手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

長唄唄ってなぜ悪い

 昨日は、杵家七三(きねいえなみ)さんのお弟子さんのお浚い会に行って、私も一曲唄ってきました。さて、その七三さんの会ですが、開催中止の噂があちこちで流されたのですが、開催すると決定したそのあとから、いろいろな人が口をはさんできて、「会は中止したほうがいい」。「どうせひとはあつまらない」。などと言い出したそうです。しかし、「生徒さんは、せっかく一年お稽古して来て、皆さんにお披露目をするのを楽しみにしていたんですから」。と言って、開催を決めることにしました。

 ところが、 そのあと、手紙やら、電話の攻勢がものすごく、「ウイルスに感染したらどうするのか」。「年寄が死んだら誰が責任を取るのか」。などなど、ものすごいパッシングが起こったそうです。そうした話を聞くと、まるで江戸時代の人の感覚を聞いているようでびっくりしました。

 コロナウイルス騒動に、個人個人が対応するために、人ごみの中に出て行かない。混雑した電車に乗らない。家で静かにしている。それらは個人の対策としては良いことです。しかし世の中には、どうしても活動をしたい人もいます。そうした活動する人を捕まえて、「中止しろ。家にいろ。病気になったらどうする」。などと言うことは、大きなお世話なのです。

 それぞれが個人の判断で行動すればよく、仮に、ウイルスに罹ったとしてもそれは個人の判断の結果なのです。コロナウイルスはペストやコレラとは違います。まず、感染しにくいウイルスですし、罹っても治らない病気ではありません。そうであるなら、普通に仕事をし、普通に趣味の時間を使うことに何の問題もありません。

 長唄のお浚い会に行くことも、出演することも、全く問題ありません。それを、外部の人がやめさせようとしたり、病気に罹ったら誰が責任を取るのかなどと言うことは、脅迫であり、善意に名を借りた妨害工作なのです。

 長唄の会をすることは善意の行為であり、何の問題もありません、来たい人が来ればよく、発表したい人が発表すればよいのです。ただそれだけです。そこに誰の遠慮が必要ですか。

 

 以前に私は、誤謬(ごびゅう)について書きました。誤謬とは、個人が自身の考えで行動することは良いのですが、それを組織が押し付けて、法律を作ってまで人に守らせようとすると、多くの人に悪影響を与えるということです。

 例えば、人が犬猫を可愛がることはいいことです。しかし、法律を起こして、犬猫を守れと命令すると、国事態が大混乱をします。「生類憐みの令」と言うのがそれです。犬を叩いた者が牢屋に入れられる。犬を殺したものが島流しに合う。現代の人が考えたなら、ナンセンスもいいとこですが、その現代人が、ウイルスを盾に、他人に対して、自分の価値観を押し付けようとしています。

 芝居を見たい人に芝居を見るなと言い、長唄の会を催すと言えば、出ようと思っている人に出るな、見に行くなと言い出す人があり、それでも主催者が開催しようとすると、出演者に連絡をして、参加を取りやめさせたり、見に行くことを楽しみにしていた人に電話をして、今出かけたら病気になると言って、不安を煽ったりします。

 劇場が再開をしようとすると、「こんな時期に何を考えているのか」。と抗議する人があります。こんなことを繰り返していると、多くの企業が倒産をし、失業者が増えて行きます。そうなった時に初めて誤謬による不況を経験することになりますが、時すでに遅しです。賢い人は結果を見る前に未然に防ぎます。

 おかしな空気が日本を支配し、責任のない人の言葉によって、日本人行動が縛られてゆきます。そうならないためにどうしたらいいか。簡単なことです。自然に任せることです。イベントを規制する必要はありません。劇場は再開すべきです。オリンピックは開催したらいいのです。無責任な人の言葉は聞く必要はありません。きっちり責任のとれる人の言葉こそ尊重すべきです。

 日本は数値の上からはコロナウイルスは終息しつつあります。後は終息宣言を出すだけです。リーダーとなる人は、早くに国民を安心させるべきです。さもないと無責任な人のデマが広がり、多くの人が迷惑をします。一日も早い終息宣言を待っています。

 

 私の長唄は、まぁ、初めから大したものではありませんので、さほどの話題にもなりませんでしたが。しかし、私が見たところ、私の唄を聞いた人は、みるみる生き生きとして来て、はつらつとして帰って行きました。ひょっとして、私の唄にはコロナを撃退する力があるのかもしれません。

 かなり癖の強い唄い口ですので、殺菌作用がある可能性があります。コロナ撃退法として効果があるかもしれません。私の長唄がお役に立つなら、どこにでも出かけて唄を披露いたします。ウイルスでお困りの方は是非ご一報ください。