手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

保守対新保守

保守対新保守

 

 一年目のブログに書きましたが、日本の政治は、長い間、保守党(自民党)対、社会主義系のリベラル政党の戦いでした。然し、ソビエト連邦が崩壊して以降。日本人は、社会主義に対して懐疑的になり、社会主義イコール進歩とは考えられなくなってしまいました。

 100年前なら、当時の資本主義はあまりに労働者に対して過酷で、低い賃金で労働者を働かせるばかりで、何ら生活の保障を見なかったのです。そこへ現れた共産主義社会主義は、福祉も医療も教育も、国ですべて面倒見る、という考え方は斬新で、多くの労働者に夢と希望を与えたのです。

 しかし、今の資本主義は、普通に福祉や医療を提供するようになり、結果、日本やヨーロッパのような福祉社会が生まれました。対する社会主義国は、主義主張の通りに事が進まず、賄賂や汚職で、富める者は一層富み、貧しきものは一層貧しくなってしまいました。それが嘘でない証拠は北朝鮮や、ロシア、中国の国情を見たなら一目瞭然でしょう。

 

 そもそも社会主義をリベラルと言うのは、資本主義の発展形が社会主義であるという考えから、リベラル政党などと呼ばれていたのですが、それは社会主義者の机上理論に過ぎなかったようです。資本主義国家がすでに福祉、医療、教育を国が面倒を見ている以上。今や、社会主義が資本主義の発展形であるとは誰も思わないでしょう。

 

 そうであるなら、日本の政治は、保守党対リベラル政党と言う図式はもう成り立たなくなっています。そうなら、保守対保守の二大政党がいいのでしょうか。然し、同じ保守政治では違いを発揮しにくいのでしょう。

 日本の野党は長い間保守とリベラルの間で揺れ動いてきたように思います。実際、「維新の会」も「れいわ新選組」も、新たな保守を模索して生まれた政党だと思います。然し新保守はなかなか大きくなりません。

 それがここへ来て、もっと明快に保守を語る政党が出て来ました。それが「参政党」です。今回ようやく一議席が取れましたが、物凄い人気です。新聞、テレビは彼らを無視し続けましたが、ネットでの人気は爆発的です。

 

 参政党の主張は、「今の日本には投票したい政党がない。それなら自分で作る」。と言うもので、党名そのものが、一般国民が政治に参加する政党の意味で「参政党」です。代表の神谷宗幣さんは関西大学大学院法学部出身、吹田市会議員を経て、参政党を立ち上げています。

 この人はネットで頻繁に政治を語っています。ネットをよく見る人ならば顔なじみです。然しどうしたものかテレビは神谷さんを取り上げません。どうもテレビは昔から、左寄りの人には甘く、右寄りには厳しい傾向にあります。かつて安倍さんが事あるごとにテレビに攻撃されたことを思うと、テレビは右寄りの人には嫌悪感があるようです。

 然しこの先、そうした考えは大きな支持を失って行くでしょう。もう左寄りの考え方に幻想を抱いている国民はほとんどいないのです。今回のロシアのウクライナ侵攻を見ても、ドイツは法律を変えてまでもウクライナ支援に回りましたし、中立国だったフィンランドデンマークはいち早くNATO加盟を申請しています。ロシアからの侵攻を受けているウクライナ自体も以前からNATO加盟を求めていますし。今回のロシアの侵攻により、加盟は一層早まるのではないかと思います。

 対して日本は、このまま手をこまねいて、平和を願う、などと平和を唱えているだけで平和が維持されるものではありません。自国は自国で守らなければならないのです。そうでなくても日本の周辺は、ロシア、中国、北朝鮮と、危ない国ばかりなのですから。

 

 神谷宗平さんの選挙演説は、まるで安倍晋三さんが乗り移ったのではないかと思うほど、こてこての保守思想です。しかし、安倍さん自体が自民党の中で、右寄り過ぎると批判され、党内でブレーキをかける人が多かったため、現実には憲法改正すらままならなかったわけです。

 それをもう一つ新たな勢力を作って、自民党以上に大胆に推し進めようとするところが神谷宗平さんの考えです。「コロナのマスクはやり過ぎだ。マスコミはコロナに対して過剰反応をし過ぎている。ワクチンも過剰摂取はすべきでない」。などと、誰もが思っていたことをはっきり発言しています。私がこの三年いい続けて来たことがまさにそれと同じです。コロナの対策を律儀に守っていると日本中が不景気になります。そのことを明快に語っています。

 憲法改正も賛成。自衛隊の昇格も賛成です。こんなことに躊躇していることこそ国を危険な状態に追い込んでしまうというのです。

 本来自民党が言いたかったことで、常々、国民の顔色を見つつなかなか言い出せなかったことを、神谷さんはストレートに大胆に語っています。面白い人です。神谷さんの言っていることは若い人を中心に支持者が広がっています。若い人がこれまで選挙に出かけたがらなかったのは、若者が政治に無関心だからでもなければ、無責任だからでもありません。明確に国の進路を語ってくれる政党がなかったからなのでしょう。日本人が本当に欲しかった政党は、自民党以上に保守的で、何をしなければいけないかを明確に語ってくれる政党だったということでしょうか。

 恐らくこの先、参政党は選挙のたびに大きく票を伸ばして行くでしょう。安倍さんが亡くなって残念に思っていたのですが、安倍さん以上に安倍さんの政策を訴える政党が現れたのは面白い現象だと思いました。

続く