手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

秋深し

秋深し

 

 「秋深し となりは何を する人ぞ」。は松尾芭蕉の有名な句ですが、その隣の人が、昨日(3日)、朝に晩に、20数発もミサイルを撃ち込んで来たのは迷惑な話です。

 何の目的で、何の理由でミサイルを撃ち込んで来るのか見当もつきません。米韓合同軍事演習に反発しての行為だと言うことのようですが、だからと言って、ミサイルを日本海に何十発も打ち込むことが何の解決になるのでしょうか。

 半月ほど前も、青森県上空をミサイルが通過しましたが、これも何のことだかわかりません。但し、確実に危険な行為であることは間違いありませんし、一方的に他国にミサイルを撃ち込むことは違法行為です。何事も起こらなかったからいいものを、こんなことを繰り返していれば、いつか本当に日本国内に被害が及ぶでしょう。

 その時日本政府はどう対処するのでしょう。「ミサイル攻撃は誠に遺憾に存じます」。と言って抗議するのでしょうか。相手は始めから人の話を聞こうとしない人たちです。苦情を言っても何も解決しないでしょう。何とか迎撃ミサイルで対抗できないのでしょうか。日本海に巨大なハエ叩きのようなものをいくつか作って、ミサイルが来たなら、ペシッと叩き潰せないのでしょうか。

 

 昨日は、朝8時前に突然テレビ画面が赤くなり、ミサイル攻撃があったことを伝えました。アナウンサーが「近くの地下室に避難してください」。と呼び掛けていました。さて、地下室と言われても、高円寺界隈には地下室はありません。

 座高円寺に地下ホールはあります。あそこなら数百人は避難できそうです。でも、仮に出かけて行ったとして、本当に匿(かくま)ってくれるのでしょうか。時刻は8時前、劇場は9時にならなければオープンしないでしょうから、きっとドアは閉まっているでしょう。警報が出て5分以内に避難しなければ核爆弾にやられてしまうと聞いています。そうなら、一刻も早く地下に避難しなければいけません、然し劇場は恐らく、「9時からオープンしますから、玄関前に並んでいてください」。とか何とか言って、ドアは頑なにオープンしないでしょう。そこで、やむなくドア前に並んでいるうちに、ミサイルでやられる可能性は大です。そうなら何のために座高円寺まで出かけて行ったのか、意味がありません。

 近隣の小学校なり、劇場なり、図書館なり、地下室を持つ建物が幾つかあるならば、いつ何時であっても、Jアラートが発令されたなら、自動的に施錠が外されて、近隣住民を収容できなければ、Jアラートは全く意味を成しません。そうなるために国も地方自治体も協調して動いているのでしょうか。

 

 私の家の近所には、子供が遊ぶ遊具のある小さな公園が幾つかあります。日頃は、子供とプータローと猫がたむろしていて、余り環境のいい場所ではありません。そこに地下シェルターを作って、警報と同時にドアが開いて、地域住民を受け入れるようにしたなら、随分公園の価値はあがり、地域に恩恵を与えるでしょう。

 各地域でシェルターを管理し、水や、非常食、簡単な医薬品もストックして、警報があればいち早く非難を呼び掛けるようにすれば、我々は北朝鮮の無謀に対処できます。然し、何十年経ってもそんなことにはなりそうにありません。

 これほどに頻繁にミサイルが飛んで来るなら、真剣に核シェルターを作ることを考えたほうがよいでしょう。そうでないと、いくらテレビで避難しろと言われても、実際にはどこにも非難する場所はなく、うろうろしているうちに焼き殺されてしまいます。

 

 北朝鮮は、言ってみれば、自分の考えをしっかり世間に伝えることのできない、思春期の子供のような行動を取り続けています。「誰も俺の気持ちをわかっちゃくれない」。と言って、ただただ暴れています。

 それが少年一人のことなら、大した問題ではありませんが、国全体が思春期で、理由もなく暴れていたのでは、周辺は迷惑します。そもそも、ミサイルを作り続けて一体何になるのでしょうか。日本海にミサイルをまき散らして、何かいいことがあるのでしょうか。そんなことをする国を周辺国が恐れて、頭を下げて来るとでも思っているのでしょうか。

 実際、ミサイルの価格と言うのはとんでもなく高価なもののはずです。失礼ですが、北朝鮮は、日々食べるものにも不自由し、石油も、医薬品も日用品までも欠乏し、国民は貧困にあえいでいると聞きます。そんな国が、ミサイルを作って近隣に飛ばしている場合でしょうか。

 やらなければならないことは周辺国と仲良くして、財政支援を受けることが第一で、ミサイル製作をすぐにやめることです。日米韓が軍事演習をするのは、北朝鮮を攻め取るためにしているのではなく、黙っていたら危険だから対策を考えているのです。

 実際、多くの国々にとって、北朝鮮は何ら興味の対象になる国ではありません。経済規模は小さく、魅力ある産業もなく、購買意欲を持った生活力のある国民もおらず。国のインフラは未熟で、いつでも国民は監視され、言論に自由がない。そんな国にどこの国も興味は示さないでしょう。

 と、いろいろ北朝鮮のことを書きましたが、私が何かを言ったところで北朝鮮が良くなるわけでもなく、ミサイルが飛んで来なくなるものでもありません。言っても言わなくても北朝鮮は周辺国を理解しないでしょう。つまりどうしようもない話です。

 同じく芭蕉の句に、「物言えば 唇寒し 秋の風」

 秋の風が唇に当たるから寒いわけではありません。相手がどうしても理解しないから悲しいのでしょう。芭蕉も悲しみを諦観するほかはなかったのでしょう。言っても仕方のないことをあえて言うことは空しいものです。

続く

 

 日曜日の12時に、の本橋のアゴラカフェで公演があります。藤山新太郎、ケン正木、和田奈月、藤山大成が出演。お食事付き5000円。(子供半額)要予約、アゴラカフェ、tel  6262-6331