手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

勝利体験 1

勝利体験 1

 

 一昨日(20日)から始まった韓国でのドジャース戦は、大谷選手の奥さんやら、試合での活躍の話題が満載で始まりました。ところが翌日の朝、大谷選手の盟友、水原一平さんが解雇されたと言う噂がネットに流れました。

 どう考えてもあり得ない話ですから、初めはフェイクニュースだろうと思っていました。然し、時間が経つにつれて情報は確実なものになり、複雑な事情が見えてきました。

 元々一平さんは大のギャンブル好きだったようです。アメリカ育ちの人ですから、多分日頃からポーカーなどをしていたのでしょう。ある日、裏社会のスポーツギャンブルのオーナーと知り合います。

 これはいわば、競馬の飲み屋と同じで、公に認められているスポーツギャンブル(勝利チームを当てる賭け、ほとんどの州で公認されていますが、カリフォルニア州は非公認)を、ギャンブル好きを集めて、裏で簡単に参加できるように、呑み行為(主催者でない者が、投資者を集めて、私設の賭場を作り、チケットを買わずに掛け金を着服して、勝者に配当金を渡す)、をしている組織です。その人と知り合って、ネットや携帯電話を利用して口張りでギャンブルをしていたのでしょう。これは違法行為です。

 私の親父もよく、競馬の呑み屋と付き合っていました。闇で呑み屋に金を支払い(馬券は買ったことにして、互いに口で張っています)、当たれば配当を貰っていました。利用する側は、馬券売り場まで買いに行かずとも、電話一本で、元金なしで競馬が出来るために便利ですから、全く罪の意識なく呑み屋を利用していました。一平さんも同じだったのでしょう。

 ところが、こうした人たちと仲良くなると、元金がなくてもいとも簡単に顔で金を融通してくれます。これが呑み屋の儲けの手口です。ギャンブル好きな利用者の欲に漬け込んで、いくらでも金を貸すのです。ギャンブルは勝つ人よりも負ける人の方がはるかに多いのですから、堂元は必ず儲かります。しかも、客が過熱すればするほど呑み屋は儲かります。やがて客は破綻して行きます。無論、呑み屋はそんなことは承知です。

 それゆえに、社会的に資産のある人、会社経営者や、商店主、あるいは顔の知れている芸人などを顧客にします。繁盛している店の経営者なら負けても代金は支払えますし、払えなくなったら、店を抵当に取ることもできます。呑み屋は人生に成功している人に狙いを定め、あとはゆっくり転落して行くのを待っているのです。

 恐らく一平さんもその一人だったのでしょう。この人は、顔が売れています。背後に大谷選手がいることはみんな承知です。そうなら、呑み屋は彼のギャンブルには無条件に金を貸したでしょう。取れなくなれば、大谷選手の名前を出せばいいからです。

 

 一平さんのギャンブルの負債が急に大きくなって行ったのは、2022年ころのようです。時あたかも、大谷選手が、移籍先と交渉していたさ中のことで、数千億円の金が大谷選手に入ってくる話をしていた頃でしょう。

 恐らく大谷選手のことですから、移籍したなら、一平さんにもそれなりのボーナスを出そうと言う話があったはずです。これで一平さんの頭の中の計算機が壊れ始めたのでしょう。

 恐らく一平さんはいずれ貰えるボーナスで気持ちが大きくなり、一気にギャンブルの掛け金が上がったのです。そして気が付けば、6億7千万円の借金です。

 恐らくこの件が発覚する、数日か数週間前まで一平さんは、まるで鉄火場の中で生活をしているような状況でギャンブルに夢中になっていたのでしょう。然しある日、「もう金は貸せない。いままでの分を支払ってくれ」。と言われたのです。典型的なやくざの手口です。

 言われて一平さんは、その瞬間、事の重大さに気付いたのです。この事を大谷選手に相談したのか、あるいは、大谷選手から預かっている金庫から掴み金をしたのかは知りません。たぶん、大谷選手に素直に相談したのでしょう。

 およそギャンブルをしない大谷選手は、一平さんの気持ちはわかりません。但し、長年の友情から、全額借金の肩代わりをする約束をしたのでしょう。「もう二度とギャンブルをするなよ」。と言ったそうです(この経緯はあとで一平さんが全否定しました。然し、この話は事実でしょう)。

 友人のギャンブルの付け6億7千万円を一括で支払ってやる大谷選手の肝の太さは大したものです。私も仲間が困っている時には気前よく出してやりたいですが、6億円がありません。大谷選手にとっては金など問題ではないくらいに重要な仲間なのです。恐らく一平さんは涙を流して大谷選手に感謝をしたでしょう。

 然し、問題は簡単には収まりません。私設のギャンブルに大谷選手が、自らの名前で振り込みをしたと言うことは、一平さんの堂元が大谷選手だと言うことになってしまい、大谷選手が呑み屋の顧客になってしまいます。友情は友情としても、呑み行為に大谷選手が関与することは、ドジャースに対しても、自身の経歴に対しても、甚大な被害を与えることになります。

 ここでドジャース幹部が動き出し、問題を、大谷と一平の話から、ドジャースと一平の話に切り替えます。そうしなければ、大谷選手は犯罪者になってしまいます。何としてもドジャースは大谷選手を守らなければなりません。そこで、全ての責任は一平さんにあるとして、一平さんを解雇する結果になったのでしょう。

 本来、大谷選手とすれば、自分が金を出すことですべて事実を消してしまい、一平さんにこれまで通りサポートしてもらいたかったのでしょう。だが、それは許されなかったのです。もし、大谷選手が、自分の口座から現金を振り込まずに、一度一平さんに金を渡して、一平さんから振り込ませたなら、大谷選手への被害は及ばなかったと思います。然し、金銭に無頓着で、仲間への思いやりの深い大谷選手の直接的な行為は、むしろ問題を大きくしてしまったのです。

 

 さて、世間の人は「一平さんを、恵まれた地位を手に入れ、大谷選手から絶対の信頼を得ていながら、ギャンブルに手を染めて転落して行くなんて馬鹿だ」。と言います。然し、私は一平さんの気持ちがよくわかるのです。なぜなら、芸能界には、一平さんとよく似た境遇の人がたくさんいるのです。私はそうした人を何人も見ています。明日はその話をしましょう。

続く