手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

ゼレンスキー来たる

ゼレンスキー来たる

 

 一昨日(20日)、ブログで話していたウクライナ問題で、G7が、仲のいいもの同士で話しているだけでは話は進展しない。と書きましたが、そう言っていた矢先に、G7に、戦争当事国の大統領である、ゼレンスキーさんが広島にやって来て、各国首脳と直接話をすることになったのを知って、びっくり仰天でした。

 今回の企画は、当然岸田さんが仕込んだストーリだったと思いますが、恐らくゼレンスキーさんも、このままではNATO各国の強力な支援が望めそうになく、どこかで直接話をしなければどうにもならないと言うジレンマに陥っていたのでしょう。

 更に、国によっては、中立を宣言していながら、むしろロシア寄りの行動を取って、今窮地に立たされているロシアと貿易をしたり、武器を供与するなどして、中立とは名ばかりで、利益を上げている国もあります。

 そんな国には、はっきりと旗色を鮮明にすることで、隠れて金儲けをすることを否定して、ウクライナの足を引っ張る行為を押さえる意味で、リーダーたちに直接合って現状を訴える以外になく、先進7か国プラス、その次のリーダー国を広島に招き、一気に西側の結束を図り、共同でウクライナ支援をするように仕向けたいとゼレンスキーさんは望んだのではないかと思います。

 話は前後しますが、去る3月21日に、ポーランドを訪問していた岸田首相が、突然列車に乗って、ウクライナに入り、ゼレンスキーさんに会いました。なぜそんな行動に出たのかは当時は謎でしたが、恐らくゼレンスキーさんが岸田首相に会いたがっていたのでしょう。

 会いたいと言う理由は、今年のサミット議長国である日本に頼んで、7か国のリーダーと、更には、もう少し拡大したリーダーたちを集めて積極的な支援を得たかったのです。岸田首相はそれを確実にまとめ上げたのです。

 余りにうまく事が運び、恐らくサミット史上で、最も重要で、最も効果のあったサミットになったと言えるでしょう。

 今回の、岸田さんの手腕に世界中が驚くとともに、世界から見て、日本が、大きくリーダーシップをとったことに喝采を送られているのではないかと思います。

  特にインドは、中国と同様に、ロシアとの関係は悪くはありません。むしろ、ウクライナ侵攻を利用して、孤立しているロシアに接近して、石油を安く買い求め、インドの製品を輸出して、かなり好条件で貿易をしています。

 然し、この先ロシアを利する行為を続けて行ったなら、世界中から、インドへの風当たりは強くなります。ゼレンスキーさんの苦境に対して、自国の利益だけで行動することには世界の流れから外れてしまいます。それを一同を前にして伝えたことは大きな成果だったと思います。

 

 さてサミットの議題は、ウクライナ一色になったようですが、肝心な中国の問題が遠のいてしまいました。その中国ですが、サミットと同じ日程で、中央アジアのロシアの衛星国を集めて、中国主宰のサミットを開催しました。ロシアの衛星国は、人口も少なく、一国で生きて行くことは難しい国々です。

 それが、かつてはロシアの支援によって成り立っていたのですが、このところ、支援も滞りがちです。そこで新たに中国が支援の手を差し伸べて、中央アジアに徐々に覇を唱えだしたのです。

 内心穏やかでないのはロシアです。ウクライナに戦費がかかって、衛星国を厚く支援することのできないロシアにとっては、中国の行為は国を分断する結果になりかねません。と言って、露骨に批判すれば、中国から輸入される武器や、食料や工業製品などが止まってしまいます。今、中国と争うことはまずい結果になります。

 日本ではサミットによって、西側各国の結束が生まれ、同時に、中国がロシアの足元を見て、中央アジアをかすめ取ろうとしています。弱り目に祟り目とはこのことで、ロシアは世界中から疎外され、国力を弱めています。

 そうなると、核兵器を使用してでもウクライナから勝利を勝ち取らなければならないと言う考えに向かいそうですが、折からのサミットが、広島開催で、原子爆弾使用をやめようと言う姿勢が世界の大勢を占めるに至っています。世界の枠からはみ出して、原子爆弾を使用すれば、もうロシアは世界から信用されなくなり、破滅の道を進むことになります。

 それはプーチンさん一人の失脚ではなく、ロシアの解体につながります。衛星国は次々に離れて行き、その衛星国をインド、中国が、餌の如く食いつくして、吸収して行きます。

 一年半前に誰が今のウクライナを、ロシアを想像したでしょう。特に、ゼレンスキーさんがここまで大きな政治家だったとは誰も気づかなかったことです。今世界で起こっていることを私らはテレビのニュースや、ネットで見ているだけですが、とんでもなく大きな世界の変革を目の当たりにして、この先どうなるかもわからない歴史の中に連れて行かれようとしています。

 先ず、5月21日までは先進国の結束が大きく成功しています。そこから先にロシアがどう出るのか、中国がどうなって行くのか、北朝鮮はどうするのか、分からないことばかりです。無力の我々はひと時の小康を喜ぶ以外ないのでしょう。

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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