手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

綺麗なお札

綺麗なお札

 

 昨晩(7月9日)、初めて新しいお札を見ました。昨晩秋葉原で私のレクチュアーがあり、その出演料を新紙幣で頂きました。新一万円札は、茶系で統一されていて、なかなか重厚なデザインです。前の福沢諭吉さんのよりも、一層細密に描かれているように見えます。渋沢栄一さんの肖像も、いろいろなところで宣伝されているため、顔も馴染みになっていて、いい雰囲気で受け入れられるでしょう。

 表の左にかなり凝ったホノグラムが付けられていて、これが目立ちます。ここだけ時代を超えた世界が感じられます。当然偽造防止のための秘策なのでしょう。小さな渋沢栄一さんの顔が半立体画像で描かれています。これは斬新できっとニセ札防止には役立つと思います。

 裏面には東京駅が大きく描かれています。そして右端に大きく10000の数字が書かれています。デザインのセンスは別としても、この10000の数字が大きいのは素晴らしいことです。特にステージではこの10000の数字がはっきりとしていて良く見えるでしょう。

 東京駅は、古い西洋建築が失われつつある今の時代に、とても貴重な建物です。辰野金吾さんはアムステルダム駅を参考にして東京駅を設計したそうですが、実際、東京駅とアムステルダム駅はよく似ています。

 但しアムステルダム駅のほうが二倍くらい大きめです。公共物に対する欧米の考え方は、とても日本は及びません。東京駅をお札に取り入れたの素晴らしいと思います。本当は、東京駅が出来る前は、万世橋と言う駅が中央線にあって、そこが東京の中心地だったのです。万世橋駅こそ東京を代表する駅で、江戸っ子の自慢だったのです。設計は無論、辰野金吾さんです。

 それがやがて山手線が伸びて、神田駅が出来ると、万世橋と神田ではあまりに駅が近過ぎるために必要がなくなり、しかも関東大震災万世橋の駅舎が破壊され、昭和になって山手線が秋葉原まで延伸されたことで、駅の価値が薄くなり、廃駅になってしまったのです。写真を見ると東京駅並みに豪華だったのに、取り壊してしまったのは残念です。何とか駅舎だけでも復活させて残せばよかったのにと思います。

 

 日本の鉄道の駅は、新宿駅も渋谷駅も池袋駅も欧米の主要駅と比べるとどうも風格に乏しく、ひたすらタコ足のように伸びた迷路で成り立っています。

 そしてどの駅も広く眺めまわせる広いドームがありません。どう見ても公共物の作りではなく、アラビアの国の旧市街のバザールの中にいるかのようです。

 東京駅も皇居側から見た駅舎は立派ですが、八重洲口の天井の低さ、歩道が水平を保てない造りはもうめちゃくちゃです。

 恐らく、あちこちに、地下鉄が通っていたり、ガスや水道管が通っているなどして通行を妨げているのでしょう。その都度歩道に階段を付けたり、跨いだりしなければならないのでしょうが、駅をひとまとめにしたグランドデザインが描けないのが致命的に不便で、貧乏くさいものになっています。

 

 ところで、今、渋谷駅が大改装していますが、どうも、途中経過を見る限り、迷路の作りは改善されそうにありません。見渡すような広々とした大きさがないのです。通路の天井は低く、統一感が見えません。

 本当なら、今建設中の東急デパートのスペースをJRが買い取って、大きなドームを作って、そこに私鉄や地下鉄まですべて抱え込んでしまえば、素晴らしく見晴らしの良い、乗り換えに便利な駅が出来るでしょう。そんな駅が出来るために大工事するなら大賛成です。しかしどうもそうはならないようです。延々とわけもわからず歩いて、なかなか目的地が探せない、迷宮のような駅舎が出来そうです。

 新宿駅は東口と西口が大きな通路で突き抜けたのは快挙でした。一遍に不便が解消されました。然し、依然として通路の天井の低さは変わりません。駅が見渡せないのは日本の駅舎の最大の欠点です。そこに更に地下街の商店や、デパートが入り込んでいて、一層複雑になっています。実際災害が起こったときに、どんな場所よりも被害者を出すのは駅でしょう。このままではいたずらに災害時に混乱を生むことになります。JRと国が協力をして、もっと広々とした駅舎は作れないものでしょうか。

 

 話をお札に戻します。今回はお札のサイズは変えませんでした。旧札と同じです。毎回お札が変わる度にサイズが小さくなっていたのですが、ここでストップのようです。ドル札と比べると、随分まだ大きいのですが、日本ではこれくらいのサイズが必要なのでしょうか。

 何だかこの新紙幣を見ているうちに、お札のマジックを考えてみようかなと、思いました。私は30年ほど前に「お札10」と言うレクチュアービデオを出しました。これは結構売れたのです。そもそもお札を使ったマジックと言うのは少なかったため、珍しがられました。

 今度は新紙幣を使って新しいアイディアを考えてみようと思います。そして、新規の指導が来年から始まりますので。そこで発表しようかと思います。

 来年の秋葉原のマジック指導は、1月14日、2月11日、3月11日です。20名限定ですので、お早めにお申し込みください。申込先は中島弘幸さんか高橋司さんです。

続く