手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

期待のできない選挙

期待のできない選挙

 

 明日(7月7日)は東京都知事選挙。ようやくお騒がせ選挙も終わり、一安心です。今回ほど期待の持てない選挙もありませんでした。右も駄目なら左も駄目、政策がほとんど見えないまま誰かを選べと言われても、選びようがありません。

 小池さんはひたすら逃げ切りで、討論会もそこそこ、争点を語ろうともしません。街頭演説も、壇上に上がるとヤジばかりで、当人もやりにくいらしく、人の多いところは駄目だとばかりに、八丈島に行ったり、伊豆大島に行ったり、人の少ないところを縒って街頭演説しています。何とも卑屈です。

 蓮舫さんは、小池さんと石丸さんの間に挟まれて、一番苦戦をしているのでしょう。元々何がしたいのかわからない人でしたから、都民は期待もしないし、そもそも都政に対しての興味もないらしく、政策など全く見えません。どうしてこんな人が小池さんの対抗馬に出て来てしまったのかが分かりません。

 結局、今回の本命、対抗、大穴の3人の中で、一番票が伸びない結果になるのではないかと思います。

 そして大穴の石丸伸二さんは、今回政治家として都知事選に出たことは大成功でしょう。大いに知名度を上げましたし、脛に傷を持つ小池さん蓮舫さんに対して、真っ向から攻めかかって自分の考えを伝えたのですから。それだけでも成果はあったと言うべきでしょう。然し、当選するかと言えばそれは無理でしょう。如何にインターネットの時代だと言っても、選挙は依然アナログな社会ですから、昔からの人と人とのつながりの中でしか人の上には立てません。

 こればかりはホリエモンさんや、博之さんが持ち上げても、大きな力にはなり得ないでしょう。ネットの潜在的な力は大きい。と昔から言われていますが、実際にはネット民はいまだ力になってはいません。ネット民をひとまとめにできるだけのカリスマ政治家が出て来ていないのです。

 

 都知事選にしても衆議院選にしても、選挙の時だけ騒いでも世の中は変わらないのです。本当に政治家を続けたいなら、町のどんな小さな会合にも顔を出して、選挙民と仲良くならなければだめです。錆びれた商店会の月に一度の集まりにでも顔出しをして、一言演説をぶち上げていないといけません。たとえその商店会の役員が高齢者で、もう店を畳もうかと考えていたとしても、政治家は彼等を見守ってやらなければいけないのです。つぶれかけた蕎麦屋洋品屋の親父が、もう跡継ぎもいないような人でさえ、彼らが叙勲をすれば、祝いのパーティーには顔を出します。息子さんが家を建てるとなれば、金融公庫から金が借りられるように配慮します。長年の付き合いで徹底的に面倒を見ます。そうした付き合いを続けて行って、票を貰うのが政治です。「そんなのは時代遅れだ」。と言う人もあるでしょう。然し、そうした人達の会合を尊重しないと、政治家が直に考えを語れる場所がないのです。サラリーマンは町内会の会合には顔出しをしないでしょう。学生や、フリーターは町のために仕事をしないでしょう。そんな人たちが、いくら選挙の時だけ能書きを垂れても、実際政治家とつながっていないのです。同時に、誰も町の人たちはネット民を仲間に入れようとはしないのです。

 サラリーマンはネット民は町の催しに顔も出しません。町内会のお祭りにも出て来ないのです。そんな人たちが何を言っても町内会の役員は信用しないのです。商店会の親父さんは簡単に住所を変えたりしません。50年も70年も同じところで商売しています。そして、小さく稼いだ金で店の裏にアパートを持っていたり、駐車場を持っていたり、ビルを構えていたり、資産を持っているのです。本業の蕎麦屋はお客様は少なくても、しっかり町に根を張って生きてきたのです。

 そうした人達を政治家は尊重するのです。選挙のたびにネット民が何かを言ってもそれは力にはならないのです。如何にたくさんのネット民がいようとも、どれも個人個人でバラバラです。それでは話にもなりません。そこを「浮動票」などと言って当てにする政治家はいても、いつだって浮動票を当てにする政治家は浮動票がつかめずに終わってしまうのです。

 

 とは言っても、石丸さんは、少しネット民を動かしているかもしれません。但し、過大に考えるのは間違いです。まだ石丸さん自体が、何をどうしたいのかがまとまってはいないように見えます。それで支持者を集めようとしてもそう簡単には人は集まりません。

 

 私は予言者ではありませんが、今回の選挙を見ていて、小池さんの安定当選ラインが300万票だとすると、少し票を減らす可能性があります。それでも三人の中では最高得票を得るでしょう。手堅いのです。

 対する蓮舫さんは、互角に戦いは無理です。200万票も無理でしょう。100万票、プラス何十万評価、と言うところではないかと思います。

 石丸さんは、ひょっとすると蓮舫さんを超える可能性があります。もし蓮舫さんを超えたなら、石丸さんは殊勲賞でしょう。すなわち、百数十万票で、蓮舫さん越えを達成する可能性があると思います。

 他の候補者は残念ながら大きな票は得られないでしょう。但し、この票の見方は、私の知り合いの政治家数名が予測を立てた話をまとめたものです。

 ただ、残念ながら、どなたが都知事になっても、全く東京都の方向が見えません。こんなことでいのかなぁ。と不安になります。明日の選挙はとにかく行きます。でも私自身が誰を選んでいいのか、迷います。せっかくに一票なら何とか生かしたいものです。

 ところで、選挙の時に、宝くじ付きの票にしたら如何でしょう。選挙の票に 半券を付けて、それが宝くじになるのです。都知事選挙にくじ一枚、都議会議員にくじ一枚。朝早く選挙に行ったら二枚の宝くじがもらえるなら、みんな行くでしょう。一等は5億円くらい出してはどうですか。これなら投票率が爆上がりするでしょう。しかも当選者発表は選挙発表のお終いにするのです。きっと盛り上がるでしょう。私は都知事にはなりたくないですが、宝くじの当選者にはなりたいと思います。

続く