手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

玉ひで最終日

玉ひで最終日

 

 今日は、ブログを前半、後半に分けてお届けします。今日は玉ひでの最終日です。これから玉ひでに向かいます。お客様は満席です。お客様としても、親子丼は食べ収めとばかり、皆さん親子丼のセットを注文されています。

 玉ひでさんは、今月中に店を閉めて、すぐに解体作業に入ります。そして、2年半後に新店舗を建てて再開します。その間、親子丼は食べられないわけではなく、コレド室町の中に仮店舗を出されるそうです。

 玉ひでさんとしてはコロナの二年半の後、大きな決断をすることになりました。コロナによる飲食店への圧力で、多くは閉店したり、事業を縮小したりする店が多い中、何と玉ひでさんは、百坪の敷地で二階建ての店舗を維持していたものを、全て解体して大きなビルを建てることにしました。費用の面でも簡単ではありません。飛躍の可能性大です。よき方向に進むことを願っています。

 

 私の方は、来月から日本橋マンダリンホテルのアゴラカフェに移動します。アゴラカフェでは、毎週日曜日にマジックショウがあります。一つは私の手妻、二つ目は若手のショウ(ザッキー、早稲田康平、前田将太、諭吉)、三つ目はDAIとそのグループによるマジックショウ、四つ目はカズカタヤマとその仲間によるマジックショウ。毎月4つの別々のチームのマジックショウがあり、それぞれ競うわけですので、面白い展開になりそうです。

 私は玉ひでと同じ、私の手妻と若手のマジックショウを致します。早く、海外の観光客が来てくれて、海外のお客様でにぎわってくれることを期待します。

 若手に関しては、今までの玉ひででは私の前に出番を作って出演してもらっていましたが、今回は大抜擢しました。若手と言ってのもう30になろうとしている人たちですので、ここらで自分の芸を作り上げ世に問うて行くことが求められます。せっかくの機会を生かして、いろいろなことをして行ったら、後々、いい勉強になると思います。こんなチャンスはもうしばらくは来ないと思いますので、せっせと人集めをして話題を作って行ってください。

 というわけで、前半はここまでにしておきます。後半は、晩の7時以降に玉ひでの様子を書きます。8時くらいに覗きに来てください。

前半終了

 

後半開始

 玉ひでから5時に戻りました。

玉ひで公演は。お客様22名で満席でした。食事が間に合わず、12時30分のショウ開始予定が、10分遅れになりました。

 1本目は前田将太。私が常日頃演じている、手提げの引き出しを煙管を構えて演じました。弟子入りしたときから、いつかこの手順を演じたかったそうです。3年半経って、その思いが達成できて当人は満足です。お客様も素直な反応で喜んで見ていました。その後にいつも演じている金輪の曲。手慣れた演技でした。

 二本目はせとなさん。コインとカード当ての演技、タイムラグを応用したコインとカードの微妙な一致と不一致、うまく見せています。お終いは、四つ玉とグラスの手順。何度となく見てきた手順でしたが、今回が一番充実していました。シルクを使ってのグラスとボールの扱いはうまく出来ています。これならもう少しまとめたなら、独自のいい演技になるでしょう。

 三本目は、早稲田康平さん、新聞紙の復活、スライディーニの手順を、奇麗にこなしています。その後に喋りながらカメレオンハンカチ、これも不思議なハンドリングでこなれた演技でした。お客様の受けもとても喜ばれていました。お終いは、ゾンビボール。早稲田さんの孫美は何度となく見ていますが、今回はテンポと言い、浮揚のマイムと言い素晴らしい出来でした。軽い扱いのゾンビでしたが、個性が出ていていい受けでした、お終いは銀テープが流れて、おしまい。

 そのあとは私の手妻。初めが袋卵。卵が三つ出て来て終わり、次に紙テープの切り継ぎ、紙片の曲です。そして、紙卵。次に前田との絡みでお椀と玉。そして、札焼き、

その後が、蝶のたはむれ。間に玉ひでの社長さん、山田耕之亮さんが出ていらして、お店建て替えのあいさつ。お終いは、再度社長さんが出て来て、三本締めをして、めでたく閉会となりました。

 楽屋に戻って、お客様として来てくれた、石井裕さん。堀内大助さん。小林拓馬さんが楽屋に来てしばらく談笑。恐らくこの建物も今回が見納めになるでしょう。お名残り惜しくはありますが、これで楽屋を去ることにしました。

 

 さて私の車には、弟子の前田と、私、それに早稲田康平さんが乗って、途中唐揚げを買って、事務所に戻りました。そこで唐揚げを食べながらハイボールを飲んで軽く打ち上げをしました。

 私は、今回の早稲田さんを見ても、せとなさんを見ても、また弟子の前田を見ても、この二年半の玉ひではやってよかったと思いました。若い連中はとにかく、舞台を踏むたびにうまくなります。その成果は確実に身についています。もし玉ひでがなかったら、稽古だけでここまで演技が出来たとは思えません。やはりお客様に見てもらえたことは若手にとっても大きな成果だったと思います。

 来月からのアゴラカフェは、今まで以上に若手にステージチャンスが生まれます。日本橋を核にして、優れたマジシャンが出て来る可能性はあります。お客様が増え、マジシャンが充実すれば、きっとマジック界にとってこの先は明るくなります。そうなるように我々は努力をしなければいけません。どうぞ、来月からの、アゴラカフェのマジックショウにお越しください。

 数年後、日本のマジック界を見た時に、あの時のアゴラカフェの公演から日本の次のマジックの時代が始まった。と言えるようになるかもしれません。無論我々もそうなるように努力を致します。どうぞ皆様のご支援よろしくお願いいたします。

玉ひで最終日終わり。

 

明日はブログを休みます。