手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

原稿消滅

原稿消滅

 

 今朝5時から原稿を書き初めました。ウクライナの侵攻について書いていましたが、いろいろ調べなくてはならず、6時40分になっても原稿が仕上がりませんでした。

 仕方なくパソコンを持参で新幹線に乗り、車内で原稿を書き上げました。それを皆さんに発信しようとしたら、なぜか原稿が消えてしまいました。急いでいて、元の原稿も残していませんでした。「あっ」、と思いましたがすでに遅く、そのまま指導に向かい、指導を終え、ホテルに入ったのが今です。もう18時になろうとしています。

 ブログを開けると、私の読者が恐らく何度も訪ねて来たのでしょう。何も書かれていないブログに失望しつつ、300人もの催促が来ていました。

 すみません、すべて私のミスです。

 

 私の書きたかったことをかいつまんでお話しします。ロシアがウクライナを侵攻しました。首都キエフの占領もまもなくでしょう。世界中が、プーチンさんを名指しで責め立てています。しかしいくら悪く言われてもプーチンさんは堪えません。苦情を言われることは読み込み済みなのですから。

 ロシアはこの200年間、ナポレオンから、プロシアによる第一大戦から、ヒトラーによる第二次大戦まで、何度も西側諸国から侵略されてきました。その都度何千万人と言う死者を出したのです。多くの人はロシアを侵略者だと考えているようですが、ロシアにすれば、侵略はすべて西側諸国から来ています。

 このためロシア人は非常に西側に対して被害者意識を強く持っています。西側だけでなく、世界中の人がロシアを狙っているという被害者意識で固まっています。国防と言う点でロシア人は極めて小心です。

 そのため、ロシア人は、直接西側の国々と国境を接することを嫌います。いつ攻めて来るやもしれないからです。第二次世界大戦が終わったときに、もう二度と西側諸国から攻め込まれないように、ワルシャワ条約と言うものを構築し、東ドイツポーランドチェコスロバキアユーゴスラビアルーマニア、と言った国々をロシアの衛星国にしました。衛星国とは、ロシアの盟友、と言うと言えば聞こえはいいのですが、自国の防御のためにロシアの言いなりになる国々のことです。

 世界地図を見たらわかりますが、ロシアから西の衛星国を土嚢のように積み上げて、西側諸国の攻撃から守ろうとしたのです。それぞれの衛星国を西側と闘わせるのです。衛星国がどうなろうと知ったことではありません。ロシアが守られればそれでいいのです。

 一つ一つ土嚢をつぶして行くうちには、西側の国も疲弊して諦める可能性があります。そうなることを望んで衛星国を盾に使うことを考えたのです。

 

 ところが、ベルリンの壁が崩壊して以後、社会主義の国が次々に崩壊し、西側のEUに加盟するようになりました。土嚢と思っていた衛星国が裏切って来たのです。どんどん衛星国を失い、今や残っているのは、ベラルーシウクライナジョージアと言った国のみです。

 元々ロシアに盟友などと言える国はほとんどないのです。戦車やミサイルで脅されて衛星国になったのですから、ロシアの国力が弱まれば自然にロシアから離れて行きます。

 然し、プーチンさんにしろロシアにしろ、この状況は由々しき大事です。このままウクライナまで失えば、ロシア国内で、社会主義に疑問を持つ国民が増えて行くでしょう。そうなると政府の転覆もあり得るのです。

 

 ロシア人の多くは、社会主義は、資本主義よりも一歩も二歩も進んだ体制だと考えています。アメリカやヨーロッパの国々と比較すれば、何となく西側の方が住みやすそうだとは思いますが、それも、体制が悪いから住みにくいのではなく、国内に賄賂や、不平等がはびこっているから問題があるのだと思っているようです。つまり運営方法がフェアではないから今の社会主義は上手く行ってないんだと思っています。体制そのものは間違ってはいないと彼らは信じています。

 然し、そうであっても、衛星国がどんどんいなくなってしまっては、いよいよ自国のシステムに疑問が生じて来ます。

 ロシアは正しい、ロシアはこの先も発展をする、そう国民に宣言するためには、ロシアは衛星国を失うことは出来ないのです。そのせめぎあいの中で、ウクライナは最後の防波堤なのです。

 プーチンさんが苦悩しているのと同様に、中国の習近平さんも、北朝鮮将軍様も、同様に立場が怪しくなって来ています。そこで、ここで一発大騒ぎをして、国内をかく乱して、敵を外に求めて戦えば、まだ自分たちの生きる道もあるかも知れない。と考え、中国は台湾を狙っています。

 気を付けて下さい、ロシアにとってのウクライナは、中国にとっての台湾です。台湾に戦火が及べば、沖縄の基地からミサ色が飛びます。そうなれば、沖縄は戦渦に巻き込まれます。

ウクライナは他人事ではないのです。

続く