台湾現状維持を選ぶ
台湾は、14日に総統選挙が行われました。総統とは、アメリカの大統領と同じく、政治、軍事、経済の権限をすべて把握するリーダーのことです。台湾の国民が選んだのは、民進党の頼清徳さんです。
台湾は長く国民党委一党独裁が続き、第二次世界大戦前から蒋介石が国民党の総統を務めて来ました。その後、第二次大戦以後、共産党に敗れて、台湾に移って後も一党独裁が続きました。そのため共産国の中国とは敵対していました。
その後、民主化が進み、選挙もするようになり、新たにできた民進党が徐々に力をつけ、互いに政権を争っていました。国民党は、親日派の李登輝さんまでは親日親米を貫いてきていたのですが、馬英九さんになってから、中国経済が大きく発展するようになって来ると、中国とのつながりを重視するようになります。
一方民進党は、元々中国とも、日米とも付き合いを持ちたがっていたのですが、中国が香港の民主化を弾圧するようになってからは中国とは距離を置くようになり、日米とのつながりを重視するようになりました。
台湾国民の本音としては、どこの国とも仲良く付き合って行きたいのでしょう。然し、中国は、台湾を自国領土と考えています。中台統一は中国政府の悲願なのです。台湾国民は中国との経済交流は歓迎ですが、政治統一は望みません。
中国は依然として一党独裁国家ですし、政府批判を認めません。政治を変えたいと思っても、そもそも、共産国として中国が誕生してから、一度も選挙をしたことがないのです。政府批判をすれば、すぐに警察によってどこかに連れ去られ、二度と帰っては来ません。香港のデモがそれを裏付けています。
中国の政治はコネと、わいろで動いています。正しい考えが通らないのです。そんな国との統一を図れば、今の台湾の繁栄は失われてしまいます。それを知る台湾国民は、中国との結びつきを重視していた国民党を退け、民進党を支持したのです。
今回の選挙から、第三の政党として、民衆党と言う政党が生まれています。柯文哲さんが立候補しています。この政党は、日米とも、中国とも仲良くして行こう、という政党です。一見もっともらしい考えですが、中国が攻めてきたらどうするのか、と問われれば、答えはありません。日本にもよくある曖昧なリベラル政党です。
しかしこうした右にも左にもなびく便利な政党が大きな可能性を持っています。すなわち、民進党が勝利しても、国民党が勝利しても、どちらも議席で過半数が取れないのです。民進党が安定して政治を行うには、民衆党と組んで行かなければなりません。
民衆党は小さな政党でも、キャスティングボートを握る立場にあります。日本でも、公明党がそうしたポジションにいて、自民党の政治に参画しています。柯文哲さんにすれば、まさに彼らが望んでいた結果になったわけです。
先進国の国々はみんな今回の台湾選挙に満足をしています。中国にゆだねるわけでもなく、独立を望むわけでもなく、今の現状を求めた台湾の国民は、最もうまい選択をしたことになります。
面白くないのは習近平さんでしょう。いろいろ民進党の活動を陰で破壊工作をしてきたようですが、余りに性急な妨害工作が、台湾の国民に見透かされてしまいました。このところの習さんの政治はことごとく失敗しています。どうも習さんには焦りが見えます。持病でも抱えているのでしょうか。
さて、アメリカでは今度大統領予備選挙があります。それにしても、バイデンさん82歳、トランプさん78歳。もう少し若い政治家はいないのでしょうか。アメリカ人の平均寿命が76歳くらいと聞きます、日本人と比べると10年寿命が短いのです。アメリカの80歳は、日本人で言うと90歳くらいになります。アメリカ人は体格もよく、頑強に見えますが、案外もろいのです。
アメリカ大統領と言うのは激務です。80に近い人が大統領に立候補して、その後5年政治を行うと言うのは正気の沙汰とは思えません。もっと若くてやり手な政治家に出て来てもらわないとアメリカ自体が地盤沈下してしまいます。
今でもバイデンさんは良く、転んだり倒れたりします。セリフを飛ばしたり、度忘れしたりします。この人が90近くまで大統領をやって大丈夫でしょうか。もっともっと優れたアメリカ人がいるはずです。何とかみんなで探して有能な大統領を選びましょう。
さて、内心穏やかではないのが、ウクライナのゼレンスキーさんです。バイデンさんが大統領の儘なら、ウクライナへの軍事支援は続くでしょう。然し、トランプさんはモンロー主義の権化のような人です。アメリカの繁栄以外に何の興味もないのです。
「何でウクライナにアメリカが支援しなければならないのか」。と露骨にウクライナ支援を否定しています。ウクライナだけではなく、移民にも否定的で、メキシコの出稼ぎ人にも冷淡です。この人がアメリカで人気のある理由は、アメリカ南部の保守的な家庭の親父が日頃口にするようなことを、平気で発言するからです。
アメリカの大統領なら、いつも心の中で思っていても、決して口には出さないようなことを、普通に田舎の親父の、巷の政治談議のように、下品な言葉でぺろりと喋ってしまいます。それがアメリカ人にとっては痛快なのです。アメリカ人は喜んでいても、世界の人々には危険以外の何物でもありません。
さて、どっちが大統領になるか、と、問うのは間違いです。どっちも選んではいけないのです。アメリカ自身が旧来のしがらみに縋り付いていてはいけないのです。さもないとウクライナは大敗北をし、パレスチナはこの先ずっと戦争を続けることになりますし、中国は国力を落とし、韓国を道連れにして、アジアで不況の嵐が吹き荒れるでしょう。
習さんも、プーチンさんも、バイデンさんも、岸田さんも、みんなそっくり新しく入れ替わった方が良いのです。今年は世界中の政治が大きく変革する時期なのです。そんなことはマジシャンでもわかるのに。
続く