桜島噴火
一昨日夜に桜島の噴火のニュースがありました。今回のように溶岩が流れ出るような噴火は珍しいのですが、振動と共に煙が立ち上るようなことはしょっちゅうあるようです。
私は今まで何度か鹿児島に出かけました。ショウや、レクチュアーをするのが目的でした。その都度中心街のホテルに泊まって、夜に飲食に出かけたり、早朝市内を散歩します。
鹿児島市内を歩いていると、街と桜島があまりに近いので、その桜島の大きさに驚きます。街中を歩いていて、ビルの隙間から突然桜島が見えると、「ええっ、こんなところに桜島があるんだ」。と、改めでビックリします。黒い島が突然そびえ、モクモク煙が出ていて、街と噴火が共生しているのです。
毎日、風向きによって市内に噴煙が飛んで来ることがあり、その都度警報が出ます。噴煙が来ると。駐車している乗用車などが砂煙で真っ白になります。布団や洗濯物を干しておくと、そのまま砂を被ります。
朝、街中を歩いていても、道の隅に砂が積っています。メインストリートの、銀行の前などは、毎日掃除をしているものと思われますが、それでも砂が少し溜まっているのを見ると、噴煙は日常のことなんだとわかります。市内には市電が通っていて、時として市電の線路の溝に砂が溜まって、電車が軌道から外れてしまい、立ち往生するときがあるようです。
鹿児島市は50万人くらい人口があるのでしょう。これほど大きな町に、火山があって、毎日煙を吐いていると言うのは珍しいと思います。例えて言うなら、東京湾の真ん中に伊豆大島があるようなものです。錦江湾はとても美しく、魚の豊富な海です。そこに桜島があって煙を上げています。これほど個性の強い都市もありません。市内の人は目慣れてしまっているのか、全く噴火を恐れてはいません。
私が20代のころ、鹿児島三越デパートの催事で招かれ、3日間出演したときに、深夜にホテルで寝ていると、ドッカーンと大きな音とともに、床が3センチほど沈んだので、驚いて立ち上がり、ロビーに行くと、別段誰もいません。フロントに尋ねると、「あぁ、噴火に驚いたのですか、こんなことはよくあります。大丈夫ですよ」。と、誰一人心配する人はいませんでした。土地柄と言うか、この程度の噴火では誰も驚かないようです。
今回のように溶岩が流れ出す噴火でも、溶岩が直接鹿児島市内に流れ出してくることはありません。桜島は錦江湾の中央にあって、島自体は、大隅半島に接続していて、鹿児島市内のある鹿児島半島とは錦江湾で隔たっています。噴煙が飛んで来ることはあってもそれ以上の被害はありません。
桜島の溶岩は、噴火と共にドーッと流れ出るタイプではないようです。恐らくねっとりとした溶岩で、山の周辺に少し溶岩が流れる程度で、そこから先に行かないようです。地震も、家が崩れるような地震は起きません。少し揺れる程度です。但し、噴火と共に大砲のような音がしますので、初めて体験する人は音に驚きます。
今回の噴火も、恐らく数日で収まり、そのあとは何もなかったかのように話題から消えるでしょう。
少し心配なことは、このところ、あちこちで地震があります。南九州の諸島の地震、関西、静岡、茨城、仙台沖、北海道などなど、各地で小さな地震があります。10年くらい前から南海沖地震などと言って、九州から東海に至る広範囲な地域で一度に地震が起こる可能性があると言われていますが、本当なのでしょうか。
私は、神戸の震災の半年後に神戸を通過したときに、幾つかのビルの一、二階が押しつぶされていたのを見て、「こんな風にビルがつぶれるのだろうか」、と不思議に思いました。神戸地震は明け方にあったため、中心街のビルには人がいなかったことが幸いでした。もし日中の出来事でしたら、働く人々が押しつぶされて、死者の数は膨大なものになっていたでしょう。
東日本大震災の際でも、正味地震の被害だけだったらそうそう大きな人的被害はなかったでしょう。日本の建築物はこの30年くらい、住宅もビルもかなりしっかり建てられるようになり、そうそうは完全倒壊しないようになっていると思います。
ところが、神戸の震災(阪神淡路地震)ではその昔の建築物で、高度経済成長時代に作られた、高速道路の橋脚が壊れたのは驚きました。あれはどうも手抜きがあったとしか思えません。それが証拠に、高速道路は絶対大丈夫と言っていた高速道路の会社が、神戸の震災後に急に東京の高速道路で橋脚を補強し出していました。放っておいたら東京も神戸と同じ結果になっていたのでしょう。結構いい加減な仕事をしていたのでしょう。神戸の災害が東京の鉄道や、高速道路の見直しにつながったのは不幸中の幸いだったと思います。
恐らく今、関東大震災が起きても、かつての大正時代の関東大震災とは違い、家の倒壊や、火災の被害はそれほど大きくはないのではないかと思います。関東大震災の被害は、10万人の死者を出しました。その多くは火災による被害です。
東日本大震災でも、地震による被害よりもむしろ、津波によって多くの死者を出しました。南海沖地震も、津波を招くととんでもない被害が生まれるはずです。東日本大震災から10年。この10年は、次の地震のための災害防止のための対策期間と言えます。
仮に東日本並みの大震災と津波が来たとしても、被害が最小限に収まるように、建物は壊れても死者が一人も出ないように、対策を考えられないでしょうか。
と他人事のように言っていますが、九州から東海迄、海岸に津波を守る堤防を作ると言うのはまさに万里の長城を作るのと同じことで、現実には不可能です。
そもそも、毎年台風や、集中豪雨があると、必ず人が何人かが亡くなります。必ず来る災害なら予測がつくはずですが、一向に対策が出来ません。日本は先進国でありながら、大雨のたびに人が亡くなると言うのが残念でなりません。
地震も同じです。少々の建物被害なら致し方ありません。然し、有史以来、何万回と来た地震から学んで、何とか人が亡くならない方法を考えられないものでしょうか。
桜島の噴火のニュースを見るにつけ、もっと災害から身を守るために税金を使おう。と思います。
続く
出演者、藤山新太郎、前田将太、穂積みゆき、小林拓馬、せとな、入場料5000円。食事付き。12時から。日曜日の午後はゆっくり手妻、マジックを楽しんで、お食事をしてはいかがでしょう。