手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

総裁選 峯ゼミなど

総裁選 峯ゼミなど

 

峯ゼミ

 一昨日(12日)、神田の会場で峯ゼミが行われました。一人の欠席者もなく熱心な指導が続いていました。ようやく手順が進んできて、二つのシェルとボールによる四つ玉の手順の全貌が見えて来ました。相変わらず細かな点が解説され、その工夫に参加者が感動していました。

 マジックとはこう考えるもの、手順とはこう作るもの、という基本姿勢がしっかり示されています。いいですねぇ。今までなかった指導です。黙って演技を見ていたなら当たり前に通り過ぎてしまう部分にとんでもない蓄積があったのだと分かったときに、スライハンドの歴史を深く認識します。

 同時に、これをまとめ上げた峯村さんが、マジックの世界でも稀有な存在であることを再認識します。出来ることなら、もっともっと多くのマジック研究家が峯ゼミを受けることを希望します。

 なお、峯ゼミの四つ玉は、12月で終了する予定でしたが。一回増やして、1月まで致します。そして2月からまた半年かけて、今度はシルクのレッスンを始めます。シルクを習いたいとお考えの人は、お早めにお申し込みください。

 

 終了後は、神田の藪そばに行きました。峯村さんはそば好きですが、なかなか東京で一緒にそば屋に行く機会がありませんでした。本当は、神田の砂場に行く予定でしたが、砂場は日曜日が休みで、やむなく藪に行きました。

 正直、神田の藪は、つゆの味が、カラメルでも入っているかのように甘口なところが私の好みではなかったのですが、前回前田と行ったときに、とろろそばを食べた際、少し味が変わったなと感じました。但し、とろろの味で甘みが薄まったのかと思ったのですが、今回てんぷらのかき揚げと蒸籠を頼んだところ、つゆの味がかなり辛めになっていました。「老舗であっても味を変えるんだなぁ」。と感心をしました。

 味は良くなったのですが、値段もそれに比例して高めですから、若い人には敷居が高いかも知れません。でも、峯村さんは満足のようでした。冬には、浅草の並木の藪に行って鴨南蛮を食べようと思います。 

 

 総裁選

 一週間前、総裁選に高市さんが出て来た時、私は、この人は注目すべき人です、とお話ししました。どうやら今回の総裁選はその通りになりそうです。

 これまで、野党や、マスコミが保守イコール右翼と決めつけて、何でもかでも反対する姿勢は、もう国民には敬遠されて来ています。保守の中で今一度保守の考えを構築し直して、保守対保守で論争をして行くような流れが次の時代の主流になるだろう、と私はお話ししました。

 実際、今の野党に、自民党を打ち負かす力はなく、国民の支持も得られていません。国民の多くは、野党に失望しています。が同時に自民党が、防衛費を増やすだとか、自衛隊国防軍に昇格するとか、憲法を改正するとなるとたちまち嫌悪感を示します。

 さりとて、中国が尖閣を占領しようとしたり、韓国が竹島に居座っていると、けしからんと愛国心を燃やし、何とか政府が解決すべきだ。と騒ぎます。政府は一体どうすればいいのでしょうか。国民が明確な判断を持たなければ、周囲の国はいいように日本を削り取って行きます。

 「すべては話し合いで平和に解決したらいい」。とは誰もが言いますが、ロシアとは70年以上話し合っても北方領土は帰って来ません。尖閣諸島は、明治の初めに、当時の清国との交渉の末、日本領になっています。

 ところが、昭和40年代に至って尖閣の海底に天然資源があることが分かると、中国は領有権を主張します。中国は、「そもそもは沖縄諸島自体が中国領だ。尖閣諸島沖縄諸島に属する地域だ」。と言い出します。沖縄が昔、中国に朝貢外交を続けていことを根拠に沖縄ごと返還を言いだしました。

 それを言ったら、沖縄、尖閣どころか、日本自体も奈良時代には朝貢していたのですから、すべて中国領になってしまいます。領土問題は理屈を探せば幾らでも自分に都合のいい話が作れるのです。そこに毅然とした態度で臨まない限り、無謀な要求は続きます。

 

 高市さんは、はっきりとした発言をします。尖閣には自衛隊を常駐しろ。だとか。核に対してはサイバー攻撃で敵基地を先に無力化させろだとか。かなり具体的な話をします。それがマスコミからすれば軍国主義、右翼のレッテルを張って攻撃するには格好の相手となります。高市さんはこの先相当マスコミの集中攻撃を受けるでしょう。

 然し、高市さんの言うことが正論です。この先日本の基本姿勢になって行く可能性はあります。実際大きく世の中の流れが変わるときにはこうした一見、極端な考え方をする人が出て来て、たちまち常識をひっくり返してしまう場合が多いのです。

 かつての小泉純一郎さんを思い出してください。常識で考えたならあの人が総理大臣になることなどあり得なかったのです。田中角栄さんの後の三木武夫さん然り、河野洋平さんの時の村山富市さん然りです。絶対に出てくるわけのない人がときとして世の中の流れを変えるのです。

 

 対するライバルである岸田さんも、河野さんも、高市さんが出てしまった後には、余りに日和見に見えます。

 河野さんは物事をはっきり言う人ですし、複雑な話をうまく説明できる人で、優れた政治家だと思います。今回の総裁選挙でも本命の人だと思っていましたが、河野さんは原発の反対者だったはずが、いざ総裁選に出るとなると、急に原発を容認し始めます。

 つまり、原発に変わる大きなエネルギーなど存在しませんから、実際の政治では、原発は危険だからダメ、とは言ってられないのです。そうなら、なぜ今まで原発がダメで、今日からよくなったのかを説明しないといけません。自身が総裁になるから、と言うのでは矛盾です。

 岸田さんも、総裁に出るとなると、森友問題は、「これ以上追及はしない」。と急に消極的になります。コロナで国民は景気の悪化に苦しんでいるのに、消費税を下げることには反対です。極めて常識的な人なのでしょう。然し、そうなら、ベつに菅総理でもよかったのではないかと思います。

 この先どなたが総裁になるのかはわかりません。高市さんも投票する段になれば、派閥の力で押しつぶされるかも知れません。然し、明快に保守の発言をしたことは、低迷している政治に国民の期待を集めるにはいい流れになると思います。もう少し様子を見て行きたいと思います。

続く

 

 18日、玉ひでの公演があります。若手はザッキーさん、せとなさん、前田です。よろしかったらどうぞお越しください。お席あります。食事なしのコースもあります。03-5378-2882

東京イリュージョンまで。