手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

もしトラ、ほぼトラ

もしトラ、ほぼトラ

 

 最近の流行語は語感からは何の意味かよくわかりません。もしトラ、ほぼトラとは、アメリカ大統領選挙で、トランプさんが、もし、バイデンさんを破ったらどうなるか、(もし、トランプさんが勝利したら=もしトラ)と言う意味だそうです。更に、「いや、いや、ほぼトランプさんの勝利は間違いない」。(ほぼトランプさんの勝利=ほぼトラ)なのだそうです。中には、「確トラ」だと言う人もいて、トランプさんの勝利を確実視している人もあります。

 やたら単語を詰めることが流行っていて、しかも、日本語も、英語もごっちゃに詰めてしまうため、日本人にも、英語圏の人にも全く伝わらない単語がどんどん増えています。少しもいいことだとは思わないし、使いたくもない言葉ばかりですが、世の中の流れにはあえて否定はしません。

 今回の大統領選の候補者、二人の年齢は、トランプさんが、現在77歳、バイデンさんが81歳です。日本なら、これくらいの年齢の政治家は結構いますが、問題は、日本とアメリカでは平均寿命や健康状態がかなり違います。どうもアメリカ人は日本人よりも老化が早いようなのです。平均寿命を見ても、アメリカ人の方が、数年早く亡くなる場合が多いのです。

 日本の男性の平均寿命が82歳くらいだそうですが、アメリカは確実に2年は早くなくなります。その理由はいろいろですが、塩分のきつい、動物性油を多くとる人たちは、日本人のような、野菜や魚を食べる民族と比べると、健康状態があまり良くないそうです。

 アメリカの街中を歩いていると、自分の体を支えきれないぐらい太っている人を見かけます。肥満して松葉杖をついている人を頻繁に見ます。バスや地下鉄に乗っても、確実に人の二倍座席を使う人がいます。椅子に腰を掛けているのに、はぁはぁ、と荒い息をしている人もいます。どう見ても健康体ではありません。アメリカ人のデブを見ると日本人のデブは可愛いものです。全然デブには見えません。

 何よりアメリカ人の肥満を見ると、「どうしてそこまで太る前に、ダイエットをしなかったのか」。と不思議に思います。自分の食欲に任せて食べるだけ食べ続けて、それで身動きできなくなって、歩くこともできないと言うのは自己管理ができていないのです。

 さて、バイデンさんは、1942年生まれ。現在81歳です。今年11月には82歳になります。一方、トランプさんは1946年生まれ。今年78歳になります。もうバイデンさんはアメリカ人の平均寿命に達していますし、トランプさんも、仮に大統領になったなら、在任中に平均寿命を越えます。アメリカの歴史でここまで高齢な大統領候補の対戦はありませんでした。不思議な光景です。この老人たちと勝負する若い政治家はいないのでしょうか。本当にアメリカはこの二人のどちらかでいいのでしょうか。

 

 バイデンさんが80を過ぎて、老化が目立っているのは事実です。時々転んで周囲をひゃっとさせます。挨拶するときに、内容を間違えることもよくあります。そろそろ限界かな。と感じることが多々あります。然し、それを追いかけるトランプさんも決して若くはありませんし、何より幾つかの刑事事件をもみ消して、無理無理立候補しているのですから別の意味で心配です。

 日本ではトランプさんは人気がありませんが、アメリカでは相当に根強い人気があるのです。この人の言っていることは、アメリカの典型的な田舎の親父が言っているようなことが多く、アメリカ人にはすんなり理解できるのです。

 日本でトランプさんの演説を聞いていると、過激な発言が目立ちますが、実は、トランプさんは決して過激な人ではありません。むしろ、保守的で、気が小さく、伝統的で内向きな政治家です。

 基本的には、アメリカの伝統的な考えである、モンロー主義を継承しています。つまり「アメリカはヨーロッパのことやアジアのことにかかわる必要はない。アメリカは世界の警察官ではない、アメリカはアメリカ国内のことを考えていればよく、中国の紛争も、中東の紛争も、ヨーロッパの政治にも本来何ら関わる必要はない。アメリカはアメリカ一国だけでも生きていける国なのだ」。

 アメリカにこう居直られてしまうと、欧州も、中東もアジアも慌て出します。世界はアメリカを頼って動いているからです。「もしトラ」の最大の問題は、トランプさんが大統領になったなら、ウクライナの支援はごっそり減らさせれるでしょう。

 どんなにロシアが理不尽な行いをしたとしても、本来欧州で起こった戦いにアメリカが関与する理由はないのです。ウクライナが負けたなら負けても仕方のないことだとアメリカ大統領が言ったなら、一気に、ウクライナは敗北に向かいます。

 同様に台湾です。台湾は中国の国内問題だとアメリカの大統領が言えば、台湾はたちまち中国に占領されます。その流れで、尖閣諸島や、沖縄を中国が攻めて来たなら、日本が自力で戦う以外解決はなくなります。アメリカの増援などは見込めず、むしろ、日本に駐屯するアメリカ兵を引き上げる可能性すらあります。

 在日米軍が去って行けば、北朝鮮は千載一遇のチャンスと、韓国を侵略する可能性すらあります。第二次朝鮮戦争の勃発です。アメリカは「朝鮮半島のことなど関係ない」。と言って去って行ったなら、日本は朝鮮に関与しないで済むでしょうか。戦争になれば、黙っていても韓国のボートピープル玄界灘に押し寄せるのです。その人たちに「帰れ」。と言えますか。何百万もの韓国人を受け入れなければならず、海岸を防御しないわけにはいきません。

 尚且つ、仮に韓国人を受け入れたとして、対馬あたりに百万もの韓国人の避難場所を作れば、彼らはそこの住みつくことになります。そうすると、そのまま居ついて、「対馬は韓国領だ」。と宣言する不届きものが現れます。食事や住まいまで面倒を見てやって、韓国人を助けても、島を乗っ取られては踏んだり蹴ったりです。そうならないと言う保証などどこにもないのです。

 「もしトラ」、が「確トラ」になったときに、世界は大きく変化します。それじゃぁ嫌だからバイデンさんで、と言ってもこれもまた頼りにならないのです。どうしたらいいのかはわかりません。それだけに今回のアメリカ大統領選挙は重要なのです。その決断がわずか半年後に起こります。そして、もしトラが確トラになりつつあるのです。

続く