手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

生ったり生ったり

生(な)ったり 生ったり

 

 今日(17日)は、人形町玉ひでで手妻の公演を致します。毎月一回、第三土曜日に公演して、13か月が経ちました。ようやく一年、まだまだ道半ばです。私の活動はどれも長いのが特徴です。

 どんな活動も、いきなり成果を出そうとしてもいい結果は出ません。長く続けて行くうちに思わぬところから評価を受け、人に支持されます。

 突然テレビ出演を頼まれたり。世界大会のゲストに招かれたり、文化庁から賞を頂いたり、どれも狙ってしたことではなく、活動に対して、道中で手に入れた成果です。

 私のリサイタルは、24歳から始めて、今まで42年続いています。今年の10月24日(月)座・高円寺で久々公演します。

 アマチュアを主体とする、マジックマイスターは9月4日(土)座・高円寺で開催します。この催しは20年続いています。

 実力あるプロマジシャンと、若手マジシャンとの交流、ヤングマジシャンズセッションも、来年1月8日(土)9日(日)二日間、座・高円寺で開催します。この活動も5年続いています。

 大阪セッションは11月26日(金)道頓堀ZAZAで致します。これも4年続いています。

 福井の天一祭は11月27日に開催します。これも9年続いています。

 

 会の開催は集客に苦労しますが、苦労は覚悟でやらなければいけません。苦しみ続けているうちに、徐々にお客様がついてきて、そのうちお客様から、毎年の開催を楽しみだと言ってもらえるようになります。

 こうした活動を続けて行くうちに、全国でマジックショウが普通に開催できるようになれば、マジシャンは今以上に舞台の場が広がって行くでしょう。

 そうなれば、イベントの依頼が来るか来ないか、毎月毎月スケジュール表を眺めながら不安な生活をしなくても、自主公演だけで生きて行けるようになります。

 芸能人の活動はとかく受け身です。仕事依頼の電話がかかってくることをひたすら待つ人生です。私の親父がそうでした。

 然し、舞台出演には偏りがあり、毎月毎月出演チャンスが豊富にあるわけではありません。私の親父も、忙しいときは得意満面の顔をしていましたが、仕事がないときはしょげて、家で小さくなって本を読んでいました。あまりに暇だと、小銭を持ち出してはパチンコをしていました。

 そんな親父の姿を見て、私は、仕事のないことを嘆いていてもどうにもならない。ないときに慌てても誰も助けてはくれない。先ず、自分でなんとかしなければ、周囲の協力も得られないだろうに、と思っていました。

 すなわち、私が自主公演を熱心にするのは、親父の生き方を見た上での私の答えなのです。

 

 私自身のリサイタルを言うなら、これまで50回以上公演して来ました。公演のたびに新しい作品を出してきました。随分と野心的なショウも作ってきました、然し作品はリサイタルのための一回こっきりの物ではありません。

 そこで考案した作品の数々は実際に今の舞台に生かされています。リサイタルがなかったなら、これほど多くの作品を作ろうと言う気にはならなかったでしょう。

 世間のマジシャンの言う、営業手順だけを演じていては、レパートリーは増えません。毎回違うお客様を相手にしていれば、新作などいらないのです。

 パーティーやイベントばかりしていると作品は出来ず、ハンドリングは進歩せず、何より自身の心の中を見ることはなく、マジックが少しも前進しないのです。

 プロは自ら作った手順でお金を稼いでみせるのがプロなのですが、注意しなければならないことは、稼ぐことに慣れると、創作を考えなくなります。

 創作活動は、純粋に自身の想いの中にある無形の物を探し出して、形にして行くことです。まるで遺跡の発掘作業のようなもので、本当にそこにあるのかどうかも分からないのにひたすら心の中を掘り続ける作業です。活動のほとんどは手間仕事で、およそ収入とは無縁の作業です。

 幾つになっても、ゼロから物事を考え、物を作りながらも、「それが本当にしたいことなのか」を自身に問うています。「やりたい、やりたくて仕方がない」。という答えが返ってくれば、時間と費用をかけて創作します。

