手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

ポールダンス

ポールダンス

 

 11日(土曜日、建国記念日)、12日(日)と二日間指導が続きました。人に教えることは嫌いではありませんので、別段苦しい、辛いと言うことはありませんが、教えるために私自身が一通り浚(さら)わなければならず、そこに時間が取られるのは労力を使います。

 それでも指導をすることによって、生徒さんがどんどん演技が良くなってゆくのを見ると、教えることの価値を感じます。多くのアマチュアさんが、思ったほどに舞台で受けないとか、うまく出来ないのは、我流を押し通すからうまく行かないのです。先ず、基本的な考え方を身に着けた上でなければ決して芸能は自身に根付かないのです。

 いきなり自分の考えだけで手順を作ろうとしても、蓄積がなければすぐに行き詰まってしまいます。DVDや、道具を買って、適当にいじくりながら演技を組み立てるようなことを繰り返していると、芸能の本質が分からないまま種の知識ばかりが増えて、少しも生かせない結果になります。初期は我流から離れて、先ずは習うことが大切です。

 

 さて、昨日は、午前中に指導を済ませ、午後から錦糸町シルクロードと言うカフェで開催されるショウを見に行きました。KEIKOさんと仰るポールダンサーマジシャンが主宰するマジック&ポールダンス&昭和歌謡曲のショウだそうです。景子さんが私を招待してくれました。

 3時半に来て下さいと言われましたが、到着したのは3時でした。ショウは既に始まっています。それがポールダンスショウでした。私は生まれて初めてポールダンスの皆さんを拝見します。かつて、サーカスの中で、ポールダンスは見た記憶があります。

 今回のように、7本も8本ものダンサーによる、ポールダンスを見るのは初めてです。舞台中央の天井まで伸びる直径14㎝くらいの銀色のポールがあり、他にも、客席と舞台の間に、上手下手に同じようなポールが2本取り付けられています。この3本のポールを使いながら、ポールにつかまって回転しながら踊りを見せるのですが、ここに来ているお客様はポールダンスのファンらしく、いいところに来ると拍手をして、声援を送ります。

 ところが、私からすると、どこがいいところで、拍手のしどころなのかが分かりません。ポールにつかまってぐるぐる回る演技ばかりですので、どれも同じに見えてしまいます。赤い襦袢を着た女性のダンサーは悩ましげで面白かったですが、かつてのキャバレーショウのヌードのようでもあり、妙に懐かしい芸能だなと思いました。

 一人一人の演技は音楽一曲で完結です。せいぜい3分か4分くらいでしょう。一人が終わるたびに、暗転になります。その中で、ステージハンドが出て来て、脚立に乗って、ポールを丁寧に拭きます。指紋が付いたらやりにくいのでしょうか。入念に拭いていました。それぞれの分野のスタイルが見えて興味深く感じました。

 

 ポールダンスはひとまず終わり、しばらく休憩の後、マジックショウの開始です。私は休憩中にハイボールと、ソーセージの盛り合わせを頼み、久々のアルコールを楽しみました。

 マジックショウは、KHYと言うチームで、3人組の女性がいたします。KEIKOさん、Hitomiさん、yayAさんの3人です。それぞれの頭文字をとってチーム名にしているようです。この3人が踊ったり、ポールダンスをしたり歌ったり、マジックをします。

 ここに来ているお客様は余りマジックを見たことのない人達らしく、シルクの結び解けや、ファンテンシルク、爛漫などでもびっくりして喜んでいますので、いいお客様です。

 マジックとしてはHitomiさんが、いい表情で、ファンカードを演じていて、手慣れている巧さを見せました。若いころから見ていますが、こんなに安定した見せ方をするようになったのは驚きです。但し、マジックの演技はそれぞれ2~3分に切ってしまって、まるで歌のつなぎのような扱いになっています。どうしても見ごたえが感じられません。

 今回のショウは、あくまで昭和の歌を聴くショウなのでしょう。金井克子の他人の関係とか、東京ブギ、とか、ジュデイオングの魅せられて、とか、昭和のヒット曲がたくさん出て来て、昭和生まれの私としては飽きが来ませんでした。お終いの方に美空ひばりのヒット曲がたくさん出て来ましたが、美空ひばりの歌となると、他の人が歌うとかなり本家と差がついてしまって物足りなさが見えてしまいます。

 それでも、歌って、踊って、マジックをしての熱演の1時間でした。パラソル交換や、パスパスボトルなど、色々見せてくれたのですが、どうも彼女3人がやりたいのは踊って歌うことに主眼があるように見えました。

 

 ショウが終わって、私はすぐに外に出ました。すると、衣装を着たままの景子さんが追いかけて来ました。何事かと思うと、私にバレンタインのチョコレートをくれました。私にまで気を使ってくれて感謝です。

 今晩は女房に外で食事をするから、と伝えてありますので、本当なら錦糸町のどこかで食事をしたら良いのですが、別段一緒に食事をしたい仲間もいませんでしたので、そのまま高円寺に戻りました、さてどこで食事をしようかといろいろ考えて、高円寺南口の飲食店街にある、昨年ピザを食べた店、「窯鉄」に行ってみようと思いました。以前食べたピザとステーキが忘れられません。

 店に入ると店主は、私のことを覚えていました。以前と同じく、ピザとステーキを頼み、ハイボールを頂きました。ステーキと言っても150gで、赤みの肉をレアで焼いてあります。それをワサビと醤油をつけて食べます。肉は細かに切ってあります。脂はほとんどなく、まるで馬刺しを食べているようです。酒のつまみには手ごろです。肉は食べたいのだけれども、脂分がどうもと言うときには最適です。なかなかいいセンスをしています。それでも一人で、ピザ1枚とステーキを食べるともう満腹です。こう書くと随分贅沢をしているとお思いでしょうが、ピザとステーキとハイボール一杯で2350円です。内容と言い価格と言い大満足で家に帰りました。充実した一日でした。

続く