手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

四者討論会

四者討論会

 

 先日、小池百合子さん、蓮舫さん、石丸伸二さん、田母神俊雄さんの4人による討論会がを拝見。

 討論の感想は、小池さんがうまく逃げ切り、他の三人はてんでんばらばらに自己主張するのみで、小池さんを攻め切れていなかった、と思いました。小池さんのこれまで8年間してきた事の何がいけなかったのか、何が問題だったのかを、ここではっきりと表に出して、だから自分は何をする、新しい都政を作る。と言う話をしない限り、3人の候補者の存在意義はないはずです。

 どうも都知事選に出てくる人は、共通して、地方自治と国の問題を混同して語ってしまっています。都知事の権限ではどうにもならないことを都知事選で披歴しても、それは無意味です。

 石丸さんのような、見るからに頭のよさそうな人でさえも、「東京の一極集中を是正する」と言うことを公約にしています。具体的にどう解決するのかと言うと、「首都機能を分散する」と言います。

 仰る通りです。首都機能を分散させれば、東京都の人口は少なくなります。然し、その話は、私が子供のころから議論されています。でも解決されません。なぜかと言えば、政府の中央集権が確立されていて、その権限を手放そうとしないからです。機能の集中は、東京都の責任ではなくて、それは国のやることであって、都知事の仕事ではないのです。

 首都機能の分散は、日本政府の省庁が、既得権を地方自治に譲らなければ解決しません。あるいは。遷都をして、機能をそっくり別の地域に移転するとかしないと、いくら東京の中で移転を語っても、どうにもならない話です。

 東京都は、国の首都であり、同時に東京県(地方自治体と言う意味)の県庁所在地であり、更には、東京市(かつては23区の区域全体を東京市と呼んでいました)の機能が集中しているのです。つまり三重の機能を一つにまとめたものが東京なのです。その中で唯一、首都としての東京は、都知事の権限の及ばないもので、これは国が直接管理していて、国会も、各省庁も、飛行場も、全ては国が管理しているのです。

 東京都の中にあるものはすべて東京都が管理しているわけではなく、東京都にできることは国政ではなく、地方自治なのです。例えば、満員電車ををなくすと言うこと一つをとっても、それを東京都が出来るのかと言えばまず無理です。官庁や、大学を地方に移転しない限り、東京の一極集中を減らすことは出来ません。東京都で出来ることは、お茶の水にある大学を、立川や八王子に移す程度のことですが、それでは都内の人口は変わらないのです。

 石丸さんは、どうも国政をにらんで都知事選に出ているように見えます。それが今見えてしまっては、都知事の票を集めることは出来ないでしょう。

 田母神さんは何度も都知事選に出ていますが、この人も、国を守る、防衛都市を作ると言うことをおっしゃいますが、これも国の仕事です。早く国会議員におなりになった方が良いと思います。

 蓮舫さんは、なぜ都知事選に出るのかもわからない人です。本気で小池さんを倒そうとするなら、徹底的に小池さんを調べて、いままでの問題点をすべて表にさらけ出して、攻め立てなければ無理です。

 豊洲で化学薬品が地面からにじみ出ていた問題はどうなったのですか。一体どう解決したのですか。プロジェクトマッピングには裏金は動いていないのですか。代々木の土地を関係業者に売った裏には裏金は動いていないのですか。オリンピックの裏金問題はこれで終わりですか。いろいろ上げればこの8年はおかしなことばかり起こっています。それらを蓮舫さんはそのままで済ませてしまうのですか。

 何にしても、蓮舫さんも、石丸さんも、田母神さんも、小池さんを倒すための周到な戦略が見えません。小池さんを崩すことは容易ではないはずです。残念ながら、攻める側に鉄砲の弾が足らなすぎます。決定打がないまま、小池さんにのらりくらりと逃げられています。小池さんは逃げの天才なのですから、よほどの確証を掴んでそれ一点に集中して攻め込まなければ、簡単に逃げ込まれてしまいます。

 民主党の支援よりも、週刊文春などを味方に付けて、資料をごっそり譲り受けて、戦わなければ、勝てないのではないですか。文春の支援の方が強力だと思いますが、如何でしょうか。

 私は先週、石丸さんに、4年待って都知事選を目指せば勝てるんじゃないかと書きましたが、今の現状では、小池さんは勿論、蓮舫さんにも届かないのではないかと思います。

 組織票を持たずに、ネット民を頼りに選挙をしても、ネット民ほど当てにならない人たちはいません。実際にチラシを持って、一軒一軒訪ね歩くような、応援者を作らない限り、選挙には勝てません。人はネットで何か言うだけでは簡単には動きません。

 30万票50万票が取れればそれでいいとお考えなら、今回はその程度の票は取れるかも知れません。然し小池さんに勝つには300万票が必要です。都民の300万人が信任すると言うことは簡単ではないのです。

 ネットのふわふわとした有名人がしきりに、「石丸さんが勝つかもしれない」。などと煽っていますが、それは余りにものを知らない人の言葉です。東京と言う巨大な都市には、どこにも所属しない、特別に東京をどうしたいという考えもない、ふわふわとした都民は100万人やそこいらはいるでしょう。然し、だからと言って、それが200万、300万票にはなりません。その100万人を除いた、1300万人は、それぞれ真剣に都政を考えている人たちなのです。その人たちが、おいそれとネットのカリスマの言うことを聞いて石丸さんに投票するわけがないのです。

 現実に、今東京に大地震が起きた時に、水害、火災、建物崩落で5万人が亡くなると予測をしていますが、新都知事がこの先4年間で、例えば5万人の死者が出る予測を、半分にできる方法はありますか?。

 具体的に何と何を買い揃えればいいのですか?、危険な建物をいくつ取り壊せば災害から都民を守れますか?、危険な地下街があったら、都知事の勇断で取り壊す勇気はありますか?。木造密集地を都の予算で買い取って、安全な住宅を建てられますか?。具体的に一つ一つ処方箋を出してください。

 そして、実際関東大震災が起きたときに、死者が想定の半分、あるいは三分の一になったなら、新都知事は評価されるでしょう。そうした具体策を出さないで、なおかつ、小池さんの都政も批判できないで、何が公約ですか。立候補をした皆さんは何がしたいのですか。

 それでは都知事選に勝てないと言うことは手品師が見てもわかります。手品師に底を見透かされていては都知事にはなれません。

続く