 作って行って、よい作品になりそうだと判断できたなら。自身の手作りの稚拙な小道具を、職人のところに持って行って、木工や、金属で作ってもらいます。

 同時に衣装屋さんに相談して衣装を作ります。三味線の師匠を訪ねて作曲してもらい、舞踊の師匠を尋ねて振り付けを依頼します。そうして全部できたなら、道具から衣装から、演奏家から招いて、実際の演技をします。

 ここでも常に自身に問いかけます。「本当にこれでいいのか、これで満足か」と、いい加減な妥協をすることなく、これが本当に心の中から演じたかった演技なのか。何度も問いかけながら稽古をします。

 わずか3分、5分の演技でも、その作品は、一つ一つ自身の考えが蓄積されて作られていった私の財産です。私がこの世に存在していなければ影も形もなかった作品です。

 

 そうして出来上がった作品を一作、或いは二作とリサイタルで発表して来たのです。植瓜術、蝶、水芸、お椀と玉、12本リング、金輪の曲、卵の袋、紙卵、真田紐、ギヤマン蒸籠、傘手順、どれもこれも数か月、数年をかけて作った作品ばかりです。

 中には発表してもあまり受けの良くなかったものもあります。いいと思ってしたことでも何もかも名作にはなり得ないのです。それでも私自身は深い愛着があります。

 

 さて今日は、玉ひでで、植瓜術を演じます。たびたび演じていますので、早々心配なものではありませんが、演技自体が15分かかります。全編せりふ劇です。最近物忘れをするようになって、セリフが止まることがあります。

 昨日稽古をしました。稽古をしている分には心配ありませんが、いい調子でテンポよく進行させないと、終わったあとで不快感が残ります。自身のセリフが突然止まらないように、何度もセリフをつぶやいています。「生ったり生ったり」。さて上手く瓜が生るかどうか。

続く

 

コロナの正念場

コロナの正念場

 

 都内のコロナ感染者が一日1300人を超えるようになりました。結局、緊急事態宣言が役に立っていないのです。それは当然なことで、いつまでも緊急事態を続けていては、人々の生活が成り立たなくなるからです。

 

 多くの国民はもう分かっています。毎日発表される感染者の数は、実はそう大した数ではなく、コロナは、元々体力の弱い老人か、重い病気を持った人が感染した場合は危険な状態になりますが、一般の場合はほとんど完治してしまうと言うことを。すなわちそれは、風邪や、肺炎と同じことであり、衛生観念を持って、普通に生活していれば感染しないのです。

 そうなら、緊急事態宣言で人の流れを抑えることには意味はなく、むしろ緊急事態を繰り返していると、生活や経済が停滞して、生活苦が押し寄せてくることの方が心配なのです。

 ところが、政府や、マスコミは、コロナを過大にとらえて、飲食店に行くな、観光に行くな、と規制ばかりを強要するものですから、すっかり嫌気がさしてしまったのです。

 

 特にこれまで、政府や、医師のウソがばれてしまい、政府も医師もすっかり信用を落としてしまいました。

 連日コロナの恐ろしさをテレビで訴えていた医師会会長が、自身が推す自民党の政治家のパーティーを主催したり、宴会に連日のように出席していたり。

 政府は政府で、飲食店の営業を制限しておきながら、オリンピックの競技場でビールを販売しようとしたり。これはネットで矛盾を突かれ慌てて撤回しましたが、後の祭りです。

 つまり医学的に飲食がいけないのではなくて、政府がいいと言えばいいんだと言うことです。本当は人の集まりの中でビールを飲んでも問題ないのです。そうなら飲食店に規制も意味はないはずです。

 ところが西村大臣が言った、「金融機関と協力をして、時間外にアルコールを提供する飲食店は融資をしないようにする。国税庁と図って、営業差し止めにする」。という発言です。

 恐らく国立大学を出て、省庁内部しか見ていないような、世間を知らない役人の作文でしょう。役人は国の力を使って、国民を恐喝します。然し、そうした文書が会議に出たなら、それをたしなめるのが政治家の役目でしょう。

 日々選挙民を前に、酸いも甘いも噛み分けて、時に泥水を呑んで耐えてきた政治家なら、国民を恐喝したらどんなしっぺい返しが来るかは承知のはずです。

 それを何をとち狂ったのか、役人の作文をそのまま読み上げて、国民を締め上げることで感染者が減らそうとして、いっぺんに反発を受けました。ネットを炎上させて、その挙句撤回謝罪して、関係者に回した文書を慌てて回収するドタバタぶり、

