目黒川の桜
昨日（14日）は、中目黒にある床屋さんに行ってきました。もう40年以上通っている店です。マスターによると、一週間前の目黒川の花見の混雑はすさまじいものだったそうです。川の両側の細い道に人が溢れ、交差する道には警官が立って、交通整理をするほどだったそうです。
両側のレストランはどこも満席。日頃およそお客様のいない店でも、この日ばかりは満員御礼だったそうです。確かに目黒川沿いん桜並木は両側から川に向かってしだれかかるように桜が咲いてとても綺麗です。
きれいではありますが、もう少し川をきれいにしないと、とても観光名所とは言えません。川と言うよりもどぶに近いものです。護岸のコンクリートは石に変えられませんか。フェンスはアルミでなく、鋳物のアラベスクにできませんか。品よく作るのはいくらでもできるはずです。そうして綺麗にすれば、四季に応じて人が訪ねて来るでしょう。今の目黒川の作りは余りにお粗末です。
あそこまで観光客が集まるなら、もっと徹底して、川遊びも出来るように改造したらいいと思います。都内で川にボートを浮かべて楽しめる所なんてありません。もっと川に降りて行って、いろいろ遊びが出来るように工夫したら、もっともっと人が集まるでしょう。今の目黒川では私はいくら桜が奇麗でも、遊びに行きたいとは思いません。川も桜も素晴らしい景色になったなら、是非行ってみたいと思います。
私が子供のころは東京にも多少きれいな川がいくつもあったように思います。昭和30年代のことです。その頃私は大田区の池上に住んでいました。そこには呑川と言う川があり、川には小魚が泳いでいました。川の柵はまだ木製だったと思います。その柵を降りると、わずかばかりの洲があり、そこに立って、網で小魚を掬いました。魚は面白いように取れました。
それも幼稚園のころまでだったと思います。小学校に入ったぐらいで急に川の水質が悪くなり、どぶ臭いにおいがするようになりました。そうなると、川に降りて遊びをする子供もいなくなりました。
この頃から都内の小川がどんどん暗渠にかわり、道路が増えて行きましたが、川が消えて行きました。何を隠そう、高円寺の私の家の前の道も、元は小川だったそうです。どういうふうに川と道ができていたかは知りませんが、半分は道で、半分は川だったのでしょう。川と言ってもごく浅いものだったようです。
もしそうだとすると、私の家の前は自動車は入れなかったでしょう。自動車が出入りできるのは有り難いとは思いますが、家の前に小川が流れていたと言うのはいい雰囲気です。200mほど北に。自衛隊の官舎があり、そこの庭に池があったそうです。そこの池が湧水が出て、水はそのまま私の家の前まで流れ、さらに南下して桃園川に流れて行ったようです。もしそうだったとすると、水は相当綺麗だったはずです。
その水を暗渠に流してしまうのは勿体ない話です。その水を生かして周辺に植え込みや、花を植えたなら、素晴らしい景観になるでしょう。みすみす天が与えてくれた恩恵を無碍にしてしまうのは勿体ないと思います。
その自衛隊の官舎も今は無くなり、新たに消防署が建っています。池の湧き水はどうなったのでしょう。そのまま暗渠にしてしまったのでしょうか。これも勿体ない話です。湧いて出てきた水なら大切にして川にして流してやればいいのです。そのために道幅が少し削られるなら致し方ないことです。
もっともその先の桃園川ですら今は暗渠になっています。上は遊歩道になって、散歩道になっていますが、遊歩道がいいのでしょうか。川本来の姿に戻したほうがいいのではないかと思いますがどうでしょう。
池上の呑川は水源はどこだったのでしょうか。洗足池でしょうか。洗足池だとしたら、池上まで流れてそこから蒲田に行き、そして東京湾に流れますので、僅か10㎞か15㎞くらいの短い川です。東京に住んでいても、呑川を知っている人はわずかでしょう。目黒川ほどには桜も並んでいません。何とも地味な川です。
今から62年前、この吞川の傍にある池上小学校の校門で、私は入学の際に写真を撮りました。その写真が今も残っています。その日は桜が満開でした。私の家は、呑川の縁の道を伝って、第二京浜国道近くまで行く途中にありました。ところどころに桜が咲いていたように思います。毎日呑川を見ながら小学校に通っていました。
その川は今はどうなったでしょう。少しは綺麗になったでしょうか。東京に住んでいても池上に行くことはありません。然し、目黒川を見ていて少し気になりました。川のサイズも同じくらいです。綺麗になっていたならいいなぁ。一度池上を散歩してみたいと思いました。
続く
