手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

すわ世界大戦か

すわ世界大戦か

 

 昨日(16日)、ポーランドにミサイルが飛来し、二名のポーランド人が亡くなりました。ロシアはこれを否定していますが、ロシア側が放ったミサイルが何らかの理由で謝ってポーランドに落下したことは疑いないでしょう。ポーランドNATOに加盟していますので、すぐさまNATOに加盟する国々はロシアと戦争をすることになります。

 そうなるとまさに第一次世界大戦第二次世界大戦の発端とまったく同じ状況に至ります。すなわち、侵略した国が、侵略された国と連合国との戦いに発展し、やがて、同盟国、連合国との戦いをすることになり、世界大戦勃発になります。

 無論、そんなことにはならないように、裏でNATOとロシアは互いの本音を探っていると思います。ただ、ロシアは明らかに今回のミサイルで大きな失敗をしました。これまでもロシアは数々の人道に反した行為をして来たのですが、全てはウクライナ国内の戦時中のことでした。それが昨日、他国を巻き込む行為に発展したのですから、世界各国の理解は得られなくなっています。

 実際、もうウクライナ侵攻は明らかにロシアの負け戦になっています。ヘルソン州もどんどん攻め取られ、今では南部ヘルソン州にまでウクライナ軍が入って来ています。ここを取られてしまうと、クリミア半島に送っている、水道、ガス、電気の配管が全て押さえられてしまいますので、事実上、クリミア半島は制圧されることになります。

 ロシアはクリミア半島は何としても死守したいので、ヘルソン州南部は絶対に手放せません。然し、実際には厭世気分が蔓延しているロシア兵は、どんどん持ち場を離れて逃げていますし、新規に送り込んだ兵士は、全く訓練が出来ていなくて使い物になりません。

 武器も弾薬も枯渇し始めていて、補充が効きません。これではロシアは敗北せざるを得ません。実際強気な発言をしているプーチンさんは、裏ではウクライナ軍、NATO軍に休戦を提案しているはずです。恐らく今回侵攻した4州をそっくりロシア領と認めてくれたなら、即時休戦即時撤退をするはずです。

 然し、それではウクライナは納得しません。現にヘルソン州はそう遠くない将来、全州奪還できそうですし、それにつれてクリミア半島も奪還可能です。ウクライナにとっては今休戦することに何の意味もないのです。

 ところが、NATO各国の思惑は複雑です。今、ポーランドも、フランスも、ドイツも、アメリカも、ウクライナに武器を供与して、ウクライナ軍を強化していますが、いざこの先休戦となったときに、果たしてウクライナはこれまで貸した武器代金をどうやって支払うのか。と訝(いぶか)るようになってきました。

 戦争が小さなときには、「まぁ、来年の小麦で支払ってもらえればいいや」。くらいに思っていたでしょうが、こうも戦いが大きくなっては、ウクライナの小麦をすべて支払いに回しても各国への武器代金は払いきれなくなります。

 もしウクライナが巨大な油田でも持っていたなら、NATOはもっともっと積極的に武器を供与したでしょう。然し、ウクライナに油田はなく、油田を持っているのはロシアなのです。

 ゼレンスキーさんは、今回のポーランドへの誤射をきっかけに、NATO軍が協力をして、戦車やミサイルを出して、一気にロシア軍を総攻撃してくれたなら、簡単に勝利できると見ています。然し、NATO各国は周囲の国々顔色を窺うばかりで一向に動き出そうとしません。そう易々とはウクライナへの支援が出来ないのです。

 むしろ、ここでロシアの要望をウクライナに飲ませて、和平に持ち込み、その口利きでロシアに恩を売って、自国に石油を輸入させてもらったなら、この年の冬場は過ごせる。と考えているNATOの国々は少なからずいるでしょう。ウクライナを犠牲にして、自国の保全を図ろうとしているのです。

 それでも、アメリカが断固ロシアに対抗する。と宣言しているなら、そんな考えは打ち消されてしまいますが、アメリカ自身もこのままウクライナに武器を与え続けていると、きっと国内に不景気が発生すると不安が広がっているようです。

 こうして互いの思惑が錯綜してきたところで、今、ウクライナヘルソン州のドニプル川北側一帯を制覇したところで、ロシアと交渉して、4州のうち、ヘルソン州の北側はウクライナに、残る三州と、クリミア半島はロシア領とする。と言う和平案を出せば、ロシアは渡りに船でNATOと合意を望むでしょう。そうなれば、ウクライナは妥協せざるを得ないのではとNATO各国は考えているようです。

 無論、ウクライナはそんな和平案に不承知です。あと半年戦えばヘルソン州全域とクリミア半島が奪還できるのですから。ここでの妥協は無意味です。然し、この先の軍資金がありません。

 欧州もアメリカも、このまま戦争を続けて行ったら世界同時不況がやって来ることは見えています。それを最小に抑えるには今が休戦の時です。ウクライナも攻め取られた地域の一部が帰って来て、ロシアも大方の占領地が維持されている今こそ、互いが納得できるぎりぎりの境界線と言えるのです。そこで、無理無理にでもウクライナを抑え込み、休戦に持ってゆくのではないかと思います。

 そこでゼレンスキーさんが飽くまでロシアとの戦いを望めば、裏でNATOがゼレンスキーさんを狙撃するかもしれません。NATOは決して善意でウクライナを支援しているわけではありません。あくまで自国に利益をもたらすから協力しているのです。ロシアもそうしたNATOの思惑を知っているがゆえに、この戦いを政治的にまとめようと考えているのです。どう見ても失敗続きのロシアの軍の侵攻ではありますが、ウクライナから南部3州が手に入ったならロシアとしては大勝利なのです。

続く