手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

選挙が危ない 

選挙が危ない

 

 どうも選挙を考えると気持ちが暗くなります。ランチ時にレストランに入って、さて食事をしようとメニューを眺めると、どれも食べたくない料理ばかりが並んでいると、レストランに入ったこと自体を後悔します。そして、あれも駄目、これも駄目、と言っていては、わがままに見えてしまいます。

 何とか、少々望まない料理でも、諦めて食べようと思いますが、どうも食欲をそそりません。この話は都知事選の例え話でありながら、それだけではありません。アメリカ大統領の選挙の話も同様です。良くもまぁアメリカ人は、老人二人が対決する選挙を見て、平常心でいられるものだと思います。片方は明らかに体力が落ちていますし、少しボケが入っています。

 それなら勝負は見えた。トランプさんの勝ちだろう。とは誰もが思いますが、本当に大丈夫でしょうか。トランプさんとバイデンさんは4歳違い。仮に、トランプさんが大統領になったとして、数年すれば、今のバイデンさんと同じ年齢になるのです。今バイデンさんが大統領は無理だと言うなら、トランプさんも無理ではないですか。そうならこの選挙は始めから無理な選挙でしょう。

 アメリカ人の平均寿命は、日本人よりも3歳くらい低いのです。そうだとすると、お二人は既にアメリカ人の平均寿命を超えているのです。そうした人に大統領の激務を5年も任せられるのですか。

 アメリカと言う国に、この老人たちよりも有能な若い人はいないのですか。アメリカはどうしちゃったのですか。アメリカ大統領は激務です。老人では無理です。無理と知っていながら、アメリカ人はどうしてこの二択をするのですか。このまま行ったら、どっちが勝ってもアメリカは世界中に混乱をまき散らします。

 トランプさんはモンロー主義の権化のような人ですから、トランプさんが勝ったなら、ウクライナへの支援は半減するでしょう。今、いい戦いをしているウクライナからアメリカの支援が減ったら、ウクライナは元の木阿弥です。ロシアは活気づいて、ウクライナの東方地域を占領するでしょう。その上で、余勢をかってバルト三国や、フィンランドを攻め始めるでしょう。

 それは結果として欧州を危機に陥れることになります。然し、トランプさんは欧州には関与しないでしょう。そればかりか、沖縄や韓国のアメリカ駐留軍を半減させるでしょう。そうした結果、中国の習近平さんは台湾進攻を本気で考えるでしょう。

 トランプさんが勝てば。社会主義国や、共産国が今以上に勢力を伸ばしてして来るでしょう。それに対して、欧州は、社会主義に対抗するために、どこの国も右傾化して行くでしょう。欧州はどこも、民主主義に疲れて来ています。

 どこの国も、福祉や難民支援をして、国の財政を使い果たしています。適度な福祉ならいいのですが、国自体の景気が悪くなれば、福祉も難民支援も経済の足を引っ張ります。難民に与える生活保障の方が、一般労働者の賃金よりも高い、と言うようになったなら、働く人はみんな怒りを爆発させます。

 そんなことが、ドイツでもフランスでもイギリスでも起こっています。特に、欧州経済はEV車で失敗続きです。次の時代のトレンドはEV車だ。と開発に乗り出したのは良かったのですが、EV車には問題が多く、軌道に乗るには時間がかかりすぎます。ところがそうしているうちに、中国が安いEV車をどんどん作るようになって、欧州の自動車メーカーを圧迫するようになりました。そうなると欧州は戻ることも出来ず、前進することも出来ず、経済は大混乱をしています。結果、今の欧州の政治経済は行き詰まっています。

 そんな経済不安が広がると、簡単に力押しで世の中を変える政治家が出て来ます。右翼の全体主義者です。第一次大戦後、ドイツは一時期民主的な政治がなされたものの、世界的な大恐慌に対策が打てないまま右往左往するうちに、ナチスの台頭を許してしまいました。それと同じことが再度欧州に起こるかも知れません。

 「そんなことはあり得ない、もうナチスはやってこない」。そうでしょうか。

 

 民主主義が弱者に厚い政治ばかりをしているとたちまち経済が行き詰まります。福祉は良いことではありますが、それは若い労働者の犠牲の上に成り立っているからです。若い労働者の生活が苦しくなれば福祉は成り立たなくなります。

 政治経済が回らなくなると、力で解決を訴える政治家が出て来ます。彼らは出て来た時は有能なのです。一党独裁は、伝達が早く、何でも超スピードで解決して行きます。民主主義が長い時間をかけて、何も解決できなかったことを、たちまちのうちにやってのけます。当然、世間は拍手喝采で迎えます。

 ヒトラー大恐慌にあえぐドイツ国民に、アウトバーン(高速道路)の建設を指揮し、同時にフォルクスワーゲンを各家庭に一台持てるようにすると宣言した時は、彼はドイツの輝ける星だったのです。実際ヒトラーはその目標を数年で達成させたのです。

「それなら政治は全体主義者に任せたらいいじゃないか」。その通り、全体主義はいいときは物凄くいい仕事をします。ところが、一党独裁の政治は、誰も批判が出来ませんから、ひとたび間違いを起こすと、どんどん道に外れた行動を採るのです。正にヒトラームッソリーニがそれでした。

 右翼の全体主義だけではなく、社会主義のリーダーも同様です。いずれも他の政治を認めない国家ですから、一党独裁は独善に陥り、いつか方向を間違えます。そして間違え始めると修正が効かなくなります。今のロシアのウクライナ侵攻や中国の膨大な経済政策の破綻を見れば明らかでしょう。

 わかりやすい政治の裏には常に落とし穴が潜んでいます。中国やロシア、あるいは北朝鮮などの独裁政治を思えば、右傾化しつつある欧州の政治はまだ今なら何とかなりそうです。アメリカもどっちの老人が大統領になっても何とかやって行けるでしょう。そうした世界の政治を思えば、日本の政治はまだましでしょうか。いや決してましとは言えません。政治資金規正法ザル法です。あれは自民党の大失敗です。

 都知事選も、赤い狐と緑の狸が戦っている分には平和なのかもしれません。万が一にもルーキーの石丸さんが当選したとしても、どなたが勝っても、大した問題にはならないでしょう。日本はまだ平和なのですね。

続く