 こんなことで国民は納得しますか。結果、政治も、医師も、緊急事態宣言も、信用しなくなってしまったのです。国民がだらしないからこうなったのではありません。政治家、医師がだらしがない結果です。

 

 コロナの収束方法はただ一つです。一刻も早く国民全員にワクチン接種をすることです。二度のワクチン接種をした人には、バッチや証明書を渡すなどして、バッチのある人はマスクをしなくてよいと決めたらいいのです。

 そうすれば、うっとおしいマスクを外したいがために、みんなワクチンを打とうと保健所や病院に押し掛けます。たちまちのうちにワクチン接種は進むでしょう。

 当然、ワクチン接種を済ませた人なら、飲食店でアルコールを飲むことも、遅くまで宴会をすることも、観光旅行に出かけることもOKです。国民みんながどんどん旅行などに出かけたら沈滞している経済に光が差すでしょう。

 

 今は何が何でもオリンピックを成功させなければならないと言う思いで政府は必死になっているのでしょうが、まず緊急事態宣言を緩和して、生活の安定を図ることが第一、そしてワクチンを少しも早く普及させることが大切です。

 緊急事態宣言はあっても守る人はなく、百害あって一利なしです。今以上の締め付けをするのではなく、一度緊急事態を外すことです。そのためには感染者数の限界数値を作って知らせることです。

 多くの人は、このまま際限なく感染者が増えると考えているかもしれません。しかしそう簡単に感染者は増えません。インド型、デルタ型などと言う新型コロナが広がっているとは言いますが、元々コロナ菌は感染しにくい菌ですし、若い人は感染しても重症化しませんし、死者もほとんど出ていません。

 

 私は、この一年半、コロナがどこで感染するのか色々考えてみました。その答えは飲食店やホテルではないと思います。

 一つは病院ではないかと思います。病院は元々体の弱っている人が集まる場所ですし、コロナ患者がそこに紛れ込めばたちまち何人かに感染します。そしてひとたび感染すれば、死亡の確立も増えます。然しなぜかマスコミや医師の発表で病院を危険視する意見は出ません。

 次に風俗店ではないかと思います。通常のレストランや、居酒屋での感染はごく限られたものだと思います。直接体が接するような場所でない限りそう簡単に感染は増えないだろうと思います。ここも不思議なことですが、テレビで話題にすることはありません。

 次に通勤電車です。「電車内で物を食べたり飲んだりするわけではないから、感染はしない」。と言う医師がいましたが、実際の山手線や、中央線の朝夕の混雑は、人と人の隙間が5㎝もないのです。例えマスクをしていても、吐息が洩れて、水蒸気となって周囲の人に流れます。これで感染しないわけはないのです。ただしこのことを言うと首都圏の通勤はストップします。それゆえか通勤電車に関して、マスコミも医師も発言をしません。

 みんな都合の悪いことは語らず。コロナの責任を弱者に擦り付けます。お陰で飲食店はいつまでたっても泥沼状態から這い上がれないのです。どうでしょう、飲食店が集まって、居酒屋党と言う政党を立てて、国政に議員を送り込みませんか、我々も芸人党と言う政党を立てて議員を送ります。飲食店も芸人も、いつまでも風下にいて、押さえつけられてばかりいても叩かれるばかりです。ここらで我々も力を見せようではありませんか。

 とは言っても芸人党は聞くだに信用がなさそうで、弱そうです。童話に、猫にやられているばかりのネズミたちが集まって、猫に対処する方法はないかと議論します。その中で、「猫に鈴を付けたら、近付いて来たらすぐにわかる」。と言うアイデアを出すネズミが出て、みんながそれがいい。と言って賛同します。そこで老齢なネズミが一言、「ところで誰がその鈴を猫に付けに行くんだ」。と言うと、みんな黙ってしまいましたとさ。芸人党はネズミよりも弱い。おあとがよろしいようで。チャンチャン。

続く 

矛と盾

矛と盾

 

