり、いよいよ中東戦争開始か、とネットで騒いでいる人がありますが、そう考えるのは早計です。今日、バイデン大統領は、イスラエルを訪問します。これは恐らく武器弾薬の支援と言う話ではないでしょう。

 アメリカは今現在、ウクライナの支援をしています。そこから更にイスラエルを支援できるか、と言うと、アメリカ議会の多くは、ウクライナ支援そのものに反対している議員が多いのですから、ここでイスラエルにまで軍事支援が必要となると、アメリカも手放しで協力は出来ないはずです。

 然し、そうは言ってもアメリカは伝統的にイスラエルに関しては協力的です。それはアメリカの金融界、政財界の多くをユダヤ人が牛耳っているからです。アメリカ国内で彼らの発言力は大きいのです。

 なぜアメリカにユダヤ系の金融業者や財閥が多いのかと言うと、昔から度々ヨーロッパで戦争が起きたときに、ヨーロッパにいたユダヤ人の金融業者は、その都度財産や、生命が戦争によって脅かされて来たのです。戦争のたびにユダヤ人は、強い国に金を貸して、肥え太って来ましたが、欧州の不幸によって肥え太るユダヤ人は欧州の人々にとっては怨嗟の対象でした。時に財産を没収されることすらありましたし、帝政ロシアではユダヤ人の虐殺すらありました。そうなる前に、安全な土地に財産を移しておかなければなりません。そのため、ユダヤ人は本拠地をアメリカに移したのです。

 特に第一次世界大戦第二次世界大戦は、ユダヤ人に巨大な利益をもたらしたのです。大戦後のアメリカの繁栄は、ユダヤ人が築いたのです。それゆえ、アメリカ政府はユダヤ人を支援せざるを得ず、戦後にユダヤ人がイスラエルを建国するときには、積極的な支援をしてきたわけです。

 逆に言えば、アメリカのイスラエルに対する積極的な支援は、ヨーロッパ各国にとっては複雑な思いがあります。ヨーロッパのどこの国が戦いをしたとしても、勝っても、負けてもユダヤ人は儲かりました、そしてその利益をその国には使わず、他国に移してしまうのですから、ユダヤ人に対する反感は根強く残ります。

 

 話を戻して、今のアメリカがウクライナイスラエルの二地域に武器支援することは出来ません。恐らくバイデンさんは、アメリカの財政状況を正直に伝えに行くのだと思います。「今はウクライナの問題で手いっぱいだ。今回は大した支援は出来ない。だから、ハマスの問題は小さな紛争に収めて欲しい」。と本音を話すのでしょう。

 イスラエルとしても、アメリカの大きな支援がなければ、積極的な戦争は出来ません。イスラエルを支援する国は、アメリカと欧州各国です。然し、欧州各国は根強いユダヤ人に対する不信感があります。アメリカに言われれば支援はしますが、積極的に協力する気はありません。

  対して、パレスチナ人(ハマス)を支援しているのは、イランです。イランは昔からパレスチナを支援しています。それは中東地域の複雑に絡み合う少数部族をまとめられるのはイランを置いて他にはないと言う自負があるからです。そしてそのイランと仲が良いのはロシアです。ロシアは昔からイランに武器供与をして良好な関係を保っています。特にアメリカによる一方的なイラン戦争の際に、随分ロシアは陰でイランを支援してくれたのです。

 ロシアは今、イスラエルハマスの紛争を煽れば、アメリカがイスラエルを支援せざるを得ず、そうなれば、アメリカのウクライナに対しての軍事支援の何割かがイスラエルに割かれることを知っています。そのためロシアはイランを焚きつけて、イスラエルハマスとの戦いを大きくしようと考えています。

 然し、どうでしょう。イランが本気でアメリカと張り合ってまで、武器供与をするでしょうか。イランの背後にロシアがあったとしても、およそ今のロシアでは頼りにならないでしょう。方や、イスラエルは、アメリカプラスNATOが支援しています。

 如何にNATOユダヤ人に懐疑的だとしても、アメリカや先進国がみんなしてイスラエルを支援したなら、イラン一国ではハマスを支え切れないでしょう。バイデンさんが、イスラエルを訪問している間も、イランは裏で、ハマスに対して、どこかでイスラエルと和解したほうがいい。と話しているはずです。

 つまり、今回の紛争は、中東戦争などと言う大それた戦争にはならず、恐らくしりすぼみに終わることでしょう。

 

 さてそうなったとして、ウクライナです。今現在、ウクライナはなんとかクリミア半島を奪還しそうな勢いです。ウクライナは常に果敢な戦いをし、方や、ロシア兵はやりたくもない戦いに駆り出され、消極的な戦いを繰り返しています。武器も食料も兵力も不足して来ているロシアにとって、もうこの先に勝利の可能性はないでしょう。

 ロシアの衛星国も、ロシアの態度に疑問を持ち始め、少しずつロシアから離れて行っています。どうもプーチンさんの指導力に陰りが見えています。そうなら、次の選挙でプーチンさんは失脚するのかと言えば、そうはならないでしょう。

 ロシア国内で強大な権力を持ったプーチンさんを凌ぐ政治家がいないのです。それゆえにロシア人はプーチンさんを支持し続けるでしょう。きっとプーチンさんは、ロシアが崩壊する寸前まで生き残るでしょう。

 但し、そうなれば、ロシアは国力を大きく落として行くでしょう。仮にウクライナとの戦いが長期化したとしても、国力を失ったロシアは戦争継続をして行くことは出来なくなり、やむなく敗北を認めざるを得なくなるでしょう。

 それが来年くらいに終結するなら、ウクライナの復興も早く解決できるでしょうが、三年、五年先となると、ウクライナの復興には膨大な費用がかかり、なおかつ世界の景気が悪くなり、大不況が来るでしょう。1925年に起こった世界恐慌が、百年経って、再来する可能性があります。

そうならないためには、一日も早くウクライナの戦争を終結させなければなりません。その解決方法は、やはりゴルゴ13に頼らなければならないのでしょうか。

続く