手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

キタノ大地さん

 昨晩、名古屋から大阪に着いて、ホテルに泊まり、

今日は朝から大阪の指導です。

 

 大阪は十年以上、毎月指導に通っています。

私は何とか大阪でステージの仕事を手に入れたいと思い、

大阪の指導に翌日、あちこちの有力者を訪ね歩いて、

自身の演技を売り込んできました。

お陰で、年間数日、関西方面の仕事を手に入れることができました。

 

 大阪の指導には、必ずキタノ大地さんが車で送迎してくれます。

朝9時15分には新幹線の改札口に立ってくれていて、谷町6丁目にあるスタジオOMまで車で運んでくれ、終わると、私が寄り道する先まで送ってくれます。

こんなことが十年以上続いているのですから、キタノさんには感謝です。

大阪は若手のマジシャンが5人、生徒として指導を受けています。

他にもアマチュアさんがいます。

まったく彼がいなかったなら大阪の教室は成り立たなかったでしょう。

 

 私が関西方面で舞台に立つときは、キタノさんに才蔵(さいぞう=太夫の相方のこと)を手伝ってもらっています。

 北野さんのすごい所は、声が響いて、口跡がよいことです。昔の口上などを述べると、時代を感じさせ、なくてはならない役です。和妻の方も上達し、今ではずいぶん舞台に生かしているようです。関西で、本当の和妻の演じ手がほとんどいませんので、キタノさんの立場は貴重です。いずれ、関西の保守本流として名を残すでしょう。

 北野さんは酒が好きなのですが、私と会うといつも運転をしなければならないため、指導終了後も、飲みに行くことはできません。まったくお気の毒です。

 

 昨年は、福井の仕事の帰りに、特急サンダーバードに乗って帰る際に、お客さんから幻の酒、梵をもらい、酒の肴に福井の名産へしこ(サバの塩漬け)を買い、塩辛いへしこを肴に梵を二人でぐいぐい飲みました。実際コップであおって飲むような酒ではありません。フランス政府などは梵を毎年樽買いし、政府の晩さん会には梵を出すそうです。純粋なコメだけの酒で、味わいはやや辛めで口当たりの柔らかいいい酒です。

 気の置けない話をして、大阪までの旅は楽しいものでした。あんな時間はとても幸せを感じます。

 

 そういえば来月は天一祭で11月9日、10日と福井に行きます。若いマジシャン三人を引き連れて、9日はこども歴史資料館で2時からショウ。10日は12時半から繊維会館ホールで、天一祭を行います。これも十年近く続いている催しで、マジックショウは北陸で見る数少ないため、ファンは欠かさず集まります。

 9日のこども歴史資料館は、地元の家族連れを対象にしていますので、席にゆとりはありません。はいれるかどうかは資料館にお問い合わせください。どうぞ、10日の繊維会館ホールのほうにお越しください。

 

さて、今日は若手のために新作手順の説明をします。どうなることやら。