 矛盾(むじゅん)と言う言葉は矛(ほこ)と盾(たて)という二つの言葉からなっています。矛とは、太古の時代の真っ直ぐに伸びた、両刃の刀です。盾とは、手で持つ、身を守るための板です。板には、青銅の枠などを施して、少し強度を足してあるものもあります。

 昔、武器を商う商人が、大道で矛と盾を売っていて、「この矛はどんな盾でも貫く矛だ」、と言い。盾を売るときには、「この盾なら、どんな矛でも貫くことはできない」。と言って自慢をして売っていた。それを聞いたお客が、「じゃぁ、お前の矛でお前の盾を突いたらどうなるんだ」。と言うと商人は何も答えられなかった。という故事からきた言葉です。 

 すなわち、理屈に合わないことを矛盾と言います。世間に幾らでもありそうな話ですが、実は野球の世界では、選手の技量が向上したことで、技術が頂点に達し、明らかな矛盾を露呈してしまい。野球自体が危機に瀕しているのです。

 

 ピッチャーの球速は、ほんの一昔前までは、150㎞も出せば世間は大騒ぎをしたのですが、最近では160㎞出す選手がぞろぞろ現れるようになりました。160㎞がどんなスピードなのかと言えば、自動車ですら、100㎞を超せば運転するのに相当危険であることは分かります。ましてやバッターにとって160㎞で投げてくる球は銃に匹敵します。まったく武器による戦いと同じ条件で身をさらしているのです。

 実際、バッターはピッチャーの投げる球はほとんど見えないのです。マウンドからホームベースまでは27,4ⅿあります。仮に150㎞の球を投げると、キャッチャーに、0.7秒で球が到達します。球は27mの距離を0.7秒で走るのです。それを瞬時にボールかストライクか、カーブかフォークか判断を立てて打つことなど実際不可能なのです。

 バッターはピッチャーの動作を見ていて、「多分こう言う球を投げるだろう」、という推測でバットを振っているのです。推測でやっているわけですから当然一昔前よりも打率は悪くなり、なかなか点が取れなくなっています。ピッチャーにとっては大変な能力なのですが、バッターから見たなら、動体視力を超えた超スピードなのです。そうなると、なかなか点が取れずに試合の面白みが薄れてきます。

 ピッチャーの技量が高度化して、160㎞の球を投げる選手が出るようになって、球団はそんなピッチャーをとんでもない金額で招きますが、結果、互いのチームのバッターは点が取れなくなり、試合が冗長になってしまったのです。

 親父が仕事から帰ってきて、缶ビールを飲みながらテレビの野球を見ていて、だらだらと互いが点の取れない試合を眺めていてはストレスが溜まります。

 かくして、野球は徐々にファンを減らして行ったのです。

 

 各球団は、絶対にホームランの打てる選手を求め、同時に絶対ホームランを打たれないピッチャーを求めて、強い球団を作り、野球人気を挽回しようとします。

 初めの話に戻って、これは矛盾です。虫のいい話なのです。ところが、この矛盾に応える選手が現れたのです。

 

 それが大谷選手なのです。大谷選手はまさに矛盾の塊のような選手です。投げれば160㎞の球をぼんぼん投げ、打たせれば、ハーフシーズンで33号のホームランを打つ。人間業を超えています。まるで、他の大リーガーの選手が大人と子供の差に見えます。

 バッターとしての大谷を制するには、大谷が投げない限り抑えることが出来ず、大谷の球を打てる者は大谷だけと言う様相に至って、全米は大騒ぎとなったのです。

 そして昨日(14日、アメリカ時間13日)。オールスター戦で、なんと、大谷選手は、ピッチャーとバッターの両方で登場したのです。大リーグの歴史始まって以来の快挙です。大谷選手のためにルールを書き換えての登場です。

 今まで野球から離れていたスポーツファンも、何事かと大谷選手に注目し始め、ニューヨークタイムズまでもが一面に大谷選手を写真入りの大見出しで掲載しました。ニューヨークタイムズはスポーツ新聞ではありません。政治経済紙なのです。それが一面に大谷選手を取り上げたのですから、異例中の異例です。アメリカの野球界史上最大の選手が現れたことになります。

 

