手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

ヤングマジシャンズセッション

ヤングマジシャンズセッション

 

 先日(17日)のマジック9の公演で、来年3月9日の東京ヤングマジシャンズセッション、の案内を配らせてもらいました。すると、効果は絶大で、翌日18日までで20名の申し込みがありました。実はまだチケットは印刷しておらず、正式なチラシも来年1月から発送しようと考えていたのです。マジック9で配ったチラシは仮チラシだったのです。

 然し、申し込みがある以上、登録は致します。早速、申し込み、振り込み順に、整理番号をお報せして、正式にチケットが出来てから、番号順に良い席をお送りすることにしました。

 もし、良い席で観覧ご希望のお客様がいらっしゃいましたら、お早めにお申し込みください。

 

 私は、毎年、5つの自主公演を企画しています。一つは、ヤングマジシャンズセッションの東京公演。二つ目は、大阪マジシャンズセッション。三つ目は福井の天一祭。四つ目はマジックマイスター。五つ目は、私自身のリサイタル公演。

 いずれも文化庁や杉並区などの支援を貰って公演し、お客様は私のお客様に連絡をして、人集めをしています。実際、年に自主公演を五つもすることは大きな負担です。特に昨年は、セッションを東京も大阪も二日ずつ公演したため、大きく経費が掛かり、又、観客動員にも苦労しました。

 然し、二日開催、三日開催と言うのはとても大切な公演です。一日開催してそれでおしまい、と言うのでは、演技の修正が出来ません。前の日に「タイミングが悪かった」とか、「演技上不要な部分があった」。などと言う微調整を次の舞台で修正してこそ舞台は良くなります。

 そうであるなら、二日、三日の公演はとっても貴重です。しかも同業の先輩や、看板マジシャンが舞台を見ていて、その場でアドバイスが貰えたなら、修正箇所はすぐに理解できます。そうした意味で開催日を増やしたほうが人を育てるためには効果が大きいのです。

 然し、実際には、二日開催にすれば、観客数は二倍集めなければならず、経費も二倍になります。出演者がその心構えを持って、あちこちに宣伝をして、人集めをしてもらわなければ、公演は成功しません。

 ところが、これが現実には難しいのです。マジシャンの多くは、自分の実力と、観客動員を結び付けて、立場を把握して舞台活動している人が少ないのです。「自分はFISMで入賞した」。とか、「どこそこのコンテストで優勝した」。はなはだしきは「○○さんよりはうまい」。などと言う自己評価を自慢をする人がいますが、「そうなら、お客様を20人連れて来て下さい」。と言うと、全く、自己評価が人集めにつながらないのです。

 マジシャンにとっての自慢は、周囲のマジシャンとの些細なレベル差を競っているだけで、一般のお客様にはっきりと実力をわからせるような一般評価に至っていないのです。それがために、知られたメンバーを揃えても、マジックの公演自体がなかなか熱狂するような舞台に至らないのです。いつまでたっても、マジック専門劇場は出来ず、毎日一般観客が押し掛けるような状況にはならないのです。

 ただ、ないものをあげつらっても意味はありません。嘆いていても発展はありません。まずは、「なぜマジックシアターが出来ないか」。「なぜたくさんのファンが出来ないか」。をもっともっとマジシャン自身に折に触れて伝えて、理解させなければいけないのです。

 自分と他のマジシャンとの些末な差などどうでもいいのです。思い切って飛んで見せなければ世間の人は注目しないのです。それにはマジシャン自身が、日常の考え方を切り替えて、違う発想でマジックを見直さなければ、いつまでたってもお客様の求めるマジシャンにはなり得ないのです。

 と、こういうと私がマジックの地道な活動を否定をしていると考える人があります。日頃の努力が無駄だと言われていると勘繰る人があります。そうではありません。現実に一人一人のマジシャンがなぜ人が呼べないのか。その一点を頭に入れておいてほしいのです。つまり、成功は別のところにある。と言うことを知らなければいけません。

 

 私とナポレオンとマギー司郎はよく20代のころから一緒に自主公演をしたり、酒を呑んだりしていました。その中で一番早く名前を売ったのはマギー司郎でした。それは私に取っては意外でした。なんせ、当時のマギー司郎はマジックの知識は少ないし、マジシャンとしての評価は決して高くはなかったからです。

 テレビに出ているマギー司郎を見たら、「このグラスに三ツ矢サイダーを入れるのよ、それで、グラスを三回廻すの、そうすると三ツ矢サイダーがスプライトに変わるって言うマジック知ってる?。このマジック、下館って言う駅の前にあるタバコ屋のおばちゃんに評判がいいのよね」。

 私はこれを見て、思わず腰が砕けてしまい、その場にへたり込んでしまいました。やっていることはマジックでも何でもないのです。いままで、私は一生懸命マジックをしていたのが一体何だったのかと唖然としました。そうなのです。売れると言うことはマジックの才能や、技量とは別物なのです。真剣にマジックをしている。必死でマジックを考えている。そんなことは何の評価にもならないのです。それを私はマギー司郎から習ったのです。いい勉強をさせてもらいました。

 

 さて、今回の観客動員も、実は、来年3月9日のマジックセッションに、メインゲストでアキットが出演するために、チケットの申し込みが盛り上がっているのです。アキットが人気があると言うのも、ある意味マギー司郎と同じです。人が何を求めているのか、を的確に把握している人なのです。おかげさまでチケット予約も幸先よく売れています。3月9日は恐らく満席になるでしょう。アキットに負けずに、他のメンバーも自分のお客様を集めてきてほしいと思います。

 

 2024年3月9日(土)。第8回、ヤングマジシャンズセッション。

会場 座高円寺。時間 5時30分会場。6時開演。

出演者。魔法使いアキット。藤山新太郎。才藤大芽。橋本昌也。藤山大成。うえし。ザッキー。川上一樹。 

料金、前売り、S席4000円。A席3500円。当日 S席4500円。A席4000円。学生500円引き、小学生以下、2500円。

お申し込み東京イリュージョン。詳細は東京イリュージョンまで、

03-5378-2882 info@tokyoillusion.co.jp