手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

バリエテ東京開催延期 

バリエテ東京開催延期

 

 昨日(13日)、朝にカズカタヤマさんから悲痛な声で電話が来ました。「板橋文化会館で開催しようとしていたバリエテ東京が開催延期になってしまいました。せっかく日程を抑えて下さっていて、申し訳ないのですが、8月はないことにして下さい」。

 先月、 MIKIさんと一緒にカタヤマさんが私の事務所まで来て下さって、打ち合わせをしたお話でした。板橋文化会館の施設を4日間使って、マジックから、ジャグラーから、ベテランも若手も一緒になってショウをする企画です。

 文化庁に支援金を申請し、出演者も、ボナ植木、峯村健二、内田孝光、カズカタヤマ、私、tamba、司会に、桔梗ブラザース、藤山大樹を配し、若手のために出演の場を設け、これを毎年開催して行こうとする企画でした。

 無論、無事成功したとしても、主催者に利益が出るような話ではなく、このコロナの状況下で多くの芸能人が苦労している様子を思い、若手にために出演の場所を作ったわけです。その苦労はカタヤマさんの行動を見たならよくわかります。

 それが開催中止です。中止の理由は、

 

 文化庁の支援金の不許可。

 文化庁がこの度の催しに支援金の不況下を下しました。その理由はよくわかりません。初めての申請だから、と言う理由があったようです。初めてだから不許可では、申請者は永久に不許可になってしまいます。

 これほど意欲的な内容をなぜ文化庁が支援できないのか、首をひねってしまいます。全額降りないまでも半額だけでも出ないものか。まったくのゼロ回答では対策も立ちません。芸能に生きるものはまったく弱い立場にあります。

 私もたびたび支援金を頂いていますが、時々支援金が下りないことはありましたが、それにしても半額くらいは決まる場合が多かったように思いましたが、カタヤマさんは何ともお気の毒です。

 私は、カタヤマさんに、「予算を削ってでもなんとか開催できるようにしてはどうか」。と言いました。ところが問題がもう一つありました。

 

 文化会館の施設休止

 このまま感染者が増える場合は、文化会館自体を休館する場合がある。と言う知らせが来たそうです。おかしな話です。方やオリンピックを華々しく開催しているさ中に、板橋区は、場合によっては休館すると言うのです。

 それも、感染者が何人になったら休館すると言うのでなく、「感染者が増えたら」というあいまいな表現なのです。つまり、周囲の状況を見て、閉めると言うことでしょうか。

 不可解です。互いに契約書を交わして会場を貸しておきながら、周囲の模様を眺めて休館する場合があると言うのでは、主催者はチケットの売りようがありません。我々は遊びでショウをしているのではありません。ショウをすることは我々の仕事なのです。

 感染者が増えて来たなら、観客を50%で開催してください。などと言う条件だ提示されるならまだわかりますが、増えたら休館では、どうやって運営して行けばいいのでしょう。その増えたか増えないかも、実際の数値が示されていません。

 一日の感染者が1万人を超えたなら休館にするとか、イギリス並みに、一日3万人の感染者が出たなら休館にする(イギリスでは毎日3万人の感染者を出しています。にもかかわらず、みんなビールを飲み、マスクもせずにラグビーを観戦しています。イギリスで許されることが、毎日2500人の感染者しか出していない日本が許されませんか)。と言うなら、予測も立ちます。数がはっきりしないにもかかわらず、やるやらないと言われては、ショウの主催者は困惑します。

 周囲が苦情を言いだしたら休館にする、と言うのでは利用者はどうしていいかわかりません。あまりに利用者を無視していませんか。文化庁も、文化会館も、本来、芸能実演家の立場に立って運営をして行かなければならない組織が、少しも芸能を大切にしようとしていません。

 芸能人が不安におびえて生きて行くような都市が文化都市であるわけがないのです。コンクリート造りの劇場があるから文化都市なのではありません。文化とは人の生き方そのものなのです。人に理解ある人たちが住んでこそ文化都市なのです。

 

 さて、声を枯らして、意気消沈したカズカタヤマさんの電話から漏れてくる声を聞くにつけ、何とか協力する方法はないものかと思います。人のために苦労している人があまりに報われない姿を見ると、同情を超えて憤りを感じます。

 何とかしなければいけない。どうにかしなければいけないと思いつつ、私自身の力の弱さを思い知ります。多くの人に芸能人の活動を理解してもらい、応援してもらう方法はないものでしょうか。どこかに良き方法があるに違いないと思うのですが・・・。

続く