手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

ネットの異常

ネットの異常

 

 急激なネットの普及に法律が追いつきません。ネットの中での誹謗中傷は目に余るものがあります。初めの内はタレントのゴシップなどで大騒ぎし、タレントの方でも、「これは有名税」。と思ってあきらめていたものが、どんどんネットはエスカレートして行き、必要以上に責め立てて 、あることないこと捏造し、タレントを死に追いやるところまで行ってしまう。

 これは明らかに犯罪です。犯罪なら、はっきり法律を作って取り締まらなければいけません。

 

 一昨日(26日)の真子さまの結婚記者会見も、今でもネットを見ると誹謗中傷の嵐です。皇室と言うのは日本の表の顔です。日本人の一番いいところ、美しいところを凝縮したものが皇室なのです。決して汚(けが)してはいけないのです。

 それをあることないこと書き続け、破談に追いやろうとする連中は一体何を考えているのでしょうか。テレビも、ネットも、週刊誌も、みんなして日本人の尊厳を汚しています。

 まさかこんなやり方で皇室がいじめを受けるとは思いもよりませんでした。

 互いが好き合って一緒になるならそれでいいではありませんか。皇籍を離脱してまで結婚すると言うのですから、その気持ちは本物なのでしょう。そうならその先は当人同士の問題です。他人が何かを言うことではありません。

 せっかくの結婚に水を差し、何年も婚期が遅れ、ノイローゼにまでなった真子さまはまったくお気の毒です。

 

 パソコンの所有者には、番号と名前が明示されるようにして、意見を言うときには当人の名前が先に出るようにしたら良いのです。また、他人のパソコンを利用して他人の名前を騙(かた)って誹謗中傷したり、嫌がらせをする者には厳罰を与えるべきです。

 彼らのしていることは学校内や職場内でのいじめと同じです。いじめられた方が黙っているから、いつまでたっても陰湿ないじめが続くのです。はっきり犯罪と認定して、懲役刑まで決めたなら、陰湿ないじめは少なくなるでしょう。決して安易に放置してはいけません。

 

 私のブログにも時々悪意に満ちたメッセージが届きます。私は一切それを相手にしません。うっかり反論でもしたら、待ってましたとばかりに屁理屈をこねて来ます。またそれを見ていた周囲のネット民が同調して炎上します。

 そんな人たちを相手にしても百害あって一利ないのです。私はよく弟子に言います。「駄目はいくら繰り返しても駄目」。と。駄目の中で思い悩んだり、少しでも相手に理解してもらおうと努力することが無駄です。自分自身が一刻も早く、負のスポイラル(悪循環)から抜け出そうとしない限り成功もチャンスも来ないのです。

 駄目な人と関わっていると、知らず知らずのうちに、自分自身までが心が卑しくなり、卑屈になり、人間が小さくなって行きます。本来有能で、いろいろなことが出来る才能ある人が、周囲の劣悪な環境に馴染んで行くに従って、どんどん卑小な人間に劣化して行きます。

 

 私が20代の時には同年齢で才能のあるマジシャンがたくさんいました。私などはその頭数にも入っていませんでした。それが年を追うごとに、どんどん櫛の歯が抜け落ちるように仲間が去って行きます。「あんなに有能だった人がなぜマジシャンを辞めてしまうのか」。と残念に思いました。

 今になって思えば、それは出会いなのです。うまく自分を引き上げてくれる人と出会わない限り、人は今以上に伸びないのです。それゆえに、常に、自分が生きて行く上で、誰が有能な仲間で、誰が自分を引っ張ってくれるのかを常に見極めていなければいけません。

 私自身も経験がありますが、私の前では、「君の演技はいいよねぇ。若手じゃぁ一番うまいねぇ。今度テレビ局のプロデューサーに君のことを話しておくよ」。などと言って褒めてくれる先輩が何人かいました。

 然しながら、その先輩が、その後30年経っても40年経っても一本の仕事も紹介してくれることはありませんでした。上辺で良いことを言う人はたくさんいます。

 然し、実のある人と言うのは本当にわずかです。逆に言うなら、一本の仕事でも紹介してくれる人は有り難いのです。言葉よりも実践なのです。

 

 ショウに出してあげるよ。と言っても、ステージなら何でもいいと言うものではありません。センスのないショウ構成の舞台に出ても効果が上がりません。また、覇気のない連中と一緒に舞台に出ていても世間の人は誰も注目してくれません。

 ただやればいいと言うものではないのです。誰がどんな目的を持って、何をするかを考えている人たちと組んで行かなければ、いつまでたっても底辺から抜け出すことはできないのです。

 自身の成功は、自分よりも先を見ている人、マジック界の先を考えている人と組まなければだめです。そして、常に実践を繰り返して答えを出している人こそ大切にしなければいけません。努努(ゆめゆめ)駄目を繰り返さないようにご注意ください。

続く