手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

誰が総理大臣になるのか

誰が総理大臣になるのか

 

 今回の自民党の総裁候補に12人もの議員が立候補する可能性があります。これは自民党の歴史始まって以来のことでしょう。表向き派閥が解消されたために、議員を束ねる親分がいなくなり、誰でも出馬できるようになったためです。

 但し、実際には、本気で出馬する人は半分でしょう。この中には、出ると言って、強気の姿勢を見せて、陰で有力候補に自分を売りこんで、最終的に立候補を断念する代わりに、閣僚ポストを手に入れようとする人もいるでしょう。

 あるいは、出るには出ても、それは将来の選挙のための宣伝活動であって、今回は、立候補をしても、上位二人が決選投票になったときに、かねての手はずで、有力候補を支援する。と言う人もあるでしょう。

 政治は権謀術数の世界ですから、表の顔を本気にしてはいけません。どうしたら、少しでも自分が有利に生き残れるのか、力のない議員も、有力議員も、いろいろ知恵を絞って生き残りを考えているのです。

 最終的に立候補者は6~7人になるでしょうが、その中で本気で総理総裁を考えている人は4人くらいではないかと思います。その4人とは、恐らく、石破さん、小泉さん、高市さん、河野さんではないかと思います。小林鷹之さんは今回一番に立候補しましたが、本心は顔見世のごあいさつ程度の気持ちでしょう。

 その中で一番有力なのは、小泉さんでしょう。知名度はありますし、若いし、スタイルもよく、家柄もよく申し分のないところです。然し、自民党の中には、実際総理大臣になって、海外の首脳と渡り合う段になって、対等に話が出来るのかどうか、危ぶむ議員もいます。それでも、「とにかく2年だけやって貰って、政治刷新を謳って、その後に実力ある人に出てもらえばいいのではないか」。と言う考えがあって、岸田さんの政治資金規正法で評価が下がった分を、一度さわやかに洗い流す意味で、小泉さんを推そうとする意見が多かったようです。

 然し、このところそれではうまく行かないと言う議員も出て来ています。なぜかと言えば、ロシアによるウクライナ侵攻が、大きな転換を見せて、ウクライナの反転が始まったこと。そして、パレスチナの紛争がいつまで経っても解決しないことなど、結局、ひとたび紛争が起きれば、言葉での解決が難しい現状を見ると、「よほどに防衛力を強化しないと日本も危ない」。と考える人が増えて来たのです。

 また、ロシアを支援している中国が、依然として台湾進攻を狙っているのを考えると、日本は自力で自国と台湾周辺を守って行かなければならないと、多くの人が気付いたためです。今の自衛隊で本当に国を守れるのか。多くの国民は不安になって来たのです。

 憲法を守って、自衛隊を維持していれば戦争は起こらないと言う考えは通用しないことはみんな知っているのです。それゆえに、高市さんは勿論。小泉さんも、小林さんも、憲法改正を訴えています。石破さんはこの中では最もリベラルな人と見られていますが、実は、かつては防衛大臣まで勤めて、めちゃくちゃ軍事マニアな人です。

 本心は、かなり右寄りな人ですが、ある時期、総理総裁を目指そうとしたときに、憲法改正再軍備を一切口にしなくなりました。そう生きることの方が国民には受けがいいと判断したのでしょう。然し、本心は変わってはいないでしょう。

 河野さんは、原発反対を言っていましたが、それでは総理総裁になれないと知ったのか、原発容認になりました。この5人の中では、昔からリベラルな人ですが、ほんとうのところはどうでしょう。このところブレが見えます。

 

 自民党と言うのは、党の中に、右寄りから左寄りまで揃っていて、常に党内で左右が権力争いを繰り返して来た政党です。それは、本来自由党民主党と言う、二つの大きな保守政党が、昭和30年に保守合同をしたからです。

 日本にアメリカのような保守の二大政党政治が出来ないのは、この時合併したからです。なぜ合併したのかと言うなら、敗戦後、社会主義政党が台頭してきて、保守政治を脅かしていたからです。保守政党同士が争っている隙に社会党あたりに政権を取られてしまう可能性があったため、保守が合同して、基盤を強くしたのです。

 その結果、保守政治は安定しましたが、国民は政治に刺激が薄れてしまい、以降、投票率が下がりっ放しになって行きます。こうして日本の政治は、討論で争うことがなくなり、自民党の中で密室でことが進むようになってしまいます。

 つまり自民党内で政権を争っても、決して自民党を分裂させることさえなければ、永久に政権は自民党のものだからです。今回の選挙でも、右から左までの議員が出そろっていますが、それでも総理が決まれば、みんなで手締めをして、丸く収まるのです。良くも悪くも日本の政治はそうして70年間維持されてきたのです。

 これまでは自民党の政治家は、リベラルな議員が、マスコミにも、国民にも評判が良かったのですが、前述の通り、近年、防衛に関してはっきり答えを出さなければならなくなってきたようです。そこで、保守本道の高市さんが出てくるわけですが、この人は、考え方も、行動も明快で、頭脳もずぬけた人ですが、マスコミに毛嫌いされています。かつての 安倍さんと同じです。

 今回は小泉さん、石破さんに隠れて、三番手、四番手あたりに位置するかなと思われていましたが、自民党内部では大分様子が変わって来ました。改憲、軍備増強に進む可能性はあります。しかも、高市さんはこのメンバーの中では唯一積極財政を支援しています。かなり強力な政治をやりそうです。

 改憲に関しては、小泉さんも、小林さんも行っていますが、小林さんは財務省とのかかわりが強くて、政権を取れば緊縮財政になり、防衛力増強も掛け声だけに終わる可能性があります。

 小泉さんは、右派を取り込みたい一心で会見を言っているのでしょう。リップサービスでしょう。石破さんはこの期に及んでもぬらりくらりと本心をあかしません。河野さんは最もリベラルですが、残念ながらこのところマイナス発言が目立ちます。

 色々周囲の人の話を聞いていると、小泉さんが総理に選ばれる可能性が高いようですが、討論会などで、高市さんが他の立候補者を論破すれば、案外高市さんに支持が集まる可能性があります。

 今のところ高市さんが第一位だと予測するマスコミはありませんが、案外世の中の流れは、保守に向かっているように感じます。この三週間で日本は大きく動くでしょう。

 続く