プーチンさんどこ行くの
どうもロシア国内でプーチンさんの立場が危うくなりつつあるようです。理由は明らかで、ウクライナの戦いが思わしくないのです。ロシア国内でも戦争反対の機運が高まっています。仮にウクライナの戦いがプーチンさんの思惑通りに、短期的にロシアが勝利したとして、ロシアの領土が広がって、小麦やトウモロコシの価格が安くなったなら、恐らくロシア人は大喜びしたでしょう。
しかし、現実には、戦えども戦えども勝利は見えず、いたずらに兵志の死者を増やし、軍事費は重くのしかかり、ＮＡＴＯからの締め付けがきつくなり、あらゆる商品が入って来なくなって、景気はどんどん悪くなっています。
特にロシア軍がプーチンさんに対して懐疑的になって来て、なかなか言うことを聞かなくなっています。兵士が不足した分徴兵しようとしても、おいそれと徴兵に応じる国民は少なく、仕方なく刑務所の囚人を当てるなどの対策を取っているようですが、それで本当にウクライナに勝てるものかどうか。ロシア軍の規律はどんどん悪化しています。そして囚人と言えども、勝ち目のない戦いに出ることを嫌がっています。ロシア軍の幹部の中でさえ、今の戦いでは、いたずらに兵志を死なせていて、この儘では自分たちの責任が問われることを恐れています。また、衛星国も積極的な協力をしたがらなくなってきています。
そうしたところへもって来て、西バルカン半島の6カ国がＥＵへ加盟申請をしてきました。加盟を申し込んでいる国々は、アルバニア、ボスニア・ヘルツェコビナ、セルビア、モンテネグロ、北マケドニア、コソボ、の6カ国で、6カ国と言っても一国が日本の四国とか、東北と言った一地方または、一県程度のサイズしかないため、どこも国力が弱く、常に大国の圧力に脅かされてきた地域です。
こうした国々から見たなら、ウクライナなどは黒土も広く、農作物も豊富で、石炭も取れ、工業も盛んで、憧れるほど豊かな国なのです。そのウクライナがロシアと戦い、泥沼の状況に至っているのを見ると、そのすぐ西側にあるバルカン半島の国々とすれば、ロシアがちょっと手を出せば6カ国ともひとたまりもなく攻め取られてしまいます。実際、この200年間を見ても、トルコに攻められ、ギリシャに攻められ、ロシアに攻められ、ドイツに攻められ、数十年に一度国を奪われてきた地域です。
彼らにすれば、このままでは危ないと危機感を抱いていました。それが、ウクライナがＮＡＴＯ に加盟したがっている姿を見ると、これは早いところＥＵとのつながりを持たなければ危ないと判断したのでしょう。西バルカン諸国としては賢明な判断です。
ところが、ロシアから見たならば、周辺国が次から次とＮＡＴＯやＥＵの傘下に行ってしまうことは不安です。そもそもＮＡＴＯであれ、ＥＵであれ、誰に対しての団結勢力なのかと言えば、ロシアに対してであることは明快なのです。今の時代で自由主義国と対峙するのは、ロシアと中国、北朝鮮だけです。ロシアともしものことがあったならと言う保険がＮＡＴＯなわけです。
ロシアから見たなら、ウクライナを侵攻したことにより、周辺国がロシアから離れて行く現状を目の当たりに見ると、いかに世間に疎いロシア人でも、この先に不安を感じるのでしょう。
そこで徐々にプーチンさんの反対勢力が名乗りを上げて来ています。ロシア軍内部にははっきりプーチンさんを否定する人が出て来ているようです。
立場が怪しくなってきたプーチンさんは、もしもの備えとして国外脱出を考えているようです。一説によると南米のベネズエラへ逃げると言う話が囁（ささや）かれています。逃亡した先で相手国の警察に捕まって、ロシア政府に引き渡されては逃亡の意味がなくなります。逃亡した先の政府が政治犯を捕まえない国でなければプーチンさんは安心できません。そうなると、ベネズエラか、と言う選択になるのだそうです。
何にしても、ほんの一か月前までは皇帝かと思うほど、強気な発言が目立っていたプーチンさんですが、わずか一か月で、逃亡先まで考えなければならない立場にまで追いやられている、と言うのが何とも政治は儚いものです。
平家物語には、おごれるものも久しからず、全ては風の前の塵（ちり）に同じ。と語っています。権勢を誇った平氏も、後になって見れば塵と同じだと語ります。ましてやプーチンさんです。無理に無理を重ねてウクライナ一国を手に入れようとしたのは今年に2月です。それが10か月経った12月には、もう我が身が危うくなってきています。プーチンさんも塵なのでしょうか。
然し、そんなプーチンさんに同情する人は世界中を探しても、先ずいないでしょう。無理無理兵士にされた若いロシア人が、ろくな訓練もせず、武器もなく、冬装備の服も与えられず、食事も満足にもらえないまま、廃屋や塹壕の守備をさせられて、日々マイナス20度の寒空に凍えながら、ウクライナ軍から飛んでくる砲弾を前に、一人死に、二人死にと、仲間が死んで行っています。
そんな救いのない状況の中で何をどうしていいかもわからず、凍傷に悩まされ、絶望的な戦いを続けているロシア兵が大勢います。そんな兵士を一人でも多く助け、そして電気も通らない、ガスもない生活に耐えているウクライナ人の家族を助けるには、一刻も早くプーチンさんを失脚させなければなりません。
ウクライナにいいクリスマスが来るようにするには、プーチンさんが失脚するか、ベネズエラに逃亡することです。どんな形であれ早く戦争を終わらせなければいけません。風が吹いて、塵が飛んで行ってくれればいいと思います。
続く