 大谷選手のすばらしさは、野球の技量だけではありません。彼が本来持っている品格です。スポーツ選手に時折みられるような闇の部分が彼にはないのです。すなわち、貧困、スキャンダル、薬物などなど、世間の人が眉を顰めるような如何わしい生活が見当たりません。見た目は少女漫画の二枚目役が務まりそうな好青年です。実際性格も素直で、嫌みがありません。こんな選手をどこの球団でも欲しがっていたのですが、実際、腕一本で稼ぐスポーツの世界はとかく闇の出身者が集まります。

 恐らく二年後の契約改定時期になると全球団からオファーが来るでしょう。大リーグ史上最高にして最大の契約金が提示されるかもしれません。今の彼なら十分可能です。

 

 然し、気を付けていただきたい。怪我と体調不良は常に付きまといます。無理をすれば必ず反動が来ます。長く大谷選手の活躍を見たいと願うファンとして、スター戦を終えたら、極力ピッチャーとしての出場は控えて、バッターに専念してもらいたいと願います。

 世間が大谷選手に求めている行為は、贔屓の引き倒しなのです。彼の才能を愛するなら、無理を強要しないことです。

 

 玉ひで公演

 17日の玉ひでがあと数席お席があります。ご興味ございましたら東京イリュージョンまでお知らせ下さい。私の手妻、早稲田康平さん、せとなさん、前田将太によるマジックがございます。

 

バリエテ東京開催延期 

バリエテ東京開催延期

 

 昨日(13日)、朝にカズカタヤマさんから悲痛な声で電話が来ました。「板橋文化会館で開催しようとしていたバリエテ東京が開催延期になってしまいました。せっかく日程を抑えて下さっていて、申し訳ないのですが、8月はないことにして下さい」。

 先月、 MIKIさんと一緒にカタヤマさんが私の事務所まで来て下さって、打ち合わせをしたお話でした。板橋文化会館の施設を4日間使って、マジックから、ジャグラーから、ベテランも若手も一緒になってショウをする企画です。

 文化庁に支援金を申請し、出演者も、ボナ植木、峯村健二、内田孝光、カズカタヤマ、私、tamba、司会に、桔梗ブラザース、藤山大樹を配し、若手のために出演の場を設け、これを毎年開催して行こうとする企画でした。

 無論、無事成功したとしても、主催者に利益が出るような話ではなく、このコロナの状況下で多くの芸能人が苦労している様子を思い、若手にために出演の場所を作ったわけです。その苦労はカタヤマさんの行動を見たならよくわかります。

 それが開催中止です。中止の理由は、

 

 文化庁の支援金の不許可。

 文化庁がこの度の催しに支援金の不況下を下しました。その理由はよくわかりません。初めての申請だから、と言う理由があったようです。初めてだから不許可では、申請者は永久に不許可になってしまいます。

 これほど意欲的な内容をなぜ文化庁が支援できないのか、首をひねってしまいます。全額降りないまでも半額だけでも出ないものか。まったくのゼロ回答では対策も立ちません。芸能に生きるものはまったく弱い立場にあります。

 私もたびたび支援金を頂いていますが、時々支援金が下りないことはありましたが、それにしても半額くらいは決まる場合が多かったように思いましたが、カタヤマさんは何ともお気の毒です。

 私は、カタヤマさんに、「予算を削ってでもなんとか開催できるようにしてはどうか」。と言いました。ところが問題がもう一つありました。

 

 文化会館の施設休止

 このまま感染者が増える場合は、文化会館自体を休館する場合がある。と言う知らせが来たそうです。おかしな話です。方やオリンピックを華々しく開催しているさ中に、板橋区は、場合によっては休館すると言うのです。

 それも、感染者が何人になったら休館すると言うのでなく、「感染者が増えたら」というあいまいな表現なのです。つまり、周囲の状況を見て、閉めると言うことでしょうか。

 不可解です。互いに契約書を交わして会場を貸しておきながら、周囲の模様を眺めて休館する場合があると言うのでは、主催者はチケットの売りようがありません。我々は遊びでショウをしているのではありません。ショウをすることは我々の仕事なのです。

 感染者が増えて来たなら、観客を50%で開催してください。などと言う条件だ提示されるならまだわかりますが、増えたら休館では、どうやって運営して行けばいいのでしょう。その増えたか増えないかも、実際の数値が示されていません。

