手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

新興宗教

新興宗教

 

 安倍元総理が狙撃され命を落として、狙撃犯が捕まり、そこから統一教会に対する復讐だったことが分かり国内は騒然。統一教会に恨みを持つ狙撃犯がなぜ安倍元総理への殺害に走るのか。話はしっくりいかないまま話題は統一教会に移って行きます。

 一連の騒動はテレビのワイドショウに格好のネタを提供して、連日高視聴率で沸いています。

 しかし、よくわからないことだらけです。安部さんは統一教会の顧問などを引き受けていたのでしょうか?。たびたび協会に催しに賛辞を送っていたようですので、何らかの顧問料などはもらっていたのでしょうか。

 なんせ60万人とも100万人ともいう組織票は、自民党の運営にとっては魅力があったのでしょう。宗教は選挙の票に大きな影響を与えます。それゆえか政治と宗教はどうしても怪しい取引が付きまといます。

 また、安部さんの祖父、岸信介さんは統一教会と何らかの関係があったのでしょうか。1960年代に、統一教会の教祖が、反共政策を打ち出した組織を立ち上げていて、それを自民党が支持していたという話は聞いています。当時は共産主義社会主義が勢力が大きかったので、何らかの対抗策で統一教会と関係を持ったのかも知れません。

 祖父から孫と、新興宗教に深くかかわりを持っていたのかどうか。そこが曖昧です。あれこれ詮索する前に、安部さんの統一教会とのかかわりをはっきりさせなければ、今回の狙撃は意味不明です。ここをどなたか明快に話してくれませんか。

 とは言っても、安部さんの行動には常に闇の世界がほの見えます。森友学園加計学園桜を見る会。どれもこれも追及はあいまいに終わっています。安部さんは有能な政治家ですし、歴史に残る成果を残しています。然しながら、お爺さんの岸さん同様、常に怪しい影が付き纏います。

 

 統一教会が怪しげな宗教であることは、昭和のバブル期から随分テレビでも話題になっていました。一連の霊感商法で、壺を80万円で売りつけるだの、印鑑を10万円で買わせるだの。おかしな資金作りを繰り返していて、度々警察が介入していたのを記憶しています。

 さらには、会員同士の見合いを教会が取り持って、会員による統一結婚式を行い、見知らぬ男女が協会主導で結婚式を挙げる。本当にそんなことをして夫婦がうまく行くものなのか。それを宗教が本気でするのか。首をかしげてしまうことばかりでした。

 その結婚式には元アイドルだった桜田淳子が参加していて、当時30代だった私は、テレビを見て、なぜ彼女が、と、びっくり仰天。「いや、本当に桜田淳子はこんな結婚式を望んでいたのか」。あまりに異常な光景でした。

 その結婚式には、教祖の夫婦が壇上に立ち、子供が作ったような王冠をかぶって挨拶をしていました。あの教祖の姿を見て、「どう考えてもこの人たちの知能指数は低い。まともな宗教ではない」。と思いました。

 が、然し、教会員は真剣なのです。少なくともテレビに映し出された映像からは幸せに満ちた人の顔が映し出されています。

 

 そもそも宗教と言うのは第三者が冷静に見たならどの宗教も異常なのです。原始宗教でも、一般的な宗教でも、カルト宗教でも、宗教に関与していない人が見たなら「なんでそんなことをするの」。と首をかしげてしまうようなことを繰り返しています。にもかかわらず新興宗教はなくなりません。いつの時代でも宗教は必要なのでしょう。それだけ心に悩みを抱えている人が多いのでしょう。

 

 世の中に、差別、貧困、学歴格差、嫉妬、いじめ、弱者虐待、あらゆる矛盾が存在して、多くの人は苦しみを抱えています。外見は豊かに平和に暮らしているように見える人でも、家庭内では、子供の登校拒否や、夫の家庭内暴力、職場のいじめや嫉妬で苦しめられている人はたくさんいます。

 悩みや問題があっても、人とうまく付き合い、問題を交わして生きて行ける人は幸いなのですが、人づきあいがうまくなかったり、ハンデを背負っている人などは、毎日差別に苦しまなければならなくなります。そんな人の悩みを聞いてくれる組織、或いは逃避できる場所が宗教なのでしょう。

 宗教家の中には真剣に個人の悩みと向かい合って話を聞いてくれる人もあります。そうした宗教家と出会えば人生は救われます。然し、中には人の弱みを握って金儲けをする人もあります。

 宗教家ではありませんが、手相見、人相見で、一回3000円くらいで人を見ている分には平和なのですが、当たると評判の人が、相談者が弱いと知るや、金額を吊り上げ法外な見料を取るなどというのも、人の弱みを金に換える行為です。宗教の除霊も狐下ろしも全て同じです。個人では解決できない弱みを持った人がたかられているのです。

 確実に言えることは、人が人の将来を予測する能力はありません。どんな有能な人でも1分先のことは誰にもわからないのです。人の将来をズバリズバリと予測する人がいたなら、それは度胸のいい嘘つきです。根拠などありません。

 それを信じて、値打のない宝石や、無理な宗教活動に付き合わされて財産を奪われるのは、傍から見たなら、本当に気の毒です。

 

 「然し、そんなことはちょっと考えればわかるだろう」。と思うのは第三者なのです。心に悩みのある人は、盲目となって、誰かに救いを求めようと必死なのです。世間は弱者に冷たく、差別には無理解です。そのため、弱者の心を救う組織が存在するのです。

 神社やお寺にはお札が売られています。交通安全のお札を付けていれば交通事故には合わないとは言えないでしょう。事故とお札は何も関係がないはずです。にも関わらず人は意味のないお札を買い求めます。お寺でも神社でも、お札に意味がないことは知っているはずです。でも販売しています。それは人が求めるからでしょう。

 役には立たないかもしれないけど、それを心の拠り所として人が救われるなら、無意味ではない。そう考えてお札を販売しているのでしょう。同様に、宗教自体も、全く否定はできません。おかしなことをやっていると言っても、それで人の心が救われているなら。存在価値はあるのです。然し、家族の信じる宗教によって、被害を被っている、今回の狙撃犯にとっては、宗教は憎き敵でしょう。それが安部さんの銃撃に向かったことは極端な行為ですが、これも持って行き場のない心の悩みの解決策なのでしょうか。

続く

 

 明日はブログを休みます。

 

 8月7日アゴラカフェ。

 日本橋マンダリンホテル二階、アゴラカフェで手妻マジックの公演。出演。藤山新太郎、前田将太改め、藤山大成、穂積みゆき、小林拓馬、せとな。

 入場料5000円、子供2000円、食事付き、12時から。