手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

中国統一

中国統一

 

 昨日お約束しました、習近平さんの話をします。どうしたものか、ウクライナに比べて、中国の話は読者の関心が薄いようなので、書くのに躊躇します。しかし、日本にとっては中国の動向こそ重要で、場合によっては、中国による台湾進攻が、第三次世界大戦の引き金になるかも知れません。今日はそこのところをお話しします。

 習近平さんは見た目はおとなしそうな人ですが、その実相当な野心家で、実際これまでの行動を見ると、周辺地域の支配と圧政を繰り返しています。例えば、2014年。新疆(しんきょう)ウイグル自治区では、ウイグル人を中国に同化させる政策をとり、百万人もの人を強制収容所に送り、イスラム教を禁止し、中国語を学ばせ、政策に反対する市民を粛正しました。

 新疆地区がイスラム色を薄めるために、新疆に中国人の移住させ、人口比で半分以上の中国人を住まわせました。そして少数民族を常に監視して、徹底的に弾圧してきました。それはいまだに続いています。

 その後が、香港の弾圧です。1997年に香港がイギリスから返還された時に、香港は今後50年、今の制度(自由経済と民主主義)をそのまま維持する、という覚書を結びました。これによって、香港は従来通りの経済活動ができていたのです。

 ところが、2019年に、中国から執政官が送り込まれ、選挙権はもぎ取られました。又、中国政府を批判する新聞社、出版社に弾圧を加え、表現の自由が奪われました。勿論、香港市民はデモを繰り返し、中国に反発しましたが、どうにもなりません。結局一国二制度は反故になり、香港の自由は奪われました。

 その様子を対岸で見ていたのが、台湾です。中国に取り込まれたなら、必ず自由は奪われ、共産主義国になる。同じことが台湾にもきっと起こる。誰の目にも明らかとなったのです。

 

 習さんとしては、どうしても自分の任期中に台湾を中国に取り込んで、台湾の国民党政権をつぶして、中国共産党で統一させたいのです。これは共産党政府の長年の悲願でした。

 今から約100年前(1921年)に中国共産党が結成して以来ずっと、中国国内で、蒋介石率いる国民党と毛沢東率いる共産党との戦いを続けて来て、1945年に日本が敗北し、1946年。共産党が中国統一宣言をしました。その後も中国国内で戦いが続き、1949年に、蒋介石は破れて台湾に逃れます。以来、台湾と中国は対峙したままです。

 中国は結党以来一つの中国を作ることが悲願でした。習さんは、毛沢東が果たし得なかった中国の統一こそ、自分の仕事だと信じて疑いません。そのため、ウイグル自治区の不穏分子を粛清し、そして香港の民主化を封殺し、次々と統一政策を推し進めて行って、最後の仕上げが台湾なのです。

 習さんは結党の時から100年以内に、台湾を奪還したいと考えているのです。それにはあと22年。自身の権力が強大なうちに台湾との統一を果たしたいのです。

 

 然し、中国は本当に台湾と戦争をする気でしょうか。その可能性は十分あります。社会主義国や、共産主義国は、政策の批判を極端に嫌います。僅かな批判でも認めようとはしません。そのことはロシアも中国も同じです。政府批判を中国語で語られ、大陸の国民にネットなどで伝えられるくらい嫌なことはないのです。

 一党独裁の国家は徹底的に国内の批判分子を押さえつけます。政治の批判は決して許さないのです。それは台湾に対しても同じです。中国もロシアも帝政時代のものの考えから何一つ変わってはいないのです。

 

 さて、実際中国が台湾に侵攻して、うまく行くでしょうか、実は簡単ではありません、台湾は地図で見ると柿の種のような小さな島ですが、決して小さくはありません、サイズは九州とほぼ同じです。九州を中国の陸海軍が制圧すると想像するとどれほど大変かが分かるでしょう。

 いざ中国が台湾に攻めて来るとなると、台湾はアメリカ日本に応援を求めるでしょう。然し、ここに大きな問題があります。日本もアメリカも台湾と正式な国交を結んでいないのです。台湾は国として認められていないのです。

 日米は、中国と国交を結ぶ際の取り決めで、台湾は中国の一部であると認めています。もし中国が台湾を攻めたとしてもそれは中国の国内問題なのです。アメリカも日本も国内問題に手出しすることはできないのです。

 無論、アメリカも日本も台湾を支援したいでしょう。そうならどうするか、裏技はあるでしょうか。私は、一時的でも台湾と日本が連邦国家となることを考えるのではないかと思います。日本と台湾は対等合併をして一つの国家になるのです。恐らくアメリカはこのアイディアを強く推して来るでしょう。台湾も自国の維持のためには連邦国家となることをやむなしとするでしょう。

 でも日本にとって、台湾と一つになるメリットがあるでしょうか。実は、この先、中国は、南シナ海や、尖閣島に強力に覇権を唱えて来るでしょう。今でも沖縄は中国の領土だと言っています。言うことは自由ですが、実際、尖閣や沖縄を攻めることがあれば、明らかな侵略行為です。当然防衛のために中国と戦わなければなりません。

 その際、日本が台湾と合併すれば、中国は、安易に沖縄にも台湾にも攻めにくくなります。仮に中国が侵攻して来れば、日米安保が効力を持って、アメリカも参戦することになるのです。

 もし、中国が攻めてくる以前に日台が合併したなら、これは強力な抑止力になります。それだけで中国の台湾進攻は躊躇されるでしょう。が、尖閣を攻めている最中に日台の合併が達成されると、中国は、いきなり、日本とアメリカを敵に回すことになりますので、台湾進攻など夢物語で、顔面蒼白の状態になるでしょう。

 日米台の連合国が、中国と戦うようになれば、それに呼応して新疆の独立運動が再燃するかも知れません。香港も自主独立運動に火が点くでしょう。当然イギリスが裏で支援して、空母や戦艦など駆けつける可能性があります。そうなると、日米台プラス香港、英国の連合国が生まれます。

 対する中国は、負けじと北朝鮮に、韓国に攻め込ませるよう持ち掛けるでしょう。中国は、韓国を餌に、北朝鮮をそそのかします。然し、北朝鮮には戦う力がありません。そこでロシアに支援を求めるでしょうが、ロシアも、ウクライナとの長い戦いで疲弊しています。大した支援にもならないでしょう。

 然し、領土欲の深いロシアは消極的ながら、北朝鮮を支援し、兵を送り、朝鮮半島で戦いを起こす可能性はあります。そうなると、韓国はたちまち劣勢に立たされます。日米台英の連合国に支援を求めます。連合国は、台湾と朝鮮半島の二か所で戦いをすることになります。こうして台湾戦争は、東アジア全域での戦いになり、第三次世界大戦に発展します。

 こんな話は私の空想の世界だと思っているでしょう。でもあと二年すれば確実にアジアの地図は今とは違ったものになっているでしょう。戦いは必ず起こります。だからウクライナ問題も中国も目を離してはいけないのです。

続く