手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

神田明神最終日

 二か月間、毎週火曜日金曜日に公演してきた神田明神の劇場も、

今日が最終日です。

これで全く終わりというわけではありません。

来年2月からまたスタートします。

お客さんまの集まり具合にはばらつきがありましたが、

演じていて楽しい二か月でした。

 

 カズカタヤマさん、弟子の和田奈月、アコーディオンの名人、安西はぢめさん、

舞踊家の美尾谷織位さんが見に来てくれました。異業種とお会いすることはいい刺激になります。

 

 何とか手妻を安定してみていただけるような劇場で公演してゆきたいと思います。

また今後もご支援ください。

 

 プジョーは、小雨の中を初走行しました。

シトロエンを長年愛してきた者としては、あの滑っとした柔らかな乗り心地が

忘れられません。まるで猫の背中に乗って走っているような、

妖しげなふわっとした乗り心地は、何にも代えられない体感でした。

 普通の乗用車は、どうしても道路面の小さな凸凹を直接腰に伝えてしまいますから、

常にコツコツと体に振動が来ます。しかしシトロエンは違います。

ハイドロニュウマチックという独特の仕掛けによって、全く振動がなく、

舐めるように道路を走ります。

しかしそのシステムももう終わりました。会社自体が、

費用の掛かる仕掛けをやめてしまったのです。

ああ、何たること、あの乗り心地が無くなってはシトロエンではありません。

誠に残念です。

 

 しかし、弟子の前田君は、

プジョーのきびきびと走るさまに結構満足しているようです。

心なしか、彼の運転自体が少し荒くなっているように思います。

断っておきますが、プジョーはまじめでよくできた車です。

いい車です。でも、期待値を超えた車ではありません。

自ら運転してみたいな、と思うわくわく感がありません。 私は雨の外堀通りを眺めながら、歴代のシトロエンに思いを馳せつつ、

二度と帰らぬ、昭和、平成時代の極上の贅沢を味合わせてくれる世界が、

終わったような気がしました。

 

 さて、明日は休みです。

私は、傘出しの新手順を絵コンテで仕上げることと、

書きかけの天勝(松旭斎天勝)の小説を書こうと思います。

一日中デスクワークになりますが、

これはこれで私の独自の世界で楽しいひと時です。

それではまた明日。