手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

マジックマイスター

マジックマイスター

 

 マイスターとは名人と言う意味ですが、マジックショウのタイトルとしては言い過ぎかもしれません。ここに出演する人たちは、殆どアマチュアさんなのですから。

 

 今から20年前、私のところに習いに来ていた生徒さんのために、発表の場を持とうと考え、マジックマイスターと名付けて、ショウを立ち上げました。

 初めは吉祥寺に合ったライブハウス、ビーポイントで数回開催しました。60人くらいで満杯になるところで、お客様とも近く、舞台に慣れない人にはとても緊張する場所でした。

 その後、三鷹の芸能劇場、か、座・高円寺で開催するようになり、今年は座・高円寺で致します。

 一時は出演者が30名もいて、その時は、2日間開催していました。全員が私の生徒さんではありませんでしたが、その中に、大学のマジッククラブを卒業してアマチュアで活動をしているマジシャンに出てもらったり、プロのゲスト出演を依頼したりと、毎回多彩なメンバーを組んで、お届けしていました。

 この会を開催しようとした目的は、なるべく色々なマジシャンに出演してもらいたいと考えて、あちこちのマジック愛好家にお声をかけたのです。と言うのも、社会人のマジッククラブの発表会は社会人ばかりが出演しますし、学生の発表会は学生ばかりです。プロもなかなかアマチュアと一緒にショウをすることはそう多くはありません。そうした中、みんなが集まってマジックショウをすれば味わいに違いが出て面白いのではないかと考え、企画したのです。お陰で席が売り切れの状態になることもしばしばでした。

 

 さて今年は、9月4日16時から、座・高円寺で開催いたします。出演者の中にも毎回楽しみで出演される方も多く、出演者の皆さんには、毎回マジックマイスターの賞状をお出ししています。もうそれを20枚集めた人もいます。賞状があったからと言って何か特典があるわけではありませんが、喜んでくださる人がたくさんいらっしゃいます。

 

 実は、今年は、コロナ災害があって参加を見合わせる方が何人かいらっしゃいました。20年も続けて来ると、知らず知らずに参加者も高齢化してきました。

 もうすでにワクチン接種が進んでいますので、高齢者の方々に感染の可能性はないのですが、まだ、コロナに過剰反応をして、舞台出演をしない人が少なからずいらっしゃいます。

 大丈夫です。心配はいりません。家に閉じこもってばかりでは年を取るばかりです。外に出て、マジックを演じて、周囲を幸せにしてください。

 

 と、言うわけで、参加者が少ない分、今回は、若手を投入しました。理科大から、高木優希さん、谷水開さん、早稲田大学から柳澤錦さん、の三人に出演してもらいます。まだ舞台に不慣れな部分はありますが、それなりに意気込んでいます。

 さらに、毎回人形町玉ひでに出演していただいている、戸崎卓也さん、ザッキーさん、早稲田康平さん、せとなさんの4名に応援を頼み、若手合計7名を加えました。

 まるで学生や、学生OBの発表会のような様相ですが、従来の参加者よりもかなり若返ったことは間違いありません。年齢も技術も多彩で、賑やかなメンバーになるでしょう。

 

 10日(日)に高木優希さんが訪ねて来て、演技の途中経過を見ました。四つ玉とシルクの手順です。いろいろ工夫を詰め込んでいて、考えが自分の技量を追い越してしまったような演技でした。すべて上手く行ったら、いい演技になるであろうことは分かります。

 あとは音楽と上手くコラボして、舞台設定は、ナイトクラブのようにピンで絞って、小さめなステージをイメージしたら、いい雰囲気の舞台になるでしょう。

 いずれにしましても、今月、22日23日の、猿ヶ京の合宿で、集中稽古をして、手順をまとめて行きます。

 群馬の猿ヶ京の稽古場も、春には行けませんでしたので、今年は今回が初めての合宿になります。何と7か月ぶりの猿ヶ京です。猿ヶ京に広い舞台がありながら、全く生かされないのは勿体ない話です。

 猿ヶ京は、軽井沢とほぼ同緯度の土地で、日中は東京並みに暑いのですが、3時を過ぎると、山で日が陰り、急に冷えてきます。夜などは掛布団をしないと風邪をひくほど冷えてきます。無論エアコンなどいりません。

 近くに町営温泉があり、サウナや露天風呂など、素晴らしい設備が揃っています。利根川の源流を散歩するのは毎回気持ちのいいものです。稽古を済ませ、温泉に入り、みんなで食事をします。食事の後もマジックは続きますが、遅くまでいろいろ話をするのが楽しみです。春合宿が出来なかったため、秋にはもう一度合宿をする予定です。ご興味のある方はご一報ください。

 

 私の方は、10月25日にリサイタルがあるため、いろいろと稽古をしています。今現在、峰の桜の小道具を制作中です。私が花咲か爺さんになって、次々に桜の桜を咲かせて行くと言う手妻です。上手く構想の通りにまとまるように現在奮闘しています。

続く