 一日の感染者が1万人を超えたなら休館にするとか、イギリス並みに、一日3万人の感染者が出たなら休館にする(イギリスでは毎日3万人の感染者を出しています。にもかかわらず、みんなビールを飲み、マスクもせずにラグビーを観戦しています。イギリスで許されることが、毎日2500人の感染者しか出していない日本が許されませんか)。と言うなら、予測も立ちます。数がはっきりしないにもかかわらず、やるやらないと言われては、ショウの主催者は困惑します。

 周囲が苦情を言いだしたら休館にする、と言うのでは利用者はどうしていいかわかりません。あまりに利用者を無視していませんか。文化庁も、文化会館も、本来、芸能実演家の立場に立って運営をして行かなければならない組織が、少しも芸能を大切にしようとしていません。

 芸能人が不安におびえて生きて行くような都市が文化都市であるわけがないのです。コンクリート造りの劇場があるから文化都市なのではありません。文化とは人の生き方そのものなのです。人に理解ある人たちが住んでこそ文化都市なのです。

 

 さて、声を枯らして、意気消沈したカズカタヤマさんの電話から漏れてくる声を聞くにつけ、何とか協力する方法はないものかと思います。人のために苦労している人があまりに報われない姿を見ると、同情を超えて憤りを感じます。

 何とかしなければいけない。どうにかしなければいけないと思いつつ、私自身の力の弱さを思い知ります。多くの人に芸能人の活動を理解してもらい、応援してもらう方法はないものでしょうか。どこかに良き方法があるに違いないと思うのですが・・・。

続く

マジックマイスター

マジックマイスター

 

 マイスターとは名人と言う意味ですが、マジックショウのタイトルとしては言い過ぎかもしれません。ここに出演する人たちは、殆どアマチュアさんなのですから。

 

 今から20年前、私のところに習いに来ていた生徒さんのために、発表の場を持とうと考え、マジックマイスターと名付けて、ショウを立ち上げました。

 初めは吉祥寺に合ったライブハウス、ビーポイントで数回開催しました。60人くらいで満杯になるところで、お客様とも近く、舞台に慣れない人にはとても緊張する場所でした。

 その後、三鷹の芸能劇場、か、座・高円寺で開催するようになり、今年は座・高円寺で致します。

 一時は出演者が30名もいて、その時は、2日間開催していました。全員が私の生徒さんではありませんでしたが、その中に、大学のマジッククラブを卒業してアマチュアで活動をしているマジシャンに出てもらったり、プロのゲスト出演を依頼したりと、毎回多彩なメンバーを組んで、お届けしていました。

 この会を開催しようとした目的は、なるべく色々なマジシャンに出演してもらいたいと考えて、あちこちのマジック愛好家にお声をかけたのです。と言うのも、社会人のマジッククラブの発表会は社会人ばかりが出演しますし、学生の発表会は学生ばかりです。プロもなかなかアマチュアと一緒にショウをすることはそう多くはありません。そうした中、みんなが集まってマジックショウをすれば味わいに違いが出て面白いのではないかと考え、企画したのです。お陰で席が売り切れの状態になることもしばしばでした。

 

 さて今年は、9月4日16時から、座・高円寺で開催いたします。出演者の中にも毎回楽しみで出演される方も多く、出演者の皆さんには、毎回マジックマイスターの賞状をお出ししています。もうそれを20枚集めた人もいます。賞状があったからと言って何か特典があるわけではありませんが、喜んでくださる人がたくさんいらっしゃいます。

 

 実は、今年は、コロナ災害があって参加を見合わせる方が何人かいらっしゃいました。20年も続けて来ると、知らず知らずに参加者も高齢化してきました。

 もうすでにワクチン接種が進んでいますので、高齢者の方々に感染の可能性はないのですが、まだ、コロナに過剰反応をして、舞台出演をしない人が少なからずいらっしゃいます。

 大丈夫です。心配はいりません。家に閉じこもってばかりでは年を取るばかりです。外に出て、マジックを演じて、周囲を幸せにしてください。

 

 と、言うわけで、参加者が少ない分、今回は、若手を投入しました。理科大から、高木優希さん、谷水開さん、早稲田大学から柳澤錦さん、の三人に出演してもらいます。まだ舞台に不慣れな部分はありますが、それなりに意気込んでいます。

