手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

オリンピックと猿ヶ京

オリンピックと猿ヶ京

 

 おかしなタイトルですが、その関連をお話しします。

 昨夕(23日)猿ヶ京の合宿から戻りました。これがために一日ブログを休んでしまいました。毎日私のブログを楽しみにされている皆様には申し訳ありません。書きたいことはいろいろありますが、時間がありませんでした。

 今日(24日)はこれから富士の指導に出かけます。早朝、いつものように早く起きましたのでブログを書いています。

 

 一昨日、昨日(22日、23日)と泊まり込みで猿ヶ京に行ってきました。毎年何回も合宿を繰り返しています。今年は一日だけ参加するビジターが多く、初日は18人の盛況でした。

 さて高円寺を毎年9時に出ていたものを、今回は連休の渋滞を予測して、8時30分に出ました。ところが関越自動車道に乗った直後から渋滞で、12時到着予定が、13時30分になりました。

 これが後々のスケジュールの禍にならなければよいが、と思いつつ、急ぎ掃除をして、二時に稽古開始。

 

 9月にマジックマイスターを開催しますので、そこに出演する人はその演技をチェックしました。マイスター自体は、出演者が増えて、20本近くになっています。コロナ禍にありながら、コロナ以前よりも盛況です。

 

 今回合宿の参加者は子供さんやお孫さんを連れての参加が多く、今後を考えれば、マジックをしない参加者が増えることもいいことかと思います。

 別に何をするわけでもないのですが、多少子供さんたちの興味に応えようと、家族を連れての利根川の散歩を、二時以降に挟みました。日中は暑かったのが難点でしたが、散歩から戻り、3時から稽古拝見です。

 今回はマイスターの参加者がほとんどですので、そのための手順稽古です。マイスターの参加者は大学生や、若手マジシャンが増えて、賑やかなメンバーになりました。その稽古を見る限り、演技内容はまだ未消化な人もかなりあります。あと一月半で不自然でないくらいの作品に仕上げなくてはいけません。参加者一人一人が内容もレベルも違うため、指導は簡単には行きません。実際この日は稽古時間がかなり押されていますので、急ぎ演技を拝見して、いくつかのアドバイスをするだけでした。

 

 稽古は6時に終え、皆さん温泉に行きました。私は少し早く温泉を切り上げて、夜の食事の準備をしました、今晩のメインディッシュは、アユと鳥のもも肉の炭火焼きです。

 他に餃子や焼売も作りました。仕上げに煮込みうどんを用意しましたが、うどんを求める人がいません。アユと鳥の炭火焼きが相当に満足だったようです。

 例によって夜遅くまでマジックの話をしながら夜は更けて行きました。

 

 翌日は3本リングの受講生が3名、お椀と玉、真田紐、袖卵、

朝食が8時、昼食が11時50分、いろいろと時間制限のある中、皆さんの協力で食事も稽古もうまく行きました。

 食後、午後2時まで稽古をして、3時に出立。6時少し前に事務所に到着。いつもの活動ですが、皆様満足してくれました。

 

 さて、家で食事をしていると、オリンピックの開会式が始まりました。すったもんだの騒動の末、一体どうなったのかと心配ました。内容は制作者の苦労がありありと見えましたが、素晴らしい開会式になりました。

 入場行進局は一体どうするかと思っていると、スーパーマリオなどの、ファミコンソフトのテーマ曲をうまくつなぎ合わせて音楽を作っていました。それなら世界中の皆さんが知っている曲です。しかも日本を代表する文化です。いいアイディアだと思います。

 これを、わずか数日でそっくり作り替えると言うのは、徹夜に次ぐ徹夜の突貫作業だったことでしょう。楽曲の権利を著作者や、企業と交渉するだけでもとんでもない書類の数が必要です。それを数日の間で果たしたのですから立派です。

 私は、テレビで見ていて、制作者の意図が強く感じられて、大感動しました。聖火ランナーも、一人一人意味付をして、日本がなぜオリンピックを誘致したかったのか、そしてどうやって困難を克服してきたのかを語っていました。ここはとても大切な部分です。

 オリンピックなんてやる必要はないと言っている人をこれまで数多く見ましたが、彼らは肝心なことを忘れています。どんな災害があっても助け合い、互いが支えあってきた日本人をもう一度見直す意味でオリンピックはとても大切な企画だったのです。聖火ランナーに、被災地域の小学生や中学生を出したこともいい企画でした。被災地域のに人たちに元気になってもらいたいと言うのが、オリンピックの目的だったのですから、

 長嶋さんや王さんが聖火ランナーに出て来たのも素晴らしい演出でした。また、最終ランナーに大坂なおみさんを持ってきたことも、今の日本を象徴する大きな意味を持っています。

 50数年前の東京オリンピックとはずいぶん様変わりです。前回にはなかった様々な問題を抱えていることも事実です。それらを素直に伝えてみんなで話し合うにはいい機会です。

 世界各国からやってきた選手団は、コロナの影響で人の数は少なったですが、オリンピック以外ではまず見ることのない国旗を眺めながら相手国を想像することは楽しいものです。

 様々な企画はどれも熱演で十分満足しました。オリンピックを貶めていた人たちも、もう一度原点に立ち返って、オリンピックの祭典をみんなで楽しみましょう。

 

 何にしても22日23日と猿ヶ京合宿が出来たのも、オリンピック開催のために祝日が出来たお陰です。長らくコロナによって閉じ込められていた重苦しい空気が一遍に発散されたように見えます。この先は一時的に感染者を増やす可能性はありますが、その後ワクチンが普及して、コロナは収束して行くでしょう。

続く