手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

代理戦争

代理戦争

 

 ウクライナは、9月に入ってからロシアに対して反攻に出るようになりました。東側のハルキウと言う、ウクライナで第二の大都市周辺を奪還しました。また、南部のヘルソンと言う、クリミア半島に至る周辺地域も反攻を続けています。ゼレンスキーさんは、全てのロシア軍をウクライナから追い出す。と宣言して、8年前のクリミア侵攻までも、全て奪還すると宣言しています。

 その言葉の根拠は、このところアメリカからの武器供与が整って来て、明らかにウクライナ軍の戦い方がロシアをしのいで、戦争の展開がウクライナに有利になっています。それまで強固に陣地を構えていたロシア軍が支えきれなくなって、どんどん敗走して行きます。

 それも、守備隊全体が撤退するならまだしも、武器や戦車を捨てて、ロシア兵が民間人に変装して、ばらばらに身一つで逃げて行くそうです。つまり戦争の放棄をしているそうです。ロシア兵の去った後は、大砲から、戦車から、武器、弾薬に至るまでそのまま残っている場合がほとんどだそうです。

 通常、自国の兵が退却するときに、大砲や武器弾薬を残して行くことは考えられません。残して行けば敵軍に使われることになるからです。みすみす敵軍に武器弾薬を与えるようなことをすれば、後になって自国軍が大きく不利になります。武器は、撤退の際に持ち出すか、さもなくば破壊するのが常套でしょう。しかし戦争の常識もわきまえず。ロシア軍は何もかも置き去りにして逃げて行きます。

 これは、軍事訓練を済ませていない兵士を使って、頭数だけ揃えた結果、こうした戦争をするわけで、明らかにロシア兵が不足をしている証拠なのです。ロシアはウクライナに進行して半年、既に訓練された兵士が不足したために、教育のできていない兵士によって表面だけ維持されているのです。

 逆に、ウクライナ軍はアメリカからの武器が充実して、安定した攻撃を続けています。こうなると既に勝負ありかと思いますが、実は、東側の三州と、南部クリミア半島周辺はロシアとしては自国領として計算済の地域で、ここを取られてしまうと今回の侵攻以前の立場に戻されてしまうため、引くに引けなくなっています。

 この現状でロシアが休戦することは不可能で、ロシアとすれば再度、東側の三州、プラス南部のクリミア半島とその周辺、そこまではロシア領として、自力で押し戻さなければなりません。でも現状でロシア軍にその余力はありません。

 今のロシアは、大軍を率いて万全の態勢で戦争に挑んだものの、思わぬ敗北が続き、引くに引けない状況に陥っています。何とか挽回したいと考えていますが、世界からは総スカンを食らっていますから、ロシアを援助する国も見当たりません。

 頼みの中国も何となく日和見で、いい顔をしてくれません。やむなく北朝鮮を頼って、とりあえず武器やミサイルを借りて補充している状況です。よりによって北朝鮮にまで協力を求めるようでは、ロシアは国そのものが危うい状況になって来ています。

 

 それでもロシアが敗北を認めないのは、もう少しすれば秋風が吹いてきて、ヨーロッパは寒気がやって来ます。寒くなれば、石油や、天然ガスの需要が急激に上がって来ます。そうなると、石油、ガス欲しさに欧州各国がロシア詣でを始めます。その時に、石油を輸出するのを条件に、ウクライナ支援の手を緩めるように取引をし始めるのです。

 今は人道的にウクライナを支援しているEU各国ですが、寒くなれば背に腹は代えられません。自国の石油欲しさに、東欧やドイツはあっさりウクライナを見捨てるでしょう。EU が消極的になれば、アメリカだけが大っぴらに支援を強化できなくなります。 その時こそ本格的なロシアの反攻のチャンスが来ます。寒い時期に強いのはロシアの伝統的な戦い方です。ロシアは冬が来るのを待っているのです。

 

 然し、いくら石油の力で欧州各国を黙らせても、肝心のロシア兵に厭戦気分が蔓延していて、このまま戦争が継続できるとも思えません。近々ロシア国内でプーチンさんが失脚して、ウクライナ侵攻に幕が下ろされるのではないかと噂をする評論家もいます。ロシア国内のクーデターが起こるかどうかは予測は出来ません。

 

 とにかく、ウクライナは、アメリカ、EUの支援を受けて、少しずつでも領土復帰を果たしています。ただこのことでロシアとは休戦協定をしずらくなっています。そうなると、戦いは長引き、このままでは世界中に不況がやって来ます。

 こんな時期に、日本では今月、安倍さんの国葬が催されます。安倍さんの国葬には、安倍さんが統一教会を支援していたと言う理由で反対する人が国内にもたくさんいますが、国内問題と世界情勢を混同してはいけません。統一教会統一教会で法案を立ち上げるなどして、カルト集団を取り締まるようにすればよいことです。

 それと国葬とは別問題です。大きく世界を眺めたなら、今、日本で世界中の元首が集まって結束する姿を見せることはとても重要です。

 中国にしろ、ロシアにしろ、国家元首が亡くなったからと言って、世界中の元首が弔問に訪れることはあり得ないのです。圧倒的に自由主義陣営の方が世界の大勢を占めていますし、特にウクライナ問題に関してはロシアは支持を失っています。仮に、ロシアも中国も国威を見せようとしても世界の多くは知らん顔です。そうした社会主義陣営に対して、何か事があれば自由主義陣営はさっと元首が集まると言う姿勢を見せつけることはとても有意義なことです。日本の国葬は、社会主義国にとって無言の戦争抑止力になるのです。

 安倍さんは裏も表もある人ですし、死んだ後も裏街道を引き摺っています。それでも世界の中では極めて重要な役割を果たした政治家なのですから、ここは安倍さんの国葬を無事済ませることが、世界平和に大きく役立つと思うのですが、どうでしょうか。

続く