 さらに、毎回人形町玉ひでに出演していただいている、戸崎卓也さん、ザッキーさん、早稲田康平さん、せとなさんの4名に応援を頼み、若手合計7名を加えました。

 まるで学生や、学生OBの発表会のような様相ですが、従来の参加者よりもかなり若返ったことは間違いありません。年齢も技術も多彩で、賑やかなメンバーになるでしょう。

 

 10日(日)に高木優希さんが訪ねて来て、演技の途中経過を見ました。四つ玉とシルクの手順です。いろいろ工夫を詰め込んでいて、考えが自分の技量を追い越してしまったような演技でした。すべて上手く行ったら、いい演技になるであろうことは分かります。

 あとは音楽と上手くコラボして、舞台設定は、ナイトクラブのようにピンで絞って、小さめなステージをイメージしたら、いい雰囲気の舞台になるでしょう。

 いずれにしましても、今月、22日23日の、猿ヶ京の合宿で、集中稽古をして、手順をまとめて行きます。

 群馬の猿ヶ京の稽古場も、春には行けませんでしたので、今年は今回が初めての合宿になります。何と7か月ぶりの猿ヶ京です。猿ヶ京に広い舞台がありながら、全く生かされないのは勿体ない話です。

 猿ヶ京は、軽井沢とほぼ同緯度の土地で、日中は東京並みに暑いのですが、3時を過ぎると、山で日が陰り、急に冷えてきます。夜などは掛布団をしないと風邪をひくほど冷えてきます。無論エアコンなどいりません。

 近くに町営温泉があり、サウナや露天風呂など、素晴らしい設備が揃っています。利根川の源流を散歩するのは毎回気持ちのいいものです。稽古を済ませ、温泉に入り、みんなで食事をします。食事の後もマジックは続きますが、遅くまでいろいろ話をするのが楽しみです。春合宿が出来なかったため、秋にはもう一度合宿をする予定です。ご興味のある方はご一報ください。

 

 私の方は、10月25日にリサイタルがあるため、いろいろと稽古をしています。今現在、峰の桜の小道具を制作中です。私が花咲か爺さんになって、次々に桜の桜を咲かせて行くと言う手妻です。上手く構想の通りにまとまるように現在奮闘しています。

続く

無観客のオリンピック

無観客のオリンピック

 

 一昨日(7月10日)オリンピックの無観客開催が決定されました。不可解です。菅首相も国会で、「自身も50数年前、東京オリンピックを見て感動した。今度は次の時代の子供たちにオリンピックを見せてあげて夢と感動を与えたい」。と仰っていたではありませんか。

 聞くところによると、7300億円の開催費が、実際開催されると、一兆5千億円かかるとか。当初予算の二倍です。コンパクトなオリンピックをする。と言うのが公約だったものが、決まってしまえば使い放題です。まぁ、これはいつものことですが、

 いや、予算がかかるのは致し方のないこととしても、これだけの費用をかけた催しを日本国民が誰一人見られないと言うのは、どういうことですか。

 一体誰のためのオリンピックなのですか。国立競技場は何のために新築したのですか。こんなことなら木下サーカスからテントを借りて、開会式を開催すれば、思いっきり安上がりになったはずです。目の前でオリンピックが開催されていながら、見せないとはどういうことですか。かけた国民の税金は無駄遣いではありませんか。

 「テレビで見たらいい」。と言う人もあるでしょう。いやいや、テレビで見るなら日本で開催する理由はありません。どこの国のオリンピックを見ても同じです。一兆五千億円もの国民の金を使っておきながら、国民にテレビで見ろとはどういう言いようですか。

 切符を買った人たちにはどう保証しますか、チケットの金額を返金してそれで済む話ですか。散々待たせておいて見せない、返金するは失礼です。少なくともお詫びに新宿末広亭浅草東洋館のチケットくらい付けなければ申し訳ないと思いませんか。

 そもそも、スポーツ観戦にコロナ感染はどれだけ影響があるのですか。この一年半を見ていて、劇場や競技場での感染はほとんど影響ないことはみんな分かっっているはずです。

 今、劇場などは満席で公演してもいいことになっています。そうなら、青空天井の競技場ならば、なおさら感染の影響などないではありませんか。そうならなぜ無観客にしたのですか。

