手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

支援疲れ

支援疲れ

 

 3日前(9月22日)、ウクライナのゼレンスキー大統領はアメリカに行き、国連本部で演説をしました。以前に映像で演説をしたことがありましたが、今回は当人が直接やって来ました。ところが、国連の参加者の集まりが余り思わしくなかったのです。少なくともNATOの首脳である、フランスや、イギリスのリーダーなどは来るべきでしょうが、今回は休みです。

 肝心のアメリカもゼレンスキーさんとは少し距離を置きたがっているようです。それは顔を 合わせれば、武器や、借金の話になるからでしょう。さすがのアメリカも、ウクライナの戦いが1年半以上に及ぶと、支援にも限界が見えて来たのでしょう。

 戦争をすると言うことはそれだけ金がかかることなのです。ましてやロシアを倒そうとするには、とてつもない軍事費が必要です。そもそも、どこまで戦えばロシアに勝てるのかがわかりません。どんなに戦争に勝ってもロシアが負けたと認めない限り敗北はないのです。

 初戦に、ロシアが楽勝するかと思いきや、案外ウクライナが健闘して、ロシアの戦車をドローンで次々に破壊して行く姿を見て、欧州の人々が、「ロシアってあんなに簡単に負けるんだ」。と戦争を楽観視したことが、結果として今に至る長い戦いになってしまったわけです。

 実際には、東側、南側のロシア軍陣地を攻略する段になると、基地化しているロシア軍陣地は強く、簡単にはウクライナも攻略できません。一進一退を繰り返して膠着状態が続いています。

 そうなると、NATO各国は支援疲れがしてきて、徐々に武器供与も渋りがちになって来ています。元々ウクライナ侵攻は、NATO対ロシアの代理戦争のようなものです。

 個々の戦いで使われるNATOの武器が、どこまでロシアに通用するかを試しているかのように見えます。実際ロシアの遅れた武器は、次々にウクライナ軍に破壊されています。破壊される武器に対して、ロシア国内の製造が追いつかず、仕方なく北朝鮮から武器を借りたりしています。

 この北朝鮮の武器が、古物が多く、実際の戦闘でどこまで威力を発揮できるかが不明です。でも、足らないよりはましですから、急ぎウクライナに運んで使用しているようですが、守るのが精いっぱいで、大きな反攻は出来ていません。

 対するウクライナ軍はミサイル攻撃が盛んで、南部のクリミア半島なども、連日武器庫や、飛行場をピンポイントでミサイル攻撃をして、大きな戦果を挙げているようです。東部のドンバスもようやく主要陣地を突破して、地域奪還が見えて来たようです。

 ウクライナにすれば、アメリカや NATOの支援がある限り、ロシアに対しては有利な戦いができますが、逆に言えば、支援が切れれば即敗北なのです。先日の国連総会のように、欧州各国の支援疲れが見えてくると、この先どうなるかが心もとなくなります。

 ロシアはこれから二度目の冬が来ることを見越して、石油や天然ガスを欧州に供給する際に、武器供与をやめさせるように働きかけるでしょう。武器をウクライナに供与している国には、石油や天然ガスを値上げをしたり、輸出を止めたり、強硬な手段に出るでしょう。また、ウクライナ穀物も欧州に渡らないように制裁を加えるでしょう。

 欧州は、石油と小麦で二重の物価高騰を招き、更にウクライナへの武器貸与で税負担が増大するでしょう。そうなると、ウクライナを支援することに何の意味があるのか。とNATO各国の国民の不満が爆発するでしょう。ロシアはそれを待っているのです。

 では、ロシアが静かに時を待っていたら、戦争に勝利するかと言えば、そうはなりません。ロシア自身も、国内の少数部族や、衛星国から動揺が出始めています。このままロシアの言うことを聞いていて、それで安泰に生きて行けるのか。疑心暗鬼になっています。

 以前私は、ロシアはきっと分裂をすると書きましたが、それは思い付きで書いたことではありません。実は、ロシアは広大な国ですが、その中で純粋にロシアと言える地域は極めて小さな地域なのです。モスクワからペテルブルグ当たりの平原ひと固まりがロシアであって、それ以外の国は、全く違う種族の別人種が集まった国なのです。多くはイスラム教徒であったり、モンゴル人であったり、シベリアの狩猟民であったりします。

 彼らは少数民族ですから、国力がなく、仕方なくロシアに組み込まれていますが、ロシアと言う国への忠誠心などは殆どないのです。従っていれば何とか生活がして行けるから、従ってはいるものの、食料や、燃料が切れれば、すぐに反乱につながります。

 以前私は、ロシア人は食べ物とウオッカがあるうちは、プーチンに不満は言わない。と書きましたが、実際の衛星国の人たちは、食べ物とウオッカ(石油)が切れた時こそ反乱を起こす時なのです。

 どうもそれがそろそろ起こりそうな気配です。先日ロシアで石油の配給が止まったと言う記事がありました。石油がふんだんに採れるロシアでどうして石油の供給が止まるのか、不思議です。でもそれは不思議ではありません。石油は、掘っただけでは石油にはなりません。石油は精製して初めて石油です。石油工場の生産が追い付かなければ石油も止まります。

 今のロシアは、若者を兵士に駆り立てていますので、どこの工場でも人出が足らないのです。石油ばかりでなく、あらゆる生活物資が不足して来ています。徐々にですが、ウクライナ侵攻の敗色が誰の目にもわかるようになってきたのです。

 年内には、東のドンバス州と、南のクリミア半島を押さえたところで、アメリカやイギリス、フランスが、休戦案を出して、ロシアとの和解を計るのではないかと思います。然し、ゼレンスキーさんは絶対反対でしょう。なぜなら、休戦するにしても散々破壊された都市の復興費用は誰が支払うのか。ロシアが負担しない限り、ウクライナは納得しないでしょう。

 然し、ロシアは戦争を継続するも、やめるも、金がないのです。どうしますか。多分、NATO各国は、ロシアに対して、北方領土や、樺太を日本に譲渡して、日本から資金を求める解決策を示すのではないかと思います。世界を見渡してもまとまった金を出せる国は、アメリカか日本以外ありません。

 直接ウクライナの戦いに関与しないで、武器供与もしていない日本が、ウクライナ復興を手助けする以外解決はないはずです。「そんなうまい話が来るだろうか」。と思っているでしょう。案外ロシアは、樺太千島だけでなく、シベリアの各州を手放して、小さく、身軽に生きることを余儀なくされるのではないかと思います。

 プーチンさんは、ローマ帝国モンゴル帝国ピョートル大帝、の成功を夢見て、自分もそれに続く偉大な政治家になりたいと願ったのですが、どうも夢は叶わなかったようです。大博打に敗れて、一文無しになったプーチンさんを救うのは、島を担保に金を貸す、小口金融の日本の役割なのでしょう。いよいよ鉄腕アコムの出番です。

続く