手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

トランプさん 大谷選手 1

トランプさん 大谷選手 1 

 

 アメリカは8日に上院下院の中間選挙があり、その趨勢が14日になってようやく判明しました。日本に参議院衆議院があるように、アメリカにも上院と下院があります。その選挙のために、共和党民主党が候補を立てて争いました。

 結果は民主党の辛勝で、実際には互角の戦いでした。当初トランプ旋風が再度巻き起こり、共和党が勝利すると思われていましたが、ついぞ竜巻は起きず、木枯しが舞い散る程度の騒ぎでした。

 

 共和党は、日本の自民党に似て、保守的、資本主義、独立意識の強い政党です。いわば開拓時代からのアメリカ人と言った雰囲気が濃厚で、南部や、中央部のアメリカに支持者が多い政党です。

 方や、民主党は、リベラルを自任しているように、左派寄りの正統です。左派と言っても社会主義国になろうとする政党ではありませんが、その手法はかなり社会主義的です。何事も自分の身は自分で守る共和党に対して、民主党は、

 「そんなことを言っていては貧しい人は貧しいままだし、差別を受けている人は差別されたままだ。国が面倒を見なければ弱者は救われない」。

 その通りです。然し、実際、民主党の言うことを聞いて政治を行うと、何でも国が仕事を引き受けますので、公務員の数がどんどん増えて、国が肥大化します。福祉も医療も国が持ち、教育も国が面倒を見る、結果として、税金の大半が福祉や医療に使われるようになります。

 福祉や医療に税金を使うと言ってあからさまに反対する日本人はいません。然し、本来民間でやるべき仕事を公務員に任せると、とても費用が掛かります。ロシアや中国の政治を見るまでもなく、役人は役人と結びつき、天下り先を考えたり、自身の年金、福祉を厚く考えようとします。そして民間の仕事に圧力をかけて安くサービスの行き届いた仕事よりも、費用の掛かるサービスの弱い仕事を優先したりします。

 「そんなことはない、国もよく働いている」。と仰る人もいるでしょう。でも実際に、国の仕事と民間の仕事を比べて見て下さい。旧国鉄の仕事と、私鉄の仕事はどうですか。今でも関西の鉄道はJRと私鉄が同じ路線を走っている所が多いのですが、料金もサービスも、私鉄とはかなりの開きがあります。

 かつての郵政省の郵便費用と、宅配便の費用を比べて見て下さい。宅配は家まで荷物を取りに来てくれて、しかも料金も安いのです。事業に於いて国の活動は民間には勝てないのです。

 アメリカ人は日本ほど国の政策を信用していません。何もかも国に任せることが幸せになれるとは考えていないのです。逆に、日本の政治家は保守も野党も国に頼ろうとします。自民党は肥大化した政府に大鉈(おおなた)を奮うことが出来ません。

 なぜなら保守の地盤が弱いからです。日本には、かつての戦前のような大地主はいませんし、帝国陸海軍もありません。資本家はいますが、どんどん小粒になっています。自民党は農村が地盤だと言っても、お爺さんお婆さんがやっている農家に補助金を出してかろうじて支持をつなげている現状では、社会主義と似たり寄ったりで、肥大する政府に大鉈は奮えません。

 アメリカの共和党は、はっきりと肥大化する政策に反対意見を述べます。共和党がいいか、民主党がいいかは、言ってみれば国がどこまで国民の面倒を見るかを決める選挙で、財布の中身の使い道を争っているのです。

 今回の中間選挙は、いろいろ困った問題が勃発しました。一つはバイデンさんの老齢化です。日本ではあまり詳しく論じませんが、バイデンさんははっきり老化しています。間違った演説を繰り返したり、きっちりと政策が伝えられなかったり、頼りないのです。

 そうならバイデンさんに変わって若い人が出たらいいのですが、今回の選挙を見てもわかるとおり、次期大統領候補がどんどん落選をしてしまいます。有能とみられる若い政治家が今の時代を掴み取っていないのです。

 そのことは、共和党も似たようなもので、トップにトランプさんを置くことがもうすでに時代の流れから取り残された感があります。バイデンさんも老齢ならトランプさんも老齢なのです。若い実力者が出てこないのです。

 トランプさんには金や人脈はあっても、今の世の中の流れを読むことが出来ません。黒人差別は相変わらずですし、銃規制も出来ません。同性婚も認めようとはしません。元々、資本家を守ろうとする共和党は、物価高を容認してしまいがちです。これで国民の支持を得ようとしても国民は失望するだけです。果たして典型的なアメリカの田舎親父の考えから何も変わっていないのです。

 この選挙は民主党がかろうじて勝利をおさめ、バイデンさんはほっと胸を撫でおろしているでしょう。トランプさんはこの先政治に出てくる可能性はなくなりそうです。

 但し、このままでアメリカはうまく行くとは誰も思っていません。変わらなければいけないとはみんなが思っているのです。然し、変わった先にアメリカの身の置き場が見つからないのでしょう。

 今アメリカは変化しようと思いつつも、自ら一歩前に出ようとしないもどかしさがあります。でも確実に変わっては行くでしょう。

 

 と、ここで大谷選手が出て来ます。トランプさんと大谷選手は何の関係もないと思えますが、私の見るところ、確実に大谷選手は時代を変えて存在している大スターです。低迷していたアメリカの野球界にあって、一人人気を集め、今や野球界だけでなくアメリカのスポーツ界で人気ナンバーワンです。

 しかも彼は日本人です。アメリカ人から見たなら外人選手であり、有色人種人種なのです。外人選手を国民的なスターのように取り上げることはいまだかつてなかったことです。日本だって同様でしょう。優秀な外人選手が来て、たくさんホームランを打ったとしても、その選手を日本の国民的なスターとは思わないでしょう。

 しかし、大谷選手はどうも様子が違います。アメリカ人の捉え方が、大谷選手から何やら新たな生き方を学んでいるかのような特別な流れが生まれているのです。そのことについてはまた明日続きをお話ししましょう。

続く