 誰がこの催しを反対しているのですか。反対者は見に来なければいいのです。ただそれだけです。せっかく日本でオリンピックが開催されるなら、せめて日本人だけでも競技場に出かけて、世界中のアスリートを応援してやろうではありませんか。それが日本人にできる精一杯の支援ではないですか。

 

 つい最近まで競技場内でビールまで販売しようと言っていた話とはあまりに食い違った結論です。

 あの時も、一般の飲食店が8時までの営業時間で、アルコールの販売を禁止しているさ中に、競技場でのビール販売を許可しようとしたから国民が騒いだのであって、飲食店も競技場もアルコール解禁にしていれば誰も文句は言わなかったでしょう。

 理屈に合わない政策を取れば誰でも反対します。でも、アルコールを飲むことはそんなにいけないことですか、居酒屋では徹底して、アクリル板を並べて感染を防いでいます。これでだめだと言う理由がわかりません。

 イギリスではマスクもせずにビールを飲みながら数万人もの観客がサッカーの観戦をしている映像が映っていました。連日3万人の感染者が出ているイギリスが、コロナは収束していると宣言をして、ビールを飲んでサッカーを見ているのです。

 イギリスはそれでも結構です。そうならなぜ一日の感染者が2500人の日本で、オリンピックに観客を入れることが出来ませんか。

 ここは政治家が決断をすべきなのです。すべての責任を取ってでも、日本人にオリンピックを見せる。と宣言をすべきなのです。それが出来なければ初めからオリンピックなど開催してはいけないのです。責任者とは未知なることに責任を取ってでも、国を前進めさせるのが責任者なのです。今回の決定は、何もかも曖昧で無責任です。

 感染者が連日何人までなら観客を入れられるのですか。感染者が何人になったらオリンピックを中止するのですか。実際オリンピックが始まったら、大会を中止することが出来ますか。それは出来ないはずです。ここは責任者がすべての責任を取って、大会を開催する以外ないはずです。

 私は、責任者がすべての責任を取ることで観客を入れる。と宣言すればそれで解決だと思います。

 実際、コロナがこれからどうなるかなどと言う話は誰にも分らないのです。そもそもコロナのすることを個人が責任を負うことなどできないのです。

 ただ、形式上誰かが責任を負う、と言えば反対意見は黙ります。先ず無責任に反対する連中を黙らせて、あとは、オリンピックの内容で国民に感動を与え、感動の度合いでオリンピックの是非を判断してもらえばいいのです。

 コロナはどうなるか。心配はいりません。イギリスほどの感染者になるまでには相当時間がかかります。第一、アジアとヨーロッパでは感染の度合いが違います。

 衛生面に気を使い、マスクを義務付けて、アクリル板の仕切りが徹底している日本で、それほど桁違いな感染はあり得ません。こ一年半もそうだったはずです。決して大騒ぎするほどの話にはなりません。

 

 一時感染者を増やしても、必ず収束するはずです。今、コロナワクチンの接種はどんどん進んでいます。ここはみんなでオリンピックを見に行って、日本人のアスリートの活躍を応援しましょう。私などは、人生で二度の東京オリンピックが見られるのですから、とても幸せに思っています。こんな人生を送れるのは日本人であればこそです。この恩恵をみんなで享受しようではありませんか。

 そのためには、早々に無観客を撤回して、お客様を入れるようにしましょう。みんなでオリンピックを見に行きましょう。チケットが余っているなら私も買います。

続く

 

手妻玉ひで公演

 今月17日(土)12時から人形町玉ひでで手妻の公演があります。まだ少しお席に余裕があります。オリンピックが生で見られないなら、江戸の伝統手妻(てづま=古典奇術)の公演はいかがですか。

 手妻の他に、若手マジシャンの、早稲田康平さん、せとなさん、前田将太が出演。260年の歴史ある、日本橋人形町玉ひでのお座敷で、玉ひでの親子丼を食し、昼下がりにじっくり芸能を楽しむのは、令和の時代で望み得る最高の贅沢です。

 ご予約は東京イリュージョンまで。03(5378)2882