手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

ドイツとEUの支援

ドイツとEUの支援

 

 アメリカのウクライナ支援が、このところ大多数のアメリカ人が及び腰になって来て、大幅に削減されそうな気配です。穏やかではないのがゼレンスキーさんで、アメリカの支援がなければ確実にロシアに敗北します。

 ウクライナは自力ではロシアと戦えないのです。今回のロシアによるウクライナ侵攻は、常識で言ったら、ウクライナ一国で戦える相手ではないのです。全面戦争になったらひとたまりもない国なのです。ところが、ゼレンスキーさんは一か八かの大勝負に賭けたのです。ネットを通して、戦況を伝え、全世界の人々に共感を求めたのです。

 これは新しいタイプの戦争です。そして指導家であるゼレンスキーさんは、戦争を現場の兵士に任せ、世界を飛び歩いて支援を求めたのです。結果アメリカからもEUからも大きな支援を得て、戦いは有利に展開してきました。

 然し、何と言ってもロシア陸軍は巨大で、戦いに慣れています。後になって駆り出された兵士は未熟な兵士が多いのですが、それでも、数の力で拠点を維持しています。こうなると、ウクライナ軍と有志による軍隊ではなかなか歯が立たなくなっています。

 ゼレンスキーさんには焦りの色が見えています。どうにかしなければならないのは勿論ですが、如何せん自国に力がありません。ところが、ここへ来て、EUが大きな支援を約束してくれました。8兆円の支援です。

 これはウクライナにとって大きな効果につながるでしょう。しかも、長いこと及び腰だったドイツが本格的にウクライナ支援に回ることになりました.元々ドイツはEUの一員ではありますが、EUに中でも突出して強力な支援を始めたのです。これからはドイツが持っている戦車などが次々に投入されることになります。

 どうもドイツは、これまでウクライナ戦にずっと及び腰でした。なぜなのかと考えると、第二次世界大戦の折、ドイツ軍は、当時ソ連領だったウクライナに大攻勢をかけて制圧した過去があります。もともと、ヒトラーの野望は、人口の膨れ上がったドイツ国民に食料を提供するために、東部の穀倉地帯を手に入れたいと言う野望がありました。まさにウクライナの制圧はそれそのものだったのです。

 85年前、ドイツ人が制圧した地域を、今回、同様にロシアが制圧しようとするのを見て、「それは人道に反する行為だ」。とは言えないのでしょう。大ニ次世界大戦の時の後ろめたさがあるのです。当時ドイツが本心から占領を望んでいた地域は、フランスでもなければイギリスでもなかったのです。そのことはヒトラーが若いころに書いた「我が闘争」にはっきり書いてあります。

 かつて力づくで手に入れたウクライナに対して、ロシアが全く同じことをした時に、ドイツが「君、それはやり過ぎだよ」とは言いにくいのでしょう。ロシアにすれば「お前が言える立場か」。と言うことになります。だから見て見ぬふりをしていたのです。

 とは言うものの、このままロシアがウクライナ全土を手に入れれば、ロシアの野望は止まりません。次に来るのは、バルト三国であり、フィンランドであり、ゆくゆくはポーランドチェコと次々に東ヨーロッパを支配下に置くようになるでしょう。つまりはベルリンの壁開放以前に戻ることになります。

 欧州にとっては、今ある姿が一番いい形であり、これを維持することが大切なのです。無論ドイツはそのことを承知しているでしょう。そこで、アメリカばかりに面倒なことを押し付けないで、欧州の平和維持にドイツも一つ貢献しなければならないと、ようやく重い腰を上げたのです。

 

 これでウクライナは活気づき、一気に勝利に持って行けるか、と言うとそう簡単ではありません。ウクライナ侵攻は、明日で2年目になります。ウクライナも欧州も、アメリカもロシアも、もう戦いに疲弊しています。この先8兆円とドイツの戦車が手に入ったとしても、それで勝利しないのであれば、その後の支援はもう無理なのです。

 となると、勝っても負けても、今年のどこかで休戦しなければならないでしょう。その休戦に何か意味があるのかと言えば、何も意味はありません。互いがただ戦いに疲れただけなのです。

 もし今の状況で休戦をするとなると、何が変わったのかと考えれば、ほとんど大きくは変わっていないのです。僅かに東側のいくつかの町をウクライナが奪還した程度です。せめてクリミア半島でも戻って来ていたなら、まだ戦いの成果を誇れますが、今現状はそうもいきません。

 欧州の8兆円とドイツの戦車はこの現状を好転させるでしょうか。難しいでしょうね。結局、初めの状態に戻って、互いに何一つ手に入るものがないまま休戦に入ることになりそうです。

 ロシアにしてみれば、大軍を送って、全く何も手に入らず、多くの兵士を失い、自国の武器の弱さをさらし、金を使い、経済を疲弊させ、いいこと一つもないまま休戦しなければなりません。プーチンさんの大失態ですね。そうなると失敗を隠す意味でも、飽くまで休戦をして、また5年後10年後に再び力を付けて進行する可能性もあります。

 そんな状況で、一体欧州もアメリカも何をしていたのか、と考えてみれば、ウクライナ侵攻は、余りに中途半端な戦いだったと思います。初手に欧米が力を合わせてロシアを叩いていれば、もっと早くに、ウクライナに有利に戦争を終わらせていたはずです。それが小出しに武器を供与して消極的な戦いをした結果、半年で解決する話が、三年戦って解決しない泥沼の戦いになったわけです。

 

 この戦いで誰が利益を得たのかと考えたなら、ドイツ、イギリス、アメリカと言った、武器製造をしていている国々でしょう。今や、ウクライナを舞台に、武器見本の展示会を開いたのと同じ結果になっています。恐らく、この三国に武器の注文が殺到するでしょう。逆に、長らく武器輸出国だったロシアは、競争力を失うでしょう。

 日本はどうでしょう、日本はウクライナが休戦すれば、復興景気で、日本の大手ゼネコンは大挙してウクライナに向かうでしょう。そうなると日本国内の事業は、人も足らなくなって、計画が進まなくなるでしょう。もし、大きな建物を作ろうと考えている自治体などあれば、今のうちに契約を結んで、早くに建物を建てたほうがいいでしょう。

 もし新築落成した際には、私のところの水芸を使って、大きくお披露目をなさると宜しいかと思います。今ならスケジュールも開いています。

 続く