手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

7月21日 ロゼシアター

7月21日 ロゼシアター

 

 7月21日、17時開場、17時30分開演。富士市のマジッククローバーズの発表会と、私とマギー司郎によるコラボのマジックショウが、催されます。場所は富士市にあるロゼシアター(市民会館)です。入場料は A席3500円(売り切れ)一般席3000円(のこり僅か)。お問い合わせ 090-7021-8014(佐野玉枝)

 

 企画は、前半が、マジッククローバーズの有志が15組出演します。更に、私の仲間の若手マジシャンが間に入ります。ざっとご紹介しますと、

 小林拓馬。現在は東京に在住ですが、元は富士市出身で、子供のころからマジック好きで、当日はカードマニュピレーションの冴えた技を見せます。何気なく自然に不思議を演じる所がセンスの良さを感じさせます。

 川上一樹。少女漫画に出て来そうな身長180㎝越えのイケメンマジシャン。シルクを扱った繊細なマジックが好評です。稽古熱心で、いつも新しいアイディアを考えています。どうぞ応援してください。

 早稲田康平。180センチ越えの身長。筑波大学卒。筑波大学で学んで最も役に立ったことは、マジックラブに所属したこと。マジックで人生開花。カードマニュピレーション、ゾンビボールと言った、王道のスライハンドマジックを軽妙に演じます。安定したうまさがあります。

 藤山大成。私の門弟で、昨年独立をしました。度々富士の催しにも出演しています。和と洋の二つの演技を持っています。更に、和とも洋ともつかない、明治初年の和洋折衷の世界のような手順も持っています。これから個性的な演技が生まれて行くのでしょう。歌舞伎の片岡愛之助に似ていて、女性ファンも少なからずいます。どうぞ応援してください。

 

 後半は、藤山新太郎の手妻、そしてマギー司郎のお喋りマジック。

 マギー司郎はみなさんご存知のトークマジシャンですが、もう50年以上もマジック活動をしていて、変わらず人気があります。マジックの内容よりも、人柄が愛されています。

 お客様も、マギー司郎から不思議なマジックを求める人は殆どいません。ただまったりと、世間話のような喋りを聞いて、頭を空っぽにしてぼやっと眺めていたい。と言う、まるで温泉に浸かってじんわり暖まっているような気持ちでマギー司郎を見ていたいようです。考えてみればおかしなマジシャンです。私との付き合いは50年続いています。マジック界で最も長い友人です。

 

 私の演技は、今更申し上げるまでもないことですが日本のマジック、手妻です。子供のころから手妻に係わってもう55年になります。いろいろなことをしてきましたが、手妻が世間に認知されたことは幸いです。

 最近では日本の芸能が見直され、折からの海外の観光客が増加して、手妻の需要も増えて来ました。弟子も増えましたし、良いことが続いています。

 

 私とクローバーズのマジッククラブとのかかわりは、その前身の富岳マジックから考えますと、もう30年にもなります。長らく指導にお伺いして、今もなお月に一回指導をしています。

 指導の内容は、ほとんど個人指導で、一人ひとり直接演技をご指導し、又、少し、アレンジした手順を作って、その人独自の演技を作って行きます。

 初めの内は、不慣れで、ぎこちない演技をしていても、1年2年と続けて行くうちに、マジックは手慣れて行き、演じ方、見せ方も上手くなってゆきます。そして、誰も演じたことのないような自分だけの演技を作ると、とても自信がついて、個性が光り出して行きます。

 なかなかアマチュアでそこまでマジックを極める人は少ないため、地方都市でそうした演技ができるようになると、ボランティアなどで演じていても評判が出て、話題になって行きます。

 今回出演される皆さんは、日ごろ熱心にボランティア活動をされていて、舞台回数も数多くなされています。アマチュアだから、素人だから、こんなものでいい、などと、自分のレベルをはじめから下げて考えていては、人に感動を与えることは出来ません。アマチュアであってもセミプロであっても、しっかり基礎から勉強して、独自の演技を作って行くことで、より良きショウが出来て行きます。今回の出演者はどなたも見ごたえがある演技を致します。

 今回、ようやくロゼシアターで発表会が出来るようになって、みんな張り切っています。どうぞご興味のある方はご覧になって下さい。アマチュアとしてはある種の到達点に達した内容です。と言って、余りに持ち上げすぎるとプレッシャーがかかります。

 余りほめ過ぎると本番で失敗するといけません。アマチュアは上手さを見せるよりも楽しさをお客様に伝えることが大事です。楽しんでマジックが出来て、それをまたお客様がのんびりと楽しんで見てくれたなら、それがアマチュアの最上の演技です。例えていうなら、温泉に浸かってじわっと暖まりながら、景色を眺めているような、そんな演技が出来たら最高でしょう。いや、それだとマギー司郎さんと同じ境地に達したことになります。

 してみるとマギー司郎の演技は、アマチュアの到達点なのでしょうか。そうなら、マギー司郎の演技をもっと見て、芸の奥儀を学ばなければいけないことになります。とにかく、静岡県ではめったに見ることのできないマジックショウです、どうぞお楽しみにお越しください。

続く