手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

富士から小田原へ

富士から小田原へ

 

 一昨日(7日)は朝から富士の指導でした。そしてその翌日(8日)に、小田原奇術クラブの発表会があり、そこに、富士クローバーズの会員さんの、加藤弘さんと、近藤路子さんが出演するため、富士はみんなで応援に行くことになっていました。

 私は、小田原の奇術クラブの会員さんとは昔から何人かお付き合いがありながら、今まで小田原の発表会に伺ったことがなく、富士の指導と、会員の応援がてら、富士の帰りがけと言うこともあり、富士で一泊した上で、小田原行きを決めました。

 さらに小田原奇術クラブののゲストとして、名古屋のみずほさんと言う、和妻をする女性マジシャンが出演すると聞き、拝見したことのない和妻ですから、ぜひ見たいと言うことで今回の日程になりました。

 

 私が富士に泊まるとなったときに、富士では夜に食事会を催してくださいました。有志十数人が集まり、富士川沿いにある会場に集合。この店のオーナーが木彫のコレクターで、たくさんの珍品に囲まれた会場で、久々和気あいあいと食事を致しました。

 私は、クローバーをご指導する20年ほど前からSAMの富士支部でご指導をしていまして、その時の仲間も久々集まり、賑やかな宴会になりました。

 ホテルに戻ると、舞台のこと、秋の大阪のマジックセッションのこと、日本橋アゴラカフェのことなどでメールがたくさん来ていました。事務仕事をかたずけていると深夜1時を過ぎました。「少し寝よう」と、就寝。然し、翌朝5時30分に目が覚めます。そこでコーヒーを沸かし、少し本を読み、朝食後、デスクワーク。

 毎月東京に習いに来る望月由紀子さんと一緒に10時13分の新幹線で小田原へ、他の富士の会員さんは、自動車に乗り合いで出かけたようです。由紀子さんは私が小田原でまごつかないよう付き合ってくれたのです。

 11時小田原着。駅が新しくなって、以前の小田原のイメージとは全く変わってしまっていました。駅前の蕎麦屋に入ります。早めの食事を済ませて、ぶらぶら駅前を散歩しました。その後、12時45分、市役所に隣接する生涯学習センターに入ります。会場は500人くらい入る大きな会場でした。

 さて座っていると昔、各地のコンベンションなどでお会いした人がたくさんいらしていて、随分なつかしい思い出が甦(よみがえ)って来ました。私はめったにアマチュアさんの発表会には行きませんが、たまに拝見することは、人と会って昔話をしたりして、忘れていたことが思い出され、これはこれで大切だと思いました。

 

 13時30分ショウ開始。一本目が富士の加藤弘さん。傘出しと和蒸籠の演技。昨日は加藤さんの演技を何度も拝見して、小さな手直しをしました。その甲斐あってか、よい出来でした。

 二本目は、92歳と言う石井清次さんは、今は珍しいシルクキャビー。飯田忠明さんは大きなダイスのカラーチェンジ。石塚芳子さんはフラワーリング。熊倉より子さんはパラソルプロダクションに衣装チェンジ付き。倉持勝さんは如意独楽。ここで一部の休憩。

 二部の初めは会長の古谷敏幸さん、鳩出しなど手慣れていて、安定しています。松下峰子さんは、洋装の半纏姿で和蒸籠。山口喜美子さんはアクリルの小箱の中にミリオンフラワーの入ったものをたくさん出し(このマジックはよく見ます)、お終いは無双引き出し。武田亮さんは三本ロープとリングとロープ。地味な手順ながら長くマジックを続けていることが良くわかる演技でした。

 11本目は富士の近藤路子さん。シルクのアラカルト。東京のマジックマイスターでも演じた演技。安定した好演技でした。12本目は原善治さん、ヒンズーバスケット。マジックがお好きなことが良く伝わってくる演技でした。

 皆さんが実に楽しそうにマジックをしているのが好感が持てました。ただ、若い人がいないことが寂しく思います。小中学生にマジックの面白さを広めて、後継者を作らなければいけないと思います。

 ここまで済んで4時でした。お終いは、ゲストのみずほさん。以前からうわさは聞いていたのですが、拝見するのは初めてでした。名古屋にお住まいで、セミプロ活動をされていると伺いました。どんな内容か興味がありました。休憩時間に楽屋に伺うと、昔アヒル出しでおなじみだった鈴木元さんがいらっしゃいました。懐かしい先輩です。みずほさんはゲンさんのご指導で手順を作ったようです。

 その演技は、阿波踊りの鳥追いの被り物でミリオンフラワー、そこから被り物を取って、四つ玉の玉の扱いがあり、シルクの演技が幾つか入ります。但しどれも西洋マジックです。和妻の演技やハンドリングはありません。和の演技を期待していましたが、この演技は、創作和風マジックなのでしょう。

 背景に使っていた屏風を畳んで広げると、景色が変わります。裏に回って、屏風を突き破って出て来ると、花魁姿に変わっています。シルク演技から大幕が出て。大幕の真ん中から顔を出してポーズ。大幕から顔を出すところは、確かにアヒルのゲンさんの指導が生きています。衣装変わりから大幕まで、大がかりな演技で楽しく拝見しました。

 終演4時20分。ここで私はフィナーレを拝見する時間もなく、急ぎ新幹線に乗って東京に戻らなければなりません。

 タクシーで小田原駅に、望月由紀子さんはお終いまで付き合ってくれました。5時10分の新幹線に乗り、5時50分東京。今日は母の日です。途中でカーネーションを買いました。6時40分に帰宅。実は、8時から個人指導があります。わずかな時間に、娘と女房がうなぎを買って待っていてくれました。母の日の祝いです。うなぎは女房の大好物です。じっくり味わう間もなく、慌てて食事を済ませて、指導。

 結局、一昨日の午前10時から、用事がずっとつながって、今夜の11時になってようやく自分の時間が取れました。さて、小田原の発表会のことを書こうかな。と思って、パソコンを広げました。昨日書いた初音ミケが400人近い反応が出ています。「こんな内容を皆さんは好むのか」。少し嬉しくなりました。

 さて今日のブログを書き始めたところで、少し疲れが出ました。「今日は寝よう」。書きかけのまま寝室に上がりました。「どうせ朝5時には目が覚めるからまた書けばいい」。深夜12時。たちまち熟睡でした。用事が多く少々疲れましたが、楽しい2日間